今回の曲のタイトルは、「Piano Man」です。
直訳すると、「ピアノを弾く男」です。
ビリー・ジョエルが1973年にリリースした代表曲です。アルバム『ピアノ・マン』の収録曲で、全米Billboard Hot 100で25位を獲得し、ビリー・ジョエルの名を世に知らしめた一曲。実際に彼がロサンゼルスのバーでピアノ弾きとして働いていた頃の体験をもとにした自伝的な曲で、バーの常連客たちの哀愁漂う人生模様をリアルに描いたポップ・ロックバラードです。
【この曲の言葉について】
この曲は「孤独」を静かに歌ったバラードですが、あえて意訳で飾らずにそのままの言葉で訳すことで、歌詞が持つ剥き出しの感情を大切にしました。特に「they’re sharing a drink they call loneliness(孤独という名の飲み物を分け合っている)」の部分は、辞書の意味をそのまま繋ぎ合わせるだけで、バーに集まった人々の孤独感と連帯感が伝わってきます。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Piano Man – Billy Joel
[Verse 1]
It’s nine o’clock on a Saturday
土曜の9時
The regular crowd shuffles1shuffles in
[熟語]「ぞろぞろと入ってくる」。”shuffle”(足を引きずって歩く)+ “in”(中へ)の組み合わせ。老英語 “scuffle”(足をこする)が語源で、活気なく足を引きずりながら入ってくる様子を描写 in
常連たちがぞろぞろと入ってくる
There’s an old man sittin’ next to me
隣に老人が座っている
Makin’ love to his tonic2tonic
[名詞]「トニックウォーター」。ギニーネを含む炭酸水で、もとはマラリア予防薬として飲まれたもの。ギリシャ語 “tonikos”(伸張する・緊張させる)が語源で、「体を引き締める飲み物」として「強壮剤」の意味も持つ。ジンと合わせた「ジン・トニック」の定番カクテル and gin
トニックとジンに夢中になっている
He says, “Son3Son
[名詞]「息子」。ここでは目上の人が若い男性に対して使う親しみのある呼びかけ語で、「兄ちゃん」「坊主」に相当。古英語 “sunu”(息子)が語源, can you play me a memory?
「兄ちゃん、思い出の曲を弾いてくれないか?
I’m not really sure how it goes
どんな感じかよくわからないけど
But it’s sad, and it’s sweet, and I knew it complete
悲しくて、甘くて、全部知っていたんだ
When I wore a younger man’s clothes4wore a younger man’s clothes
[比喩]「若い頃の服を着ていた」。直訳だが「若かった頃」を意味する詩的な比喩表現。古英語 “werian”(着る)が語源“
若い男の服を着ていた頃は」
[Refrain]
La, la-la, di-dee-da
La-la, di-dee-da da-dum
[Chorus]
Sing us a song, you’re the piano man
僕たちに歌を歌ってくれよ、君はピアノマンだ
Sing us a song tonight
今夜、僕たちに歌を歌ってくれ
Well, we’re all in the mood5in the mood
[熟語]「(〜したい)気分で、ノリノリで」。”mood”(気分)はゲルマン系の古英語 “mod”(心・気持ち)が語源で、「メロディーを聴く気分」という意味 for a melody
みんなメロディーを聴く気分なんだ
And you’ve got us feelin’ alright
そして君は僕らをいい気分にさせてくれる
[Verse 2]
Now John at the bar is a friend of mine
バーのジョンは僕の友達で
He gets me my drinks for free
飲み物をただにしてくれる
And he’s quick with a joke6quick with a joke
[熟語]「すぐに冗談を言う、気の利いた冗談をさっと返す」。”quick with”(〜が素早い)は「ある能力をすぐに発揮できる」という意味の口語表現, or to light up your smoke
冗談を言うのも、タバコに火をつけるのも素早い
But there’s someplace that he’d rather be
でも彼にはむしろいたい場所が別にある
He says, “Bill, I believe this is killing me7killing me
[熟語]「(精神的に)僕を苦しめている、死ぬほどつらい」。”kill”(殺す)を誇張表現として使うことで、耐えられないほど苦しいことを表す“
「ビル、これは僕を殺している気がするよ」と言って
As the smile ran away from his face8ran away from his face
[比喩]「顔から笑みが逃げていった」。笑顔が人間のように走って逃げる擬人化表現。笑顔が一気に消えていく様子を描写
顔から笑みが逃げていった
“Well, I’m sure that I could be a movie star
「きっと映画スターになれたはずなんだ
If I could get out of this place”
ここから出られさえすれば」
[Refrain]
Oh, la, la-la, di-dee-da
La-la, di-dee-da da-dum
[Verse 3]
Now Paul is a real estate9real estate
[名詞]「不動産」。ラテン語 “res”(物・事)+ “status”(状態・財産)の合成。”real estate novelist” は不動産業をしながら小説家を夢見る人を指す novelist
ポールは不動産業の小説家で
Who never had time for a wife
妻を持つ時間がなかった男
And he’s talkin’ with Davy, who’s still in the navy10navy
[名詞]「海軍」。古フランス語 “navie”(船団)→ ラテン語 “navis”(船)が語源。”navigate”(航行する)も同じ語根を持つ
海軍にまだいるデイビーと話している
