今回の曲のタイトルは、「The Man」です。直訳すると、「その男」です。テイラー・スウィフトが、社会における男女の二重基準をテーマに書いた楽曲で、女性として感じてきた理不尽さや不平等への思いが率直かつ力強く綴られています。
テイラー・スウィフトは、1989年にアメリカのペンシルベニア州で生まれたシンガーソングライターです。「The Man」は、2019年8月にリリースされたアルバム『Lover』に収録されており、翌2020年1月にシングルとしても発売されました。ビルボード・ホット100では最高28位を記録しています。エレクトロポップを基調としたサウンドに乗せ、「もし自分が男性だったら同じ行動でも称賛されるのに」という痛烈な問いかけを軸に展開する、フェミニスト・アンセムとして広く支持を集めた一曲です。
【直訳のポイント】”The Man”は直訳すると「その男」ですが、英語では「権力や特権を持つ存在」を指す慣用表現でもあります。この曲のテーマである男女の二重基準を意識しながら、そのニュアンスも反映させた和訳を心がけました。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
The Man – Taylor Swift
[Verse 1]
I would be complex, I would be cool
私は複雑でクールだと思われるだろう
They’d say I played the field1played the field
[慣用句]「フィールドで遊ぶ」→ 特定の相手を決めず複数の異性と付き合い回ること。 before I found someone to commit to
誰かに決める前に遊んでいたと言われるだろう
And that would be okay for me to do
そして、私がそうしても当然のこととされるだろう
Every conquest2conquest
[名・比喩]「征服」→ 口説き落とした恋愛相手を指す比喩表現。 I had made would make me more of a boss3boss
[名・俗語]「上司・親分」→ 有能で威厳があり、かっこいいという意味の俗語。 to you
重ねてきた恋の戦歴が、あなたの目に私をよりデキた人間として映すだろう
[Pre-Chorus]
I’d4I’d
[助動詞]「I would」の短縮形。ここでは現実にはない状況を空想する仮定法(「〜になれたなら」)を表す。 be a fearless leader, I’d be an alpha type5alpha type
[名・俗語]集団の中で支配的・指導的な立場に立つ人物を指す表現。「アルファ(α)」は序列の頂点を意味する。
恐れ知らずのリーダーに、頂点に立つ存在になれたなら
When everyone believes ya, what’s that like?
みんながあなたを信じてくれるって、どんな気分なんだろう?
[Chorus]
I’m so sick of6sick of
[句動詞・イディオム]「病気の」ではなく「〜にうんざりしている・嫌気が差している」という意味の慣用句。 running as fast as I can
全力で走り続けることに、もううんざりしている
Wonderin’ if I’d get there7get there
[句動詞]「そこに着く」→「目標を達成する・成功を手にする」という意味のイディオム。 quicker if I was a man
もし男だったら、もっと早く目標に辿り着けたんじゃないかって
And I’m so sick of them comin’ at8come at
[句動詞]「〜に向かってくる」→「攻撃する・突っかかる・批判をぶつけてくる」という意味のイディオム。 me again
そしてまた彼らに突っかかられることにも、うんざりでたまらない
‘Cause if I was a man, then I’d be the man9the man
[名・俗語]単なる「男性」ではなく、「トップの人間・支配的な立場の成功者」を指すスラング。
だって男だったら、私こそが頂点に立てた
I’d be the man (Man)
私が頂点に立てた(男)
I’d be the man (Man)
私が頂点に立てた(男)
[Verse 2]
They’d10They’d
[縮約形]”They would”の短縮形。ここでは仮定法で「(もし私が男性なら)そう言われただろう」という意味。 say I hustled11hustled
[動・俗語]「押しのける」が原義だが、転じて「必死に働く・努力し続ける」を意味するスラング。, put in the work
努力した、全力で働いたと言われただろう
They wouldn’t shake their heads12shake their heads
[句・イディオム]頭を横に振る動作から転じて「懐疑・不信・不満を示す」ことを意味するイディオム。 and question how much of this I deserve
私がどれだけこの成功に値するのかと、首を振って疑問視されることもなかっただろう
What I was wearing, if I was rude
