今回の曲のタイトルは、「What Is This Feeling」です。直訳すると、「この感情は一体何なのでしょう」です。
「What Is This Feeling」は、2003年にブロードウェイで初演されたミュージカル『ウィキッド』の楽曲で、作詞・作曲はスティーヴン・シュワルツが手がけました。2024年11月に公開された映画版『ウィキッド』では、グリンダ役のアリアナ・グランデとエルファバ役のシンシア・エリヴォがこの曲を披露し、サウンドトラックアルバム『Wicked: The Soundtrack』(2024年)に収録されています。物語の序盤でふたりが互いへの激しい嫌悪感をコミカルかつ皮肉たっぷりに歌い上げるミュージカルナンバーで、ポップとシアターが融合したジャンルが特徴です。映画の世界的な大ヒットとともにサウンドトラックはビルボード200の上位にランクインし、大きな話題を呼びました。
【こだわり解説】タイトルの “feeling” は「感情」や「気持ち」と訳せますが、ここでは突然芽生えた嫌悪感という文脈から、あえて「感情」という言葉を選びました。歌詞全体が皮肉とユーモアで彩られている点も翻訳の工夫どころです。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
What Is This Feeling – Ariana Grande & Cynthia Erivo
[GALINDA, spoken]
Dearest, darlingest Momsie1Momsie
[名・愛称]「Mom(お母さん)」に愛らしさを加えた幼児語的な造語。 and Popsicle2Popsicle
[名・愛称]「Pop(お父さん)」+「Popsicle(アイスキャンディー)」をかけた造語で、父親への甘えた呼びかけ。
最愛の、いとしいお母さまとお父さまへ
[ELPHABA, spoken]
My dear father
愛しき父へ
[GALINDA & ELPHABA]
There’s been some confusion over rooming3rooming
[動名詞]「部屋に泊まる・共同で部屋を使う」こと。ここでは寮の部屋割りを指す。 here at Shiz4Shiz
[固有名詞]ミュージカル『ウィキッド』に登場する魔法の国オズの名門大学「シズ大学」のこと。
シズでの部屋割いをめぐって、少々混乱があって
[ELPHABA]
But of course, I’ll care for Nessa
もちろん、ネッサの面倒を見るわ
[GALINDA]
But of course, I’ll rise above5rise above
[句動詞]「〜を乗り越える/超越する」。困難・批判・逆境に屈せず精神的に上回ることを意味するイディオム。 it
でも当然、私はそれを乗り越えてみせる
[GALINDA & ELPHABA]
For I know that’s how you’d6you’d
[助動詞]you wouldの短縮形。「あなたならそう望むだろう」という仮定・推量のニュアンスを持つ。 want me to respond
それがあなたの望む返し方だと、わかっているから
[GALINDA & ELPHABA, spoken]
Yes
はい
[GALINDA & ELPHABA]
There’s been some confusion for, you see, my roommate is
少し混乱があってね、というのも、ルームメイトが
[GALINDA]
Unusually and exceedingly peculiar
異例なほど、この上なく奇妙で
And altogether quite impossible to describe
そして、まったくもって言い表しようがない
[ELPHABA, spoken]
Blonde
金髪
[GALINDA]
What is this feeling, so sudden and new?
この気持ちはなんだろう、こんなにも突然で、初めての感覚?
[ELPHABA]
I felt the moment I laid eyes on7laid eyes on
[句動詞]「目を置いた」→「(初めて)目にした・見た」を意味するイディオム。lay eyes on で「〜を見る」。 you
あなたを見た瞬間、確かに感じた
[GALINDA]
My pulse is rushing
胸の鼓動が速まる
[ELPHABA]
My head is reeling8reeling
[動・慣用]「糸を巻く」→ 頭がぐるぐる回る・混乱・めまいの状態を表すイディオム。
頭がくらくらする
[GALINDA, spoken]
Yeah, well, my face is flushing9flushing
[形・動]顔が赤くなる・紅潮する、という意味。「flush」は液体を流すだけでなく、感情や熱で顔が赤くなる状態を指す。
そう、私の顔は真っ赤になってる
[GALINDA & ELPHABA]
What is this feeling
この感情はいったい何なのか
Fervid10Fervid
[形・文語]ラテン語 fervēre(燃える)に由来。「炎のように燃えるほど激しい・熱烈な」を意味する文語的形容詞。 as a flame?
炎のように燃え立つほど激しい、この感情は?
Does it have a name?
名前はあるのだろうか?
