今回の曲のタイトルは、「3 Headed Goat」です。直訳すると、「3つ頭のヤギ」です。ただしヒップホップ・スラングにおいて「GOAT」とは “Greatest Of All Time”(史上最高)の頭文字を取った言葉であり、このタイトルにはリル・ダーク、リル・ベイビー、ポロ・Gという3人の超一流ラッパーが揃った「最強トリオ」という意味が込められています。
リル・ダーク(本名:ダーク・デリック・バンクス)は、1992年シカゴ生まれのラッパーです。メロディックなトラップサウンドとリリカルな歌詞でシカゴのドリルシーンを牽引してきたアーティストとして知られています。「3 Headed Goat」は、2020年12月11日にリリースされたアルバム『The Voice』の収録曲で、リル・ベイビーとポロ・Gをフィーチャーしています。アルバム自体はビルボード200で初登場1位を獲得し、この曲はビルボード・ホット100で最高16位を記録するなど商業的にも大きな成功を収めました。ジャンルはトラップ/ヒップホップで、3者それぞれのスタイルと自信に満ちたフロウが前面に出た楽曲です。
【直訳のポイント】タイトルの「Goat」は文字通り「ヤギ」ですが、ヒップホップでは “Greatest Of All Time”(史上最高)の略語として定着しているため、文脈に応じて「最強」と意訳しています。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
3 Headed Goat – Lil Durk
[Intro]
(Aviator1Aviator
[名・英]ラテン語 avis(鳥)+行為者接尾辞 -ator から。航空機を操縦する人=飛行士・パイロット。)
(飛行士)
[Chorus: Lil Baby]
These ain’t no Guess2Guess
[固有名詞・ブランド]アメリカの大衆向けカジュアルファッションブランド。ここでは「安物・普通のブランド」を象徴する比喩として使われている。 jeans
これはGuessのジーンズじゃない
I dropped out of school, I’m still good at math, but, nigga, don’t test3test
[動・俗語]「試す・かかってくる」という意味のスラング。「俺に挑んでくるな・舐めるな」というニュアンス。 me
学校は中退したが数学は得意だ、だがなあ、俺を試すな
I played to the left, they went to the right, they tried to finesse4finesse
[動・俗語]「巧みに騙す・出し抜く」を意味するAAVEスラング。 me
俺が左に動けば奴らは右へ、うまく出し抜こうとしてきた
Still riding ‘round with that blicky5blicky
[名・俗語]拳銃(ピストル)を指すAAVEスラング。, I hope they don’t catch me
今もあの銃を持ち歩いてる、捕まらなきゃいいが
Police had raided our spot, so we went to the next street
警察が俺たちのたまり場に踏み込んだから、次の通りへ移った
Play like I’m dumb, as soon as it pop6pop
[動・俗語]「弾ける・始まる」を意味するスラング。事態が動き出す瞬間を指す。, I’m goin’ retarded7retarded
[形・俗語]本来は侮蔑語だが、ここでは「常軌を逸したほど全力を出す・狂ったように暴れる」を意味するAAVEスラング。
バカのふりをしてる、いざ動き出したら俺は全力で暴れる
He say I’m hard8hard
[形・俗語]「タフ・本物だ・スキルが高い」という賛辞として使うAAVEスラング。 and he say I’m garbage, I’m rich regardless
すごいと言う奴もいれば、ゴミと言う奴もいる、どっちにせよ俺は金持ちだ
We in Miami in the middle of the winter, and we on them jet skis
真冬のマイアミにいて、ジェットスキーに乗ってる
If we in Atlanta, I’m runnin’ the ‘Cat9‘Cat
[固有名詞・俗称]Dodge Challenger/Charger SRT Hellcatの略称。アメリカの高性能マッスルカー。 and I’m workin’ the red key10red key
[名・固有]Dodge SRT車に付属する赤い鍵。黒い鍵は馬力を制限するが、赤い鍵はその制限を解除してフルパワーを引き出す。
アトランタにいるときは、ヘルキャットをぶっ飛ばしてレッドキー全開だ
[Verse 1: Lil Durk]
I cannot mention my homies11homies
[名・俗語]地元の仲間・家族同然の友人を指すAAVEスラング。 inside of my song ‘cause I know they be trappin’12trappin’
[動・俗語]麻薬を路上で売買すること。「trap」(麻薬の売り場)を動詞化したストリートスラング。 a lot
仲間のことは曲に書けない、みんな麻薬の売買ばかりしてるって分かってるから
I can’t keep takin’ these pills, when I’m in the trenches13trenches
[名・俗語]「塹壕」→危険な地区・暴力が絶えないストリートを指すスラング。, they say I be cappin’14cappin’