And probably will be for life
おそらく一生そうだろう
And the waitress is practicing politics11practicing politics
[熟語]「愛想を振りまく、うまく立ち回る」。政治家が有権者に笑顔を振りまくように、お客に愛想よく接することを比喩的に表現
ウェイトレスは愛想を振りまいていて
As the businessmen slowly get stoned12get stoned
[熟語]「酔う、酩酊する」。本来は「(ドラッグで)ハイになる」というスラングだが、ここでは酒でぼんやり酔っていく意味で使われている。”stone”(石)→「石のように動けなくなる」イメージ
ビジネスマンたちがゆっくりと酔っていく
Yes, they’re sharing a drink they call loneliness13a drink they call loneliness
[比喩]「孤独という名の飲み物」。孤独を酒に見立てた詩的な比喩表現。バーで知らない人同士が同じ孤独を抱えて飲んでいる様子を表す
そう、彼らは「孤独」という名の飲み物を分け合っている
But it’s better than drinkin’ alone
でも一人で飲むよりはましだ
[Piano Solo]
(ピアノソロ)
[Chorus]
Sing us a song, you’re the piano man
僕たちに歌を歌ってくれよ、君はピアノマンだ
Sing us a song tonight
今夜、僕たちに歌を歌ってくれ
Well, we’re all in the mood for a melody
みんなメロディーを聴く気分なんだ
And you’ve got us feelin’ alright
そして君は僕らをいい気分にさせてくれる
[Verse 4]
It’s a pretty good crowd for a Saturday
土曜にしてはなかなかの客の入りだ
And the manager gives me a smile
マネージャーが微笑みかけてくる
‘Cause he knows that it’s me they’ve been comin’ to see
僕を見に来ているとわかっているから
To forget about life for a while
しばらく人生を忘れるために
And the piano, it sounds like a carnival14carnival
[名詞]「お祭り、謝肉祭」。ラテン語 “carne vale”(肉よ、さらば)が語源で、断食前に肉を食べて騒ぐ祭りを指した。転じて「賑やかなお祭り騒ぎ」全般を指す
ピアノはまるで祭りのような音を立てていて
And the microphone smells like a beer
マイクにはビールの匂いがする
And they sit at the bar and put bread15bread
[スラング]「お金」。英国スラング “bread and honey”(=money)の短縮形。ロンドン発祥のコックニー・ライミング・スラングで、韻を踏む単語で別の意味を表す in my jar
彼らはバーに座って瓶にお金を入れる
And say, “Man, what are you doin’ here?”
そして「なあ、ここで何してるの?」と言う
[Refrain]
Oh, la, la-la, di-dee-da
La-la, di-dee-da da-dum
[Chorus]
Sing us a song, you’re the piano man
僕たちに歌を歌ってくれよ、君はピアノマンだ
Sing us a song tonight
今夜、僕たちに歌を歌ってくれ
Well, we’re all in the mood for a melody
みんなメロディーを聴く気分なんだ
And you’ve got us feelin’ alright
そして君は僕らをいい気分にさせてくれる
Writer(s): Billy Joel
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Piano Man」はどんな曲ですか?
ビリー・ジョエルが1973年にリリースした代表曲です。アルバム『ピアノ・マン』の収録曲で、全米Billboard Hot 100で25位を獲得。彼がロサンゼルスのバーでピアノ弾きとして働いていた実体験をもとに書かれた自伝的な一曲で、バーに集まるさまざまな人々の哀愁漂う人生模様を詩的に描いています。今もスタジアムで大合唱される、ロック史に残る名曲です。
「making love to his tonic and gin」はどういう意味ですか?
「トニックとジンに夢中になっている」という意味です。”make love to” は本来「愛する」ですが、人ではなく飲み物に使うことで「〜に溺れるように向き合っている」という詩的なニュアンスになります。お酒だけを相手に黙って飲み続ける老人の孤独な姿を表した表現です。
「they’re sharing a drink they call loneliness」はどういう意味ですか?
「孤独という名の飲み物を分け合っている」という意味です。孤独(loneliness)をお酒に見立てた詩的な比喩で、バーに集まった人々がそれぞれ孤独を抱えながら、一緒にいることで束の間の慰め合いをしている様子を表しています。この曲でもっとも印象的なフレーズのひとつです。
「wore a younger man’s clothes」はどういう意味ですか?
「若い男の服を着ていた頃」=「若かった頃」を意味する詩的な比喩表現です。「若者の服」はその年代のライフスタイルや夢を象徴しており、「かつて若く、夢や希望に満ちていた時代」を遠回しに表現しています。直訳すると少し不思議な表現ですが、英語の詩では年代や人生の時期をこうした具体的なイメージで表すことがよくあります。
関連リンク
Billy Joel – Piano Man (Official Video)
他の曲も和訳しています。よろしければどうぞ!
【歌詞和訳】My Life – Billy Joel
【歌詞和訳】Chicago – Michael Jackson
【歌詞和訳】American Cars – Noah Kahan
【歌詞和訳】Burning Blue – Mariah the Scientist
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