私が何を着ていたか、無礼だったかどうかも
Could all be separated from my good ideas and power moves13power moves
[名・俗語]優位性を示し、状況を自分に有利に動かすための戦略的な行動。
優れたアイデアや戦略的な行動とは切り離して見てもらえたはずだ
[Pre-Chorus]
And they would toast14toast
[動・イディオム]「toast to 〜」で「〜のために乾杯する・〜を称えて杯を上げる」の意。 to me, oh (Ayy), let the players15players
[名・俗語]「選手」ではなく、享楽的に遊ぶ人・チャラい生き方をする人を指すスラング。 play
みんな俺のために乾杯するだろう、さあ遊び人たちには好きにやらせろ
I’d be just like Leo16Leo
[固有名詞]レオナルド・ディカプリオのこと。サントロペでのヨットパーティーや豪遊で知られ、「リッチな遊び人」の象徴として用いられる。 in Saint-Tropez
サントロペのレオみたいな生き方をしているだろうに
[Chorus]
I’m so sick of17sick of
[イディオム]「〜にうんざりしている・嫌気が差している」という意味の慣用表現。身体的な「病気」ではなく、強い倦怠感・不満を表す。 running as fast as I can
こんなに全力で走り続けることに、もううんざり
Wonderin’ if I’d get there18get there
[句動詞]「そこに辿り着く」→「目標を達成する・成功する」という意味のイディオム。具体的な場所ではなく、成功や頂点を指す。 quicker if I was a man
男だったらもっと早く頂点に立てたのかって、ずっと考えながら
And I’m so sick of them comin’ at me19comin’ at me
[句動詞]「私に向かってくる」→「批判してくる・攻撃を仕掛けてくる」という意味のイディオム。 again
そして何度も私を攻撃してくる連中に、もううんざり
‘Cause if I was a man, then I’d be the man20the man
[名・俗語]「ザ・男」→「頂点に立つ人物・最も力ある者・業界のボス」を指すスラング。
だって男だったら、私こそがその頂点に立っていたはずだから
I’d be the man (Man)
私がその座に就いていたのに
I’d be the man (Man)
私がその座に就いていたのに
[Bridge]
What’s it like to brag about raking in21raking in
[句動詞]「熊手でかき集める」→「大金を次々と稼ぐ」を意味するイディオム。 dollars
金を荒稼ぎして自慢するって、どんな気分だ
And getting bitches and models?
女やモデルをものにしてさ
And it’s all good if you’re bad
悪いことをしても全然OKで
And it’s okay if you’re mad
怒っていたって許される
If I was out flashin’ my dollars
もし私が金をひけらかしていたら
I’d be a bitch, not a baller22baller
[名・AAVE]金回りよく豪奢な生活を送る成功者を指すAAVEスラング。元はプロスポーツ選手の意。
成功者じゃなくビッチと呼ばれる
They’d paint me out to be23paint me out to be
[慣用句]「〜であると描き出す・仕立て上げる」を意味するイディオム。 bad
悪者に仕立て上げられる
So it’s okay that I’m mad
だから私が怒るのも当然だ
[Chorus]
I’m so sick of24sick of
[イディオム]「sick」は本来「病気の」の意だが、「sick of」で「〜にうんざりしている・〜が嫌でたまらない」という強い嫌悪感を表すイディオム。 running as fast as I can
全力で走り続けることにもううんざり
Wonderin’ if I’d25I’d
[短縮形・仮定法]「I would」の短縮形。ここでは「もし男だったら〜できたのに」という反実仮想(実際には男ではないという前提)を表す仮定法過去。 get there26get there
[句動詞]「そこへたどり着く」→ 転じて「目標を達成する・成功を手にする」の意のイディオム。 quicker if I was a man (You know that)
もし男だったなら、もっと早く目標に届いたのかと思い悩みながら(わかるでしょ)
And I’m so sick of them comin’ at me27comin’ at me
[句動詞]「come at」=「〜に向かってくる」→ 転じて「攻撃する・批判する・圧力をかける」の意。 again (Comin’ at me again)
そしてまた向かってくる連中にも、もううんざり(また向かってくる)
‘Cause if I was a man (If I was a man), then I’d be the man28the man
