今回の曲のタイトルは、「Kick」です。直訳すると、「蹴り」です。
Future(本名:Nayvadius DeMun Wilburn)はジョージア州アトランタ出身のラッパー・シンガー。この楽曲は2022年4月29日にリリースされたアルバム『I NEVER LIKED YOU』に収録されており、同アルバムはBillboard 200で初登場1位を獲得しました。プロデューサーWheezyによるダークで重厚なトラップサウンドを基調とし、富・成功・ストリートでの自信をテーマに描かれた一曲です。
【直訳のポイント】「Kick」は「蹴り」という意味のほか、スラングで「興奮・スリル」や複数形「kicks」で「スニーカー」を意味することもあります。この曲では文脈に合わせてニュアンスを選びながら訳しました。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Kick – Future
[Chorus]
Pill kicked1kicked
[句動詞]「kick in」の一部。薬・効果が「効き始める」という意味のイディオム。—
ピルが効き—
Yeah, my pill kicked in (Yeah)
そう、俺のピルが効いてきた(イエー)
Ayy, my pill kicked in (Takeover)
アイ、俺のピルが効いてきた(テイクオーバー)
My pill just kicked in (Mm, mm, mm, mm, mm, yeah)
俺のピルがちょうど効いてきた(んー、んー、んー、んー、んー、イエー)
Yeah, my pill kicked in (Pluto2Pluto
[固有名詞]ラッパー・Futureの別名。本名Nayvadius Wilburnが自称するニックネーム。, let’s get it3let’s get it
[句・俗語]直訳は「それを手に入れよう」だが、ヒップホップでは「さあ行くぞ/やろうぜ」の意で使われるスラング。)
そう、俺のピルが効いてきた(プルートー、さあやろうぜ)
Ayy, my pill just kicked in (Backhand4Backhand
[名]手の甲側。「backhand slap」=手の甲で相手を叩くこと。 slap that boy)
アイ、俺のピルがちょうど効いてきた(あの野郎を手の甲でぶっ叩け)
Kick, kick, kick, kick (Backhand slap—)
キック、キック、キック、キック(手の甲でぶっ叩—)
Kick, kick, kick (Backhand slap that boy, Pluto, yeah)
キック、キック、キック(あの野郎を手の甲でぶっ叩け、プルートー、イエー)
Ayy, my pill just kicked— (Yeah, yeah)
アイ、俺のピルがちょうど効いて—(イエー、イエー)
My pill just kicked in (Yeah)
俺のピルがちょうど効いてきた(イエー)
Yeah, my pill kicked in5kicked in
[句動詞]「kick in」は「効き始める・作用し始める」を意味するイディオム。薬や物質が体に現れてくる場面で使われる。 (Backhand slap that—)
ああ、薬が効いてきた(バックハンドでぶっ飛ばせ—)
Ayy, my pill just kicked in6kicked in
[句動詞]「kick in」は「効き始める・作用し始める」を意味するイディオム。薬や物質が体に現れてくる場面で使われる。 (Backhand slap that—)
エイ、薬がついに効いてきた(バックハンドでぶっ飛ばせ—)
[Verse]
Thumbin’7Thumbin’
[動・俗語]「親指でめくる」→ 札束を指でパラパラとめくる動作。 through them racks8racks
[名・俗語]1ラック=1,000ドルの札束。複数形で大金の積み重ねを指す。, I was rushin’ (Yeah)
金の束をパラパラとめくって、急いでたぜ(イェー)
Real water9water
[名・宝飾俗語]ダイヤモンドの透明度・輝きを指す業界用語。「ウォーターが高い」ほど高品質。 diamonds, they with us (Yeah)
本物の輝くダイヤ、俺たちと一緒だ(イェー)
Best of all the models pullin’ up10pullin’ up
[句動詞・俗語]「引き寄せる」→ 車や人が到着する・乗り付けることを示すスラング。 (Yeah)
最高のモデルたちが集まってくる(イェー)
Presidential11Presidential
[固有名詞]ロレックス「デイデイト」の通称。歴代米大統領が愛用したことに由来する最高峰モデル。 time and I ain’t look (Nah, check this)
プレジデンシャルの時計、値段も見なかった(ナー、これ見てくれ)
Teflon Don12Teflon Don
[固有名詞・俗語]マフィアのボス、ジョン・ゴッティの異名。罪が何も「くっつかない」テフロン加工に由来。リック・ロスのアルバム名にも使用。, can’t be touched
テフロン・ドン、誰にも手が届かない
All this monyun13monyun
[名・AAVE]「money」のAAVEにおける発音・表記。仲間内の帰属意識や強調を示す。, count it up (Yeah)
この大金を全部数えろ(イェー)
Flipped14Flipped
[動・俗語]商品を仕入れて転売し利益を得ること。「flip」の過去形。 a ton of if it, ain’t еnough
山ほど転がして稼いだが、まだ足りない
Took it out the bottom of the mud15out the bottom of the mud
[慣用句]「泥の底から引き出した」→ 貧困・どん底から這い上がってきたことを示す比喩。 (Yeah)