[動・俗語]嘘をついたり大げさに言ったりすること。「cap」のAAVE進行形。 a lot
この薬を飲み続けることもできない、荒れた地元にいると嘘ばかりついてると言われる
I know a nigga who say he got rich off the dope15dope
[名・俗語]麻薬(主にヘロインやコカイン)を指すストリートスラング。, but I know he be actin’ a lot
麻薬で金持ちになったと言う奴を知ってるが、見栄を張ってるだけだって分かってる
I know some niggas who said that they took down16took down
[句動・俗語]「打ち倒す」→この街を支配した・制圧したの意。 the city, but niggas be lackin’17lackin’
[動・俗語]武器や警戒を持たず無防備でいること。隙を見せることを指すAAVEスラング。 a lot
この街を制圧したと言う奴らを知ってるが、実際は隙だらけばかりだ
Yeah
ああ
That shit was awful, nigga had that dog food18dog food
[名・俗語]ヘロインを指すストリートスラング。見た目や質感からついた隠語。
あれはひどかった、あいつはヘロインを持ってた
That day they shot you, I slid19slid
[動・俗語]「滑った」→急行した・駆けつけたを意味するAAVEスラング。 on a Mongoose20Mongoose
[固・ブランド]アメリカのBMX自転車ブランド。貧しい地区では主な移動手段として使われることが多い。
お前が撃たれたあの日、俺はモングースで駆けつけた
You cannot come back around me, you turned your back21turned your back
[句動・イディオム]「背を向けた」→裏切った・見捨てたの意。 on me, I cannot forget
もうお前とは関われない、俺を裏切ったこと、忘れられない
The police was lyin’, they say that they caught you, but nigga, they made you admit
警察は嘘をついてた、お前を捕まえたと言うが、実際は自白させただけだ
Your name was found, you put in that work22put in that work
[句動・俗語]犯罪や抗争において実績を積み、義務を果たすこと。ストリートでの「仕事」をこなした意。, they took your stick23stick
[名・俗語]銃を指すストリートスラング。, you a bitch
お前の名前が出て、やることはやったのに、銃を取り上げられて、お前は臆病者だ
Fuck my opps24opps
[名・俗語]”opponents” の短縮形。AAVE由来で「敵・ライバル」を指すスラング。, they be on my dick25be on my dick
[句・卑俗語]文字通りではなく「俺に執着している・俺のことが頭から離れない」を意味する卑俗なイディオム。, they all be mad we rich (Turn up26Turn up
[句・俗語]「テンションを上げる・盛り上がる・はしゃぐ」を意味するスラング。)
敵どもはクソくらえ、みんな俺に夢中で、俺たちが金持ちなのが悔しくて仕方ないんだろ(盛り上がれ)
[Verse 2: Lil Baby]
Only twenty-five, livin’ like a boss27boss
[名・俗語]成功者・権力者のように振る舞うことを指すスラング。”like a boss”で「堂々と・金持ちのように」の意。, ridin’ ‘round with a chauffeur28chauffeur
[名・仏語由来]富裕層が雇う専属の運転手のこと。フランス語起源の英語借用語。
まだ二十五歳、ボスのような暮らしぶり、専属ドライバーを連れて走り回る
I don’t sell drugs, still be paranoid, keep lookin’ over my shoulder29lookin’ over my shoulder
[慣用句]「肩越しに後ろを振り返る」→誰かに追われているかのように常に背後を警戒するというイディオム。
麻薬は売ってもいないのに、それでもいつも不安で、常に背後を気にし続けている
Niggas lyin’ like I’m stealin’ swag30swag
[名・俗語]独自のスタイル・オーラ・カリスマ性を指すAAVEスラング。ここでは「個性的なスタイル」の意。, boy, that’s my shit31shit
[名・俗語]「もの・スタイル」を強調して指す俗語。ここでは自分固有のスタイルや表現を指す。 like I wrote it
俺のスタイルを盗んでいると嘘をつく奴らがいるが、これは俺が生み出したものだ
[Verse 3: Polo G]
Uh
ウー
These rappers really nice32nice
[形・俗語]hip-hopでは「上手い・卓越した」の意。一般的な「親切な」とは異なる用法。 as hell
こいつらラッパー、マジでレベル高い
I’m a different nigga33nigga
[名・AAVE]「男・奴」を意味するAAVEの表現。 when I’m pissed off
キレたら俺は別人になる
Man, he say he gon’ press up34press up
[句動詞・俗語]誰かに詰め寄る・対立を仕掛けることを意味するスラング。 on who?