[名・俗語]「その男」→ 「頂点に立つ者・最も力を持つ存在・皆に認められた一番の人物」を指すスラング。 (Then I’d be the man)
だって、もし男だったなら(もし男だったなら)、私こそがその頂点に立てたのに(そうなれたのに)
I’m so sick of running as fast as I can (As fast as I can)
全力で走り続けることにもううんざり(全力で)
Wonderin’ if I’d get there quicker if I was a man (Hey)
もし男だったなら、もっと早く目標に届いたのかと思い悩みながら(ねえ)
And I’m so sick of them comin’ at me again (Comin’ at me again)
そしてまた向かってくる連中にも、もううんざり(また向かってくる)
‘Cause if I was a man (If I was a man), then I’d be the man
だって、もし男だったなら(もし男だったなら)、私こそがその頂点に立てたのに
I’d be the man (Man)
私こそがその頂点に立てた(そうなれた)
I’d be the man (Man, oh)
私こそがその頂点に立てた(ああ、そうなれた)
I’d29I’d
[縮約・助動詞]I wouldの短縮形。ここでは仮定・願望のニュアンスで「〜になれるのに」を表す。 be the man30the man
[名・俗語]直訳は「その男」だが、「最高の男」「頂点に立つ者」「一番デキるやつ」を意味するイディオム。 (Man, yeah)
俺こそが最高の男になれるのに(そうさ、そうだ)
I’d be the man31the man
[名・俗語]「最高の男」「頂点に立つ者」を意味するイディオム。 (Man, I’d be the man)
俺こそが最高の男になれるのに(そうだ、俺こそが最高の男)
[Outro]
If I was a man
もし私が男だったなら
Then I’d be the man32the man
[名・俗語]「その男」→「頂点に立つ人・最も優れた人物」を指すスラング。単なる「男性」ではなく、称賛・権力の意味を含む。
きっと最高の男になってみせる
Writer(s): Joel Little, Taylor Swift
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「The Man」はどんな曲ですか?
「The Man」は、テイラー・スウィフトが2019年8月にリリースしたアルバム『Lover』の収録曲で、2020年1月27日にリードシングルとして正式配信されました。「もし自分が男性だったら、まったく同じ言動をしてももっと称えられていたはずだ」というジェンダーの二重基準を、痛快なポップ・アンセムとして描いた作品です。ビルボード・ホット100では最高16位を記録し、テイラー自身が監督・主演(男性に変装)を務めたミュージックビデオはYouTubeで3億回以上再生されています。
「”played the field”」はどういう意味ですか?
「play the field」とは、特定の一人に絞らず複数の相手と同時進行で交際したり、恋愛の可能性を広く探ったりすることを指す口語表現です。日本語の「いろんな人と遊ぶ」「誰にでも色目を使う」に近いニュアンスです。曲の中でテイラーは、まったく同じ行動をしても男性なら「モテてカッコいい」と持ち上げられ、女性だと批判されるという矛盾をこの言葉で鋭く突いています。
「”conquest”」はどういう意味ですか?
「conquest」はもともと「征服・攻略」を意味する言葉ですが、恋愛の文脈では「口説き落とした相手」「落とした人の数」というニュアンスで使われます。まるで戦場で敵を倒すように、恋愛相手をトロフィーとして扱う発想が込められた、やや古風で男性目線の表現です。テイラーはこの言葉を用いることで、男性が多くの恋愛経験を「征服リスト」として誇れる文化を、皮肉たっぷりに批判しています。
「”boss”」はどういう意味ですか?
「boss」は本来「上司・社長」を意味しますが、現代のスラングでは「自信にあふれてどんな場でも仕切れる実力者」「カッコいい」という褒め言葉として広く使われています。「He’s a total boss(あいつは本物のボスだ)」のように、力強さや主導権を持つ人への最高の賛辞です。曲の中でテイラーは、自分と同じ自己主張やリーダーシップを持っていても、男性なら「ボスだ!」と尊敬される一方で、女性の自分は「高慢だ」と映ってしまうという理不尽な現実を歌い込んでいます。
関連リンク
The Man – Taylor Swift (Official Video)
他の曲も和訳しています。よろしければどうぞ!
【歌詞和訳】Anti-Hero – Taylor Swift
【歌詞和訳】Blank Space – Taylor Swift
【歌詞和訳】Cruel Summer – Taylor Swift
【歌詞和訳】I Knew It, I Knew You – Taylor Swift
【歌詞和訳】Love Story – Taylor Swift