どん底の泥の中から這い上がってきた(イェー)
Drinkin’ out the bottle, gettin’ more (Oh, yeah)
ボトルから直飲み、どんどん飲む(オー、イェー)
Superstars, pullin’ up in Rolls16Rolls
[固有名詞]ロールス・ロイス(Rolls-Royce)の略称。最高級の高級車ブランド。
スーパースターたちがロールスで乗り付ける
My piranha17piranha
[名・俗語]肉食魚「ピラニア」→ 凶暴で忠実な仲間・クルーを指すスラング。 slip in18slip in
[句動詞・俗語]「滑り込む」→「こっそり忍び込む」の意。AAVEでは複数主語でも動詞が無変化になる。 through the door
俺の仲間たちがドアから忍び込んでくる
Heavy motion, drinkin’, I ain’t slow19slow
[形・俗語]「遅い」ではなく「鈍い・頭が回らない」の意。”ain’t slow”で「俺は抜け目ない」というニュアンス。
激しく動き回り、飲んで、俺は鈍くない
Cut20cut
[動・俗語]「切る」→ 小切手を発行する・金を払うこと。”cut a check”で「小切手を切る=支払いをする」。 a blank check to lil’ bro (Oh, yeah)
弟分に白紙小切手を切ってやる(ああ、そうだ)
Real ones only, trained to go21trained to go
[句・俗語]「行動できるよう鍛えられた」→ 戦闘・危険な状況にいつでも備えている状態を指すスラング。
本物だけ、いつでも動けるように鍛えられてる
You the one, you from the hood22hood
[名・俗語]”neighborhood”の短縮形。都市部の貧困街・ゲットーを指す。, though
お前こそ本物だ、フッド出身だからな
Never judge a nigga23nigga
[名・AAVE]「人・奴」を意味するAAVEの語。ここでは貧しい境遇に置かれた人全般を指す文脈で使われている。 when he poor
貧しいときに人を見下すな
[Chorus]
Pill kicked24kicked
[句動詞]「kick in(薬・効果などが効き始める・作動し始める)」の過去形。薬物が体内で作用し始める瞬間を指す。—
薬が効き始め—
Yeah, my pill kicked in (Yeah)
そう、俺の薬が効いてきた(そう)
Ayy, my pill kicked in (Takeover)
俺の薬が効いてきた(テイクオーバー)
My pill just kicked in (Mm, mm, mm, mm, mm, yeah)
俺の薬がちょうど効き始めた(うん、うん、うん、うん、うん、そう)
Yeah, my pill kicked in (Pluto25Pluto
[固有名詞]ラッパーFuture(本名:Nayvadius Wilburn)の別名義。冥王星(Pluto)になぞらえた異名として自称する。, let’s get it)
そう、俺の薬が効いてきた(プルートー、行くぞ)
Ayy, my pill just kicked in (Backhand slap that boy)
俺の薬がちょうど効き始めた(あいつを裏拳でぶん殴れ)
Kick, kick, kick, kick (Backhand slap—)
キック、キック、キック、キック(裏拳—)
Kick, kick, kick (Backhand slap that boy, Pluto, yeah)
キック、キック、キック(あいつを裏拳でぶん殴れ、プルートー、そうだ)
Ayy, my pill just kicked— (Yeah, yeah)
俺の薬がちょうど効き—(そう、そう)
My pill just kicked in (Yeah)
俺の薬がちょうど効き始めた(そう)
Yeah, my pill kicked in26kicked in
[句動詞]「蹴り込む」→「(薬・効果が)効き始める」に転じたイディオム。 (Backhand slap that—)
ああ、薬が効いてきた(バックハンドでぶっ叩け—)
Ayy, my pill just kicked in27kicked in
[句動詞]「蹴り込む」→「(薬・効果が)効き始める」に転じたイディオム。 (Backhand slap that—)
あー、薬がちょうど効いてきた(バックハンドでぶっ叩け—)
[Bridge]
Hermès28Hermès
[固有名詞・ブランド]フランスの超高級ファッションブランド。バッグ1点が数百万円に達することもある。 bag, two of each color, gon’ run29run
[動・俗語]「走る」ではなく「(費用が)かかる・〜の出費を強いる」の意。”run you ~”で「お前に〜の値がつく」。 you fifty bands30bands
[名・俗語]紙幣の帯封1束=1,000ドルを指すAAVEスラング。fifty bands=5万ドル。 (Kick, kick, kick, kick)
エルメスのバッグを色違いで二つずつ、5万ドルはかかるぞ(キック、キック、キック、キック)
Said he was droppin’ on a bag31droppin’ on a bag
[句・俗語]「バッグに金を落とす」→ 高級品の購入や贈り物のために大金を惜しみなく使うこと。 on you, pussy nigga’s tryna flex32flex
[動・俗語]筋肉を「張る」→ 富や力を誇示・見せびらかす意のAAVEスラング。 (Kick, kick, kick)
あいつはお前のためにバッグに大金を使ったと言っていたが、ヘタレが見栄を張ろうとしてるだけだ(キック、キック、キック)
Frontline, stand in the trap33trap