Yes
ある
Loathing11Loathing
[名]動詞 loathe(ひどく嫌う・忌み嫌う)の派生語。「激しい嫌悪・憎しみ」を意味する。
嫌悪だ
Unadulterated12Unadulterated
[形]「混じりけのない・純粋な」が本義。ここでは「まったくの・完全な」という強調表現として使われている。 loathing
混じりけのない、純粋な嫌悪
[GALINDA]
For your face
あなたの顔のために
[ELPHABA]
Your voice
あなたの声
[GALINDA]
Your clothing
あなたの服
[GALINDA & ELPHABA]
Let’s just say
ひと言で言えば
I loathe it all
すべてが嫌でたまらない
Every little trait, however small
どんなに些細な特徴も
Makes my very flesh begin to crawl13crawl
[慣用句]make one’s flesh crawl で「身の毛がよだつ・ぞっとする」を意味するイディオム。literal は「皮膚が這う」。
身の毛がよだつほどの嫌悪を呼び起こす
With simple, utter loathing
ただただ純粋な嫌悪とともに
There’s a strange exhilaration
奇妙な高揚感がある
In such total detestation
これほど完全な憎悪の中に
It’s so pure, so strong
こんなにも純粋で、強烈だ
Though I do admit, it came on14came on
[句動詞]come on の過去形。感情や状態が「急に生じる・湧き上がる」を意味する。 fast
確かに、急に湧き上がったとは認めるけれど
Still, I do believe that it can last
それでも、これはきっと続くと信じている
And I will be loathing15loathing
[動名詞]「hate(嫌う)」をはるかに超えた、激しい嫌悪・憎悪を抱くこと。生理的な拒絶感を含む強い語。
そして私はずっと、憎しみを抱き続けるでしょう
Loathing you my whole life long16my whole life long
[句・詩語]「私の生涯ずっと」を意味する詩的・古風な語順。通常は “for my whole life” だが、韻律上この形に倒置されている。
生涯をかけて、あなたを憎みながら
[SHIZ STUDENTS]
Dear Galinda, you are just too good
親愛なるガリンダ、あなたは善良すぎるほどよ
How do you stand17stand
[動・句動詞]「立つ」が原義だが、ここでは「我慢する・耐える」の意。stand it=それに耐える。 it? I don’t think I could
どうやって耐えているの?私にはとても無理だわ
She’s a terror, she’s a tartar18tartar
[名・古風]「タタール人」が原義だが、転じて「気性の激しい手に負えない人」を指す古風な慣用表現。, we don’t mean to show a bias
彼女は恐ろしい子、手に負えない子——偏見のつもりはないけれど
But, Galinda, you’re a martyr19martyr
[名]本来は「殉教者」だが、口語的に「苦難に甘んじる人・黙って犠牲を払う人」の意で使われる。
でも、ガリンダ、あなたは本当に聖人のような方ね
[GALINDA]
Well, these things are sent to try20try
[動・イディオム]「試す」→「(忍耐・精神力を)試練にかける」という慣用的用法。”sent to try us” で「私たちを試すために(天から)遣わされた」というニュアンス。 us
まあ、こういうことは私たちを試すために起こるものだ
[SHIZ STUDENTS]
Poor Galinda, forced to reside
かわいそうなガリンダ、共に暮らすことを強いられて
With someone so disgusticified21disgusticified
[形・造語]「disgusting(おぞましい)」に強調の接尾辞「-ified」を掛け合わせたミュージカル劇中の造語。「これ以上ないほど嫌悪感を催す」という意味を大げさにコミカルに表現している。
これほどまでに「おぞましい」相手と
We just want to tell you, we’re all on your side
ただ伝えたいの、私たちはみんなあなたの味方よ
We share your loathing22loathing
[名]動詞「loathe(強く嫌悪する)」の名詞形。単なる「嫌い」を超えた、深い憎しみ・強烈な嫌悪感を指す文語的な語。
あなたの嫌悪を、私たちも共にしているわ
[GALINDA & ELPHABA]
What is this feeling, so sudden and new?
この感情はなんだろう、こんなにも突然で、こんなにも新しい?
[SHIZ STUDENTS]
Unadulterated23Unadulterated
[形・強調語]「混じりけのない、純粋な」という意味の強調形容詞。adulterateは「混ぜ物をする、純度を下げる」→その否定形で「完全無欠の」を意味する。 loathing24loathing
[名]「激しい嫌悪、憎しみ」。loathe(~をひどく嫌う)の動名詞形で、単なる「嫌い」を超えた深い嫌悪感を指す。
純粋な、むき出しの嫌悪
[GALINDA & ELPHABA]
I felt the moment I laid eyes on25laid eyes on
[句動詞]「目を置いた」→「(初めて)目にした・見た瞬間」を表すイディオム。 you
あなたを見た瞬間、それを感じた
[SHIZ STUDENTS]
For her face, her voice, her clothing
彼女の顔、声、そして服のために
[GALINDA & ELPHABA, SHIZ STUDENTS]
My pulse is rushing, my head is reeling26reeling
[動・慣用]「よろめく・ぐるぐる回る」の意。”head is reeling” で「頭がくらくらしている」状態を表すイディオム。 (Let’s just say)
胸の鼓動が速まり、頭がくらくらしている(まあ、そういうことにしておこう)
[SHIZ STUDENTS]
We loathe it all
私たちはすべてを嫌悪している
[GALINDA & ELPHABA]
Oh, what is this feeling?