あいつ、誰に喧嘩を売るって?
I’ma get the steel35steel
[名・俗語]銃を指すスラング。 like I’m Chris Paul36Chris Paul
[固名]NBAの名ポイントガード。激しいディフェンスプレッシャーで知られ、前行の「press up」を受けて引き合いに出した表現。
クリス・ポールみたいに銃を手にする
Back to back Suburbans37Suburbans
[固名]シボレー・サバーバン。高級大型SUVで、成功や権力の象徴。, I’m a big dawg38big dawg
[名・俗語]「大物・ボス」を意味するスラング。
サバーバンを何台も連ねて、俺は大物だ
I was in the slums servin’39servin’
[動・俗語]「売る」が転じた意。ここでは麻薬の売人行為を指す。 fentanyl
スラム街でフェンタニルを売っていた
Zombieland40Zombieland
[名・比喩]2009年の映画タイトルを転用し、薬物中毒者が徘徊する荒廃した街を表す。, junkies41junkies
[名・俗語]「麻薬中毒者」を指すスラング。 havin’ withdrawals
まるでゾンビランド、中毒者たちが禁断症状に苦しんでいた
I been gettin’ to it42gettin’ to it
[句・俗語]「ハスリングしている・仕事に集中して動き続けている」を意味するスラング。, lotta missed calls
ずっと動き続けてた、不在着信だらけだ
Turn it off, what the fuck is he talking ‘bout?
消してくれ、こいつ何言ってんだ?
I should slap you for sayin’ he hot43hot
[形・俗語]「熱い」→「すごい・イケてる・人気がある」を意味するスラング。 as me
あいつが俺と同レベルだなんて言うなら、ビンタしてやる
I don’t know who could fuck with44fuck with
[句動詞・AAVE]「〜に張り合う・〜に太刀打ちする」を意味するスラング。 me honestly
正直、俺に太刀打ちできる奴がいるとは思えない
They know I’m the man45the man
[名・俗語]「その場で最も力のある人物・第一人者」を意味するAAVEスラング。, so they watchin’ me
俺が一番だとわかってるから、みんな俺を見ている
Different color bands46bands
[名・俗語]「帯で束ねた札束」を意味するスラング。通常1,000ドル単位。 like Monopoly
モノポリーみたいに色とりどりの札束
Man, he must not be usin’ his head47using his head
[慣用句]「頭を使う・ちゃんと考える」を意味するイディオム。
あいつ、まともに頭を使ってないに違いない
If he thinkin’ I don’t keep a Glock48Glock
[固名]オーストリアのグロック社製の半自動拳銃ブランド。ヒップホップで頻出する銃器の代名詞。 with me
俺がグロックを常に持ち歩いてないと思ってるなら
That’s like suicide if you play with49play with
[句動詞・俗語]「〜に手を出す・〜に挑む」を意味するスラング。 us
俺たちに手を出すのは自殺行為も同然
Got a better chance at the lottery
宝くじの方がまだ勝ち目がある
Call an ambulance when that chopper50chopper
[名・俗語]「自動小銃・機関銃」を指すスラング。ヘリコプターと掛けた二重の意味を持つ場合も。 sweep
あのチョッパーが掃射したら救急車を呼べ
Make the crowd dance, choreography
群衆を踊らせる、まるでコレオグラフィーだ
Once I got a plan, ain’t no stoppin’ me
一度プランを決めたら、誰にも俺を止められない
Three-car garage, million-dollar crib51crib
[名・俗語]本来は「赤ちゃんのベッド(ベビーベッド)」の意だが、スラングで「家・住まい」を指す。
3台分のガレージ付き、100万ドルの豪邸
With a foreign bitch ridin’ on top of me
外国の女を上に乗せながら
Lot of people done52done
[助動・AAVE]動詞の直前に置いて動作の完了・既定事実を強調するAAVE(アフリカ系アメリカ人英語)の用法。標準英語の “have said” に相当。 said I wouldn’t be shit53shit
[名・俗語]否定文で「何者でもない・価値のない存在」を意味するスラング。”wouldn’t be shit” =「何にもなれない」。
大勢の奴らが、俺は何にもなれないと言ってた
Well, I guess they owe me an apology
まあ、奴らは俺に謝るべきだな
[Chorus: Lil Baby]
These ain’t no Guess54Guess
[固有名詞・ブランド]アメリカの有名ファッションブランド(1981年創業)。デニムで知られる中価格帯ブランドで、ここでは「その程度のブランドじゃない」という格上げの表現として用いられる。 jeans
