今回の曲のタイトルは、「A Question of Honour」です。直訳すると、「名誉の問題」です。イギリスのソプラノ歌手サラ・ブライトマンが放つこの楽曲は、19世紀のオペラ旋律と現代的なポップサウンドを見事に融合させた、クラシカルクロスオーバーの傑作です。
サラ・ブライトマンは1960年生まれのイギリス出身のソプラノ歌手で、ミュージカル『オペラ座の怪人』のクリスティーヌ役として世界的な名声を得た後、ソロ活動へと転向しました。「A Question of Honour」は1995年にリリースされた楽曲で、同年発表のアルバム『Fly』に収録されています。プロデューサーのフランク・ピーターソンが、アルフレード・カタラーニのオペラ『ラ・ワリー』(1892年)のアリア「Ebben? Ne andrò lontana」の旋律をもとに制作した本作は、ドイツで最高15位、日本のオリコンチャートでも最高38位を記録するヒットとなりました。荘厳なオペラの迫力と現代的なビートが一体となったクラシカルクロスオーバーのジャンルに属し、名誉・覚悟・信念をテーマとした重厚なドラマ性が大きな魅力です。
【直訳のポイント】タイトルの「honour(名誉)」は、礼節や体裁といった外向きの意味だけでなく、たとえ困難な状況でも自らの信念を貫くという強い意志を表します。そのため「名誉の問題」という訳語を選びました。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
A Question of Honour – Sarah Brightman
[Verse 1]
Ebben?1Ebben?
[感・伊]「さて」「ならば」「それでは」を意味するイタリア語の感嘆詞。決意や覚悟を示す問いかけのニュアンスを持つ。 Ne andrò lontana
さあ、それなら——私は遠くへ去ってゆこう
Come va l’eco della pia2pia
[形・伊]「敬虔な」「信心深い」を意味するイタリア語形容詞。鐘の清らかさ・神聖さを示す。 campana
敬虔な鐘の木霊が漂うように
Là, fra la neve bianca
あそこへ、白い雪の中を
Là, fra le nubi d’or3d’or
[名・伊]「di oro(黄金の)」の詩的短縮形。韻律のため語末の母音を省いたもの。
あそこへ、黄金の雲の中を
Laddove4Laddove
[副・伊]「là dove(そこで/〜するところ)」が融合した文語的表現。英語の “where” に相当するが、より詩的・荘厳な響きを持つ。 la speranza, la speranza
希望が、希望が宿るその場所に
È rimpianto5rimpianto
[名・伊]「後悔」「郷愁」「喪失感」を含む複合的な感情。英語の “regret” よりも切なさと懐かしさを帯びたイタリア語特有の語。, è rimpianto, è dolor6dolor
[名・伊]「dolore(痛み・悲しみ)」の古語・詩的形。韻律のため語末の -e を省いたもの。
それは後悔、後悔、そして悲しみ
[Verse 2]
Ebben?7Ebben
[感・伊]「さて」「ならば」「それでは」を意味するイタリア語の感嘆詞。決意や覚悟を示す問いかけのニュアンスを持つ。 Ne andrò lontana
さあ、それなら——私は遠くへ去ってゆこう
Laddove8Laddove
[副・伊]「là dove(そこで/〜するところ)」が融合した文語的表現。英語の “where” に相当するが、より詩的・荘厳な響きを持つ。 la speranza, la speranza
希望が、希望が宿るその場所に
È rimpianto9rimpianto
[名・伊]「後悔」「郷愁」「喪失感」を含む複合的な感情。英語の “regret” よりも切なさと懐かしさを帯びたイタリア語特有の語。
それは後悔
Sola e lontana
ひとりで、遠くに
[Bridge]
Two men collide
二人の男が衝突する
When two men collide
二人の男が衝突するとき
When two men collide
二人の男が衝突するとき
It’s a question10question
[名・イディオム]「質問」ではなく「問題・事柄」の意。”a question of ~” で「~の問題」を表すイディオム。 of honour
それは名誉の問題だ
Two men collide
二人の男が衝突する
When two men collide
二人の男が衝突するとき
When two men collide
二人の男が衝突するとき
It’s a question11question
[名・イディオム]「質問」ではなく「問題・事柄」の意。”a question of ~” で「~の問題」を表すイディオム。 of honour
それは名誉の問題だ
Two men collide
二人の男が衝突する
When two men collide
二人の男が衝突するとき
When two men collide
ふたりの男が衝突するとき
[Chorus]
If you win or you lose
勝とうと負けようと
It’s a question12question
[名・イディオム]ここでは「質問」ではなく「問題・事柄」の意。”a question of ~”で「~の問題」を表すイディオム。 of honour
それは名誉の問題だ
And the way that you choose
そしてあなたが選ぶ道こそ
Is a question of honour
名誉にかかわることなのだ
[Post-Chorus]
I can’t tell13tell
[句動詞]「言う」ではなく「区別する・判断する」の意。can’t tell = 見分けがつかない、判断がつかない。 what’s wrong or right
何が正しくて何が間違っているのか、判断がつかない
If black is white or day is night
黒が白か、昼が夜かさえも
But I know when two men collide
でも、ふたりの男がぶつかり合うとき、わかることがある
It’s a question of14a question of
[イディオム]「〜についての質問」ではなく「〜の問題・〜次第」を意味するイディオム。question を「質問」と読むと意味がずれる。 honour
それは名誉の問題だ
[Chorus]
If you win or you lose
勝っても負けても
It’s a question15question
[名・イディオム]「質問」ではなく「問題・事柄」の意。”a question of X” で「Xの問題」「Xに関わること」を表すイディオム。 of honour
それは名誉の問題だ
And the way that you choose
そしてあなたが選ぶ道こそ
Is a question16question
[名・イディオム]「質問」ではなく「問題・事柄」の意。”a question of X” で「Xの問題」「Xに関わること」を表すイディオム。 of honour
名誉の問題なのだ
If you win or you lose
勝っても負けても
It’s a question17question
[名・イディオム]「質問」ではなく「問題・事柄」の意。”a question of X” で「Xの問題」「Xに関わること」を表すイディオム。 of honour
それは名誉の問題だ
And the way that you choose
そしてあなたが選ぶ道こそ
Is a question18question
[名・イディオム]「質問」ではなく「問題・事柄」の意。”a question of X” で「Xの問題」「Xに関わること」を表すイディオム。 of honour
名誉の問題なのだ
[Post-Chorus]
I can’t tell what’s wrong or right
何が正しく何が間違っているのか、見極められない
If black is white or day is night
黒が白なのか、昼が夜なのか
I know when two men collide
ふたりの男が衝突するとき、私にはわかる
It’s a question19question
[名・イディオム]「質問」ではなく「問題・事柄」の意。”a question of X” = 「Xに関わる問題」というイディオム。 of honour
それは名誉の問題だ
[Verse 3]
Ebben20Ebben
[感嘆詞・伊]イタリア語の間投詞「ebbene」の短縮形。「さあ、それなら」「よし、それなら」という決意・諦念を示す。? Ne andrò lontana
それなら?私は遠くへ去ってゆく
Come va l’eco della pia21pia
[形・伊]ラテン語 “pius” 由来。「敬虔な・信心深い」の意。教会の鐘に神聖な響きを添える修飾語。 campana
敬虔な鐘の木霊が消えてゆくように
Là, fra la neve bianca
あそこへ、白い雪の中へ
Là, fra le nubi d’or
あそこへ、黄金の雲の中へ
N’andrò22N’andrò
[句・伊]”Ne andrò” の詩的短縮形。小辞 “ne” は「ここから離れて」の意を含み、単なる “andrò(行く)” より強い「ここを去ってゆく」というニュアンスを持つ。, n’andrò sola e lontana
去ってゆく、去ってゆく、ひとりで遠く
E fra le nubi d’or
そして黄金の雲の中へ
Writer(s): Frank Peterson, Alfredo Catalani, Luigi Illica
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「A Question of Honour」はどんな曲ですか?
「A Question of Honour」は、サラ・ブライトマンが1995年にリリースしたシングルで、アルバム『Fly』に収録されました。アルフレード・カタラーニが1892年に作曲したオペラ『ラ・ワリー』のアリア「Ebben? Ne andrò lontana」を大胆に取り入れており、ポップスとクラシック・オペラを融合させたクロスオーバー・サウンドが大きな話題を呼びました。ドイツのシングルチャートで最高15位、日本のオリコンチャートでも最高38位を記録し、その後も多くのコンピレーションアルバムに収録され、現在もストリーミングで根強い人気を誇っています。
歌詞に出てくる「pia」はどういう意味ですか?
「pia」はイタリア語の形容詞で、「敬虔な」「信心深い」「慈悲深い」といった意味を持ちます。もとはラテン語の「pius」に由来し、宗教的な純粋さや清らかさを表す言葉として長くイタリア文学・オペラの世界で使われてきました。この曲のベースとなっているオリジナルのアリア「Ebben? Ne andrò lontana」でも、教会の鐘の音の神聖さを形容するために用いられており、ただ「きれい」というだけでなく、清らかさまで含んだ、とても奥行きのある表現です。
歌詞に出てくる「d’or」はどういう意味ですか?
「d’or」はイタリア語「d’oro」(フランス語でも「d’or」)の詩的な短縮形で、「黄金の〜」「金色の〜」という意味です。歌詞では「le nubi d’or(黄金の雲)」という形で登場し、主人公が遠くへ去っていく先の情景を彩る表現として使われています。オペラや詩の世界では、金・黄金は単なる色や素材ではなく「かけがえのない美しさ」「永遠の輝き」の象徴。この一語に、旅立ちの荘厳さと切なさが凝縮されています。
歌詞に出てくる「Laddove」はどういう意味ですか?
「Laddove」は、イタリア語の「là(そこに・あそこに)」と「dove(どこに・〜するところ)」が合わさってできた文語・詩語で、「〜するところに」「〜するそのところへ」という意味になります。現代の日常会話ではあまり使われない格調高い表現で、オペラのリブレットや古典文学に好んで使われます。英語の歌詞の中にこのイタリア語の詩語が溶け込むことで、曲全体に原曲『ラ・ワリー』が描くチロル地方の山岳を舞台にした情熱的なドラマの空気感が漂い、サラ・ブライトマンの歌声と相まって、時代を超えた切なさを生み出しています。
関連リンク
A Question of Honour – Sarah Brightman (Official Video)
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