[名・俗語]麻薬を捌くアジト(トラップハウス)を指すAAVEスラング。, clutchin’ on this motherfuckin’ heat34heat
[名・俗語]「熱」→ 拳銃・銃器を指すストリートスラング。
最前線に立ち、トラップに陣取り、このくそったれの銃を握りしめて
I just ran my routes35ran my routes
[句・俗語]「ルートを走った」→ 麻薬の配達や縄張りの巡回を一通りこなすこと。, nigga, I’m a street MVP (Woo, woo, woo, ayy, my—)
ルートを全部回ってきた、俺はストリートのMVPだ(ウー、ウー、ウー、エイ、俺の—)
Hermès36Hermès
[固有名詞・ブランド]フランスの超高級ファッションブランド。バッグ1点が数百万円に達することもある。 bag, two of each color, gon’ run37run
[動・俗語]「走る」ではなく「(費用が)かかる・〜の出費を強いる」の意。”run you ~”で「お前に〜の値がつく」。 you fifty bands38bands
[名・俗語]紙幣の帯封1束=1,000ドルを指すAAVEスラング。fifty bands=5万ドル。 (Kick, kick, kick, kick)
エルメスのバッグを色違いで二つずつ、5万ドルはかかるぞ(キック、キック、キック、キック)
Said he droppin’ on a bag39droppin’ on a bag
[句・俗語]「バッグに金を落とす」→ 高級品の購入や贈り物のために大金を惜しみなく使うこと。 on you, pussy nigga’s tryna flex40flex
[動・俗語]筋肉を「張る」→ 富や力を誇示・見せびらかす意のAAVEスラング。 (Kick, kick, kick)
あいつはお前のためにバッグに大金を使ったと言っているが、ヘタレが見栄を張ろうとしてるだけだ(キック、キック、キック)
Frontline, stand in the trap41trap
[名・俗語]麻薬を捌くアジト(トラップハウス)を指すAAVEスラング。, clutchin’ on this motherfuckin’ heat42heat
[名・俗語]「熱」→ 拳銃・銃器を指すストリートスラング。 (Yeah)
最前線に立ち、トラップに陣取り、このくそったれの銃を握りしめて(イェー)
I just ran my routes43ran my routes
[句・俗語]「ルートを走った」→ 麻薬の配達や縄張りの巡回を一通りこなすこと。, nigga, I’m a street MVP (Woo, woo, woo, backhand slap that boy)
ルートを全部回ってきた、俺はストリートのMVPだ(ウー、ウー、ウー、あの野郎をひっぱたけ)
[Outro]
Kick, kick, kick, kick (Backhand slap that boy)
キック、キック、キック、キック(バックハンドでそいつをひっぱたけ)
Kick, kick, kick (Backhand slap that boy)
キック、キック、キック(バックハンドでそいつをひっぱたけ)
Kick, for real, for real
キック、マジで、マジで
I backhand slap that boy
俺はバックハンドでそいつをひっぱたく
Thumbin’ through them racks44racks
[名・俗語]1,000ドル分の紙幣を束ねたスタックのこと。大量の現金を指すヒップホップスラング。, I was rushin’
札束をめくりながら、急いでいた
Real water45water
[名・宝石用語]ダイヤモンドの透明度・輝きを水に例えた表現。「water diamonds」は透明度が極めて高い高品質なダイヤモンドを指すヒップホップスラング。 diamonds, they with us
本物の高純度ダイヤ、俺たちと一緒にある
Best of all the models pullin’ up46pullin’ up
[句動詞・俗語]「引き上げる」→「(人や車が)到着する・やってくる」を意味するAAVEスラング。
一流モデルたちが次々と集まってくる
Presidential47Presidential
[固有名詞]ロレックスの高級腕時計「デイデイト(通称:プレジデント)」を指す。歴代米国大統領も愛用したことで知られる超高級モデル。 time and I ain’t48ain’t
[助動詞・AAVE]ここでは標準英語の「didn’t」に相当するAAVE(アフリカ系アメリカ人英語)の否定形。「I didn’t even look」の意。 look
プレジデンシャルを着けてても、時計なんか見もしない
Writer(s): D. Rich, Future, Sean Momberger, Wheezy
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Kick」はどんな曲ですか?
「Kick」は、アトランタ出身のラッパー・Future(フューチャー)が発表したトラップ・ヒップホップ曲です。Futureは2012年のデビュー・アルバム『PLUTO』で一躍注目を集め、オートチューンを駆使した独自のメロディックなフロウでシーンを牽引してきました。「Kick」はその攻撃的なビートとFuture流の自己誇示ラップが凝縮された一曲で、ストリーミングプラットフォームを中心に熱心なファンの間で広く聴かれています。
「kicked」はどういう意味ですか?
英語の「kick」は本来「蹴る」という意味ですが、ヒップホップの文脈では大きく二つのニュアンスで使われます。一つは「追い払う・捨てる」という意味で、邪魔な人や状況をばっさり切り捨てるイメージです。もう一つはスラングで「乗り越えた・ハイになった」という興奮状態を表すことも。Futureの歌詞では、障害や敵を力強く「蹴り飛ばしてきた」という過