これはGuessのジーンズなんかじゃない
I dropped out of school, I’m still good at math, but, nigga, don’t test me
学校は中退したけど、数学は得意だ――でも俺を試そうとするな
I played to the left, they went to the right, they tried to finesse55finesse
[動・俗語]本来「巧みに扱う」→「騙す・丸め込む・出し抜く」を意味するAAVEスラング。 me
俺は左へ動いて、奴らは右へ行った、俺を騙そうとしてきた
Still riding ‘round with that blicky56blicky
[名・俗語]拳銃を指すストリートスラング。主にニューヨーク発のAAVEで使用される。, I hope they don’t catch me
まだあの銃を持って乗り回してる、捕まらないといいけど
Police had raided our spot, so we went to the next street
警察が俺たちのたまり場を手入れしたから、次の通りへ移動した
Play like I’m dumb, as soon as it pop57it pop
[句・俗語]「pop off(事が起こる・状況が激化する)」の短縮形。いざ事態が動き出した瞬間を指す。, I’m goin’ retarded58retarded
[形・AAVE俗語]本来は差別的な語だが、スラングとして「常識を超えて激しく・狂ったように動く」という意味で転用される。
馬鹿なふりをしているが、いざ動き出したら狂ったように暴れる
He say I’m hard59hard
[形・AAVE]「硬い」ではなく「手強い・本物のストリート・すごい奴だ」を意味するスラング。 and he say I’m garbage, I’m rich regardless
奴は俺が本物だとも言い、屑だとも言う、どっちでも俺は金持ちだ
We in Miami in the middle of the winter, and we on them jet skis
真冬のマイアミで、俺たちはジェットスキーに乗っている
If we in Atlanta, I’m runnin’ the ‘Cat60‘Cat
[名・俗語]Dodge社の高性能マッスルカー「Challenger/Charger SRT Hellcat」の略称。700馬力超で知られる。 and I’m workin’ the red key61red key
[名・文化]Dodge Hellcatに付属する赤いキー。差すと最大出力(707馬力以上)が解放される仕様。黒いキーは出力制限あり。
アトランタなら俺はヘルキャットを走らせてレッドキーで全開にする
Writer(s): Lil Durk, Lil Baby, Polo G, Aviator Keyyz, Cicero
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「3 Headed Goat」はどんな曲ですか?
「3 Headed Goat」は、シカゴ出身のラッパー、リル・ダーク(Lil Durk)がリル・ベイビー(Lil Baby)とポロ・G(Polo G)をフィーチャリングし、2021年にリリースしたヒップホップトラックです。タイトルは3人全員がGOAT(Greatest Of All Time=史上最高のアーティスト)であることを「3つの頭を持つヤギ」というインパクトあるイメージで表現しています。リリース後すぐにBillboard Hot 100にチャートインし、各ストリーミングプラットフォームで合計数億回以上の再生回数を記録する大ヒット曲となりました。
「”Aviator”はどういう意味ですか?」
「Aviator(アビエーター)」とは、もともとパイロット向けに設計された逆涙滴型レンズが特徴のサングラスのスタイルを指しており、なかでもレイバン(Ray-Ban)のアビエーターが代名詞的存在です。ヒップホップの歌詞では高級感・クール・富の象徴として頻繁に登場し、ここでは自分のスタイルや成功をさらりと自慢する「フレックス(flex)」表現として使われています。
「”Guess”はどういう意味ですか?」
「Guess」はアメリカ発のファッションブランド「ゲス(Guess?)」のことです。1981年にデニムブランドとして創業し、その後ストリートシーンやヒップホップカルチャーにも深く浸透した定番ブランドのひとつです。歌詞の中では高級ブランドのウェアをまとっているという自己演出、つまり「俺はこんなものを着こなせる」という富と地位のアピールとして登場しています。
「”test”はどういう意味ですか?」
ラップの文脈で「test(テスト)」は「俺を試す・俺に挑んでくる」というニュアンスで使われるスラングです。「Don’t test me(俺を試すな)」のような形で、自分の実力やストリートでの評判・地位に楯突こうとする相手への強い警告として機能します。単なる「試験」という意味を超えて、自信と威圧感を同時に示す定番フレーズとして定着しています。
関連リンク
3 Headed Goat – Lil Durk (Official Video)
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