今回の曲のタイトルは、「All For Us」です。直訳すると、「すべては私たちのために」です。
ラブリンス(Labrinth)は、イギリス・ロンドン出身のシンガーソングライター兼音楽プロデューサーで、本名はティモシー・リー・マッケンジーといいます。この「All For Us」は、2019年にHBOのドラマシリーズ『ユーフォーリア(Euphoria)』のシーズン1フィナーレで使用され、同年リリースのオリジナルスコアアルバム『Euphoria (Season 1) (Original Score from the HBO Series)』に収録されています。ドラマの衝撃的なラストシーンとともに流れたことで世界的な話題を呼び、ゴスペル調の壮大なコーラスとラブリンスの圧倒的な歌声が融合したシネマティックなR&B/ゴスペル曲として高く評価されました。
【こだわり解説】サビの “I’m taking it all for us” は多くのサイトで「すべてを手に入れる」のように前向きに訳されがちですが、”take” には本来「(重荷や責任を)引き受ける」という意味があり、当ブログではあえて「背負う」という訳を採用しました。貧困や父の不在といった歌詞前半の重い現実を踏まえると、この一節は成功への野心よりも、大切な人のために苦難を引き受ける覚悟を歌っていると考えたためです。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
All For Us – Labrinth
[Intro]
Oooh
ウー
I’m taking it all for us
ふたりのために、すべてを背負う
Taking it all
すべてを背負って
Taking it all for us
ふたりのために、すべてを背負って
Ooh
ウー
I’m doing it all for love
すべては愛のためにやっている
I’m doing it all
すべてをやっている
I’m doing it all for love
すべては愛のために
[Drop]
Taking it all for us, all
すべてをふたりのために、すべてを
Doing it all for love
すべては愛のためにしている
Ayy-ayy, ayy-ayy
エイエイ、エイエイ
[Verse 1]
No food in the kitchen (Famine, famine)
キッチンに食べ物がない(飢饉、飢饉)
Money MIA1MIA
[略語・俗語]”Missing In Action”(戦闘中行方不明)の略。ここでは「お金が消えた・どこにもない」という意味のスラング。 (Pockets hell-a2hell-a
[副・俗語]”hella”の別表記。「めちゃくちゃ・超」を意味する強調スラング(AAVE・西海岸方言起源)。 empty)
お金は行方不明(ポケットはすっからかん)
Mumma making ends meet3making ends meet
[慣用句]「収入と支出をぴったり合わせる」→「なんとかやりくりする・ぎりぎり生計を立てる」という慣用表現。 (Making ends meet)
ママはなんとかやりくりして(やりくりしながら)
Working like a slave (Mississippi,4Mississippi
[固有名詞]アメリカ南部の州。奴隷制の歴史が最も過酷だった地域の象徴として知られ、ここでは苛酷な労働・奴隷制の文脈で用いられている。 ayy-aya)
奴隷のように働いて(ミシシッピ、あ〜)
Daddy ain’t at home, no (Father, Father)
父さんは家にいない(父よ、父よ)
Better be a man (Michael Corleone5Michael Corleone
[固有名詞]映画『ゴッドファーザー』の主人公。穏やかな青年から一家を背負う冷酷なマフィアのボスへと変貌した人物で、「男として立つ」象徴として引用される。)
男にならなければ(マイケル・コルレオーネのように)
Do it for my homegrown’s6homegrown’s
[名・俗語]”homegrown”は「地元育ちの」が原義。ここでは同じ地域・コミュニティで育った仲間を指すスラング。 (Sisters, brothers)
地元の仲間のために(姉妹、兄弟のために)
Do it for the clan (Yeah, so tell em Labby)
一族のために(そうだ、Labbyに伝えてくれ)
[Pre-Chorus 1]
Ayy
ああ
Just for your love yeh I’ll
お前の愛のためだけに、俺は
Give you the world
世界を与えよう
Mona Lisa’s smile
モナ・リザのような微笑みを
Aye
ああ
Hell I’ll do7do
[動・俗語]「する」→ここでは刑期を服役することを意味する。「do time(服役する)」の転用。 25 to life825 to life
[法律用語・米]「最低25年、最長終身刑」を意味する米国の量刑形式。
俺は25年から終身刑だって受けてやる
If it makes me a king
それで王になれるなら
A star in your eyes
お前の瞳に輝く星に
[Pre-Chorus 2]
Guilty or innocent
有罪でも無罪でも
My love is infinite, I’m giving it
私の愛は無限、惜しみなく注ぎ続ける
No need for prisoners
囚人なんていらない
Bitch please9Bitch please
[感・AAVE]「黙れ」「いいから」に近い強い命令・軽蔑のニュアンスを持つ感嘆詞。次の命令フレーズへの勢いをつける。 hands up this is a stick up10stick up
[名・俗語]銃を突きつけて金品を奪う強盗・ホールドアップのこと。「hands up(手を上げろ)」と組み合わせた武装強盗の定番フレーズ。 cause I’m
黙って手を上げろ、これは強盗だ、なぜなら私は—
[Chorus]
I’m, ayy
ああ、俺は
I’m taking it11taking it
[句動詞]「受け取る」→ 困難・責任を「引き受ける・背負う」の意。
俺が引き受ける
Ayy-ayy
ああ、ああ
I’m taking it all for us
俺たちのために全部背負う
Doing it all for love
全部、愛のためにやってる
Ayy ayy ayy ayy
ああ、ああ、ああ、ああ
[M8]
Guess you figured my two times two
きっとわかってたんでしょう、私の二かける二が
Always equates to one
いつだって一になるってこと
Dreamers are selfish
夢想家というのは、みんな自分勝手なんだ
When it all comes down to it12comes down to it
[イディオム]「すべてが〜に帰着するとき」→「結局のところ」「つまるところ」を意味する慣用表現。直訳とは意味がずれる。
結局のところ
I hope one of you come back to remind me of who I was
あなたたちの誰かが戻ってきて、かつての私を思い出させてくれたらいい
When I go disappearing
私が消えていくとき
Into that good night13good night
[文学的典故]ディラン・トマスの詩「Do Not Go Gentle into That Good Night」(1951)に由来。詩の中で「その夜」は死・終わりの暗喩として使われる。, good night, good night, good night, good night
あの夜の闇の中へ、おやすみ、おやすみ、おやすみ、おやすみ、おやすみ
[Chorus]
I’m taking it all for us, all
全部、俺たちのために全部手に入れてみせる
Doing it all for love
全部、愛のためにやっている
Ayy ayy ayy ayy
エイ エイ エイ エイ
[Outro]
And they all lived happily ever after
そして彼らはみな、いつまでも幸せに暮らしましたとさ
And they all lived happily
そして彼らはみな、幸せに暮らしました
And they all lived
そして彼らはみな、生きていました
And they all
そして彼らはみな
Grow up14Grow up
[句動詞・慣用]「大人になれ/現実を見ろ」という皮肉な命令。おとぎ話の定型句が崩れた直後に置かれ、夢想から目を覚ますよう促す。
現実を見ろ
Writer(s): Labrinth
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「All For Us」はどんな曲ですか?
「All For Us」は、2019年にHBOで放送されたドラマ『Euphoria(ユーフォーリア)』シーズン1のフィナーレを飾った楽曲で、イギリス人シンガー・ソングライターのLabrinthと、ドラマ主演女優のZendayaが共演しています。ゴスペルの高揚感とオーケストラの壮大さが融合したサウンドが話題を呼び、Spotifyでは数千万回以上の再生を記録、TikTokでもドラマのクリップとともに爆発的に拡散しました。ドラマを見ていない人にもその感情的な強さが伝わり、独立した楽曲としても世界中で愛されています。
“MIA”はどういう意味ですか?
“MIA” は Missing In Action(行動中の行方不明)の頭文字をとった軍事用語が起源で、もともとは戦場で消息を絶った兵士を指していました。でも現代の日常英語では、もっと気軽に「急に連絡が取れなくなった」「姿を消した」というニュアンスで使われています。たとえば、急にSNSの返信が来なくなった友だちのことを “She’s been MIA lately.” と表現したりしますよ。この歌詞では、大切な人が自分の前からいなくなってしまった喪失感や心の空白を、たった三文字に凝縮して表現しています。
“making ends meet”はどういう意味ですか?
“Making ends meet” は「なんとか生活費をやりくりする」「収支のつじつまを合わせる」という意味のイディオムです。”ends” は家計の「両端」(入ってくるお金と出ていくお金)を指していて、それを “meet”(くっつける・一致させる)させるというイメージから生まれた表現なんです。日本語で言えば「ギリギリ食いつないでいる」「家計が火の車」に近いニュアンスですね。この曲の歌詞の文脈では、経済的にも感情的にも追い詰められた状況の中でもがいている様子がリアルに描かれており、聴く人の胸に刺さる一節になっています。
“Mississippi”はどういう意味ですか?
“Mississippi” はアメリカ南部に位置する州の名前ですが、この歌詞で登場するときは単なる地名以上の重みを持っています。ミシシッピ州は南北戦争の傷跡や深刻な貧困・人種差別の歴史と切り離せない場所であり、「アメリカの苦難の象徴」として文学・音楽・映画に繰り返し登場してきました。また英語圏では、秒を数えるときに “one Mississippi, two Mississippi…” と口にする習慣があり(各音節がちょうど1秒に対応するため)、この言葉自体がじっくりと刻まれていく時間の感覚も呼び起こします。歌詞の中では、こうした歴史的・文化的なイメージが重なり合い、痛みと祈りが混ざった独特の雰囲気を生み出しています。
関連リンク
All For Us – Labrinth (Official Video)
他の曲も和訳しています。よろしければどうぞ!
【歌詞和訳】Savage Love (Laxed – Siren Beat) – Jawsh 685 and Jason Derulo
【歌詞和訳】Misery – Maroon 5
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【歌詞和訳】The Box – Roddy Ricch
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