ああ、この感覚は何だろう?
[SHIZ STUDENTS]
Every little trait, however small
どんなに些細な特徴も、どれほど小さくても
[GALINDA & ELPHABA]
Does it have a name?
それには名前がありますか?
[SHIZ STUDENTS]
Makes our very flesh begin to crawl27crawl
[句動詞・慣用]「這う」→「flesh crawl(肌が這う)」で「鳥肌が立つ・ぞっとする」を意味する慣用表現。
私たちの肌に鳥肌が立ちはじめる
[GALINDA & ELPHABA]
Yes
はい
[ALL]
Ah
ああ
[GALINDA & ELPHABA]
Loathing
嫌悪
[SHIZ STUDENTS]
Loathing
嫌悪
[GALINDA & ELPHABA]
There’s a strange exhilaration28exhilaration
[名]高揚感・興奮。「心が浮き立つような喜び」を指す語で、単純なhappinessより強く、euphoria(陶酔)より落ち着いた感覚。
奇妙な高揚感がある
[SHIZ STUDENTS]
Loathing
嫌悪
[GALINDA & ELPHABA]
In such total detestation
これほど深い嫌悪の中で
[SHIZ STUDENTS]
Loathing
嫌悪
[GALINDA & ELPHABA]
It’s so pure, so strong
こんなにも純粋で、こんなにも力強い
[SHIZ STUDENTS]
So strong
こんなにも強く
[GALINDA & ELPHABA]
Though I do admit, it came on29came on
[句動詞]「come on」の過去形。「さあ来い」が原義だが、感情や出来事が「急に訪れる・始まる」意味で使われるイディオム。 fast
確かに、それがあっという間に訪れたと認めるよ
Still, I do believe that it can last
それでも、これはずっと続くと信じている
[GALINDA & ELPHABA, ALL, SHIZ STUDENTS]
And I will be loathing30loathing
[動名詞・文語]「loathe(深く嫌悪する)」の現在分詞形。単なる「嫌い」を超えた、強烈な嫌悪・憎しみを表す文語的強意語。 for forever
そして私は、永遠に憎み続けるでしょう
Loathing truly deeply
心の底から、深く深く憎んでいる
Loathing you (Loathing you)
あなたを憎んでいる(あなたを憎んでいる)
[GALINDA & ELPHABA]
My whole life long
長い生涯をかけて
[SHIZ STUDENTS]
Loathing
嫌悪
Unadulterated31Unadulterated
[形]「混じりけのない、純粋な」という意味の強調語。日常的な英単語ではなく、感情の強さを際立たせるために使われる。 loathing
純粋な、混じりけのない嫌悪
[ELPHABA, spoken]
Boo!
わっ!
[GALINDA, spoken]
Ah!
ああ!
Writer(s): Stephen Schwartz
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「What Is This Feeling」はどんな曲ですか?
「What Is This Feeling」は、2003年にブロードウェイで初演されたミュージカル『ウィキッド』の楽曲です。2024年11月22日に公開された映画版では、グリンダ役のアリアナ・グランデとエルファバ役のシンシア・エリヴォが歌い、公式サウンドトラックとして同日リリースされました。映画は世界興行収入が7億ドルを超える大ヒットを記録し、このサウンドトラックも世界各国のストリーミングチャートで上位にランクインするほど注目を集めました。
「Momsie」はどういう意味ですか?
「Momsie」は、グリンダがお母さんのことを呼ぶときに使う、ちょっと幼くてキュートな愛称です。英語の「Mom(お母さん)」に、親しみを込めた語尾「-sie」をつけた造語で、日本語に訳すなら「ままん」や「おかあさまぁ」に近いニュアンスです。グリンダが寮からお母さんに手紙を書いているという設定の歌詞の中で登場し、彼女がいかにお嬢様育ちで甘えっ子かが一発でわかる表現になっています。
「Popsicle」はどういう意味ですか?
「Popsicle(ポプシクル)」は、グリンダがお父さんを呼ぶ愛称です。英語でお父さんを指す「Pop(パパ)」に、アイスキャンディーブランドの「Popsicle(ポプシクル)」をかけ合わせた、グリンダらしい遊び心たっぷりの造語です。「Momsie」と並べることで、グリンダのふわふわしたお嬢様キャラクターが際立つ仕掛けになっており、ミュージカルの脚本家スティーヴン・シュワルツのユーモアセンスが光る部分でもあります。
「rooming」はどういう意味ですか?
「rooming」は「room(部屋)」を動詞化した表現で、「〜と同じ部屋に住む・相部屋になる」という意味です。「rooming with her」で「彼女と相部屋になること」となります。歌の中でグリンダは、まるで自分に災難が降りかかったかのように、エルファバと寮で同室になってしまったことを嘆いています。日本の学校生活でいえば「相部屋」や「同じ部屋になる」がぴったりの訳で、二人の関係がスタートからいかに最悪だったかを象徴するシーンです。
関連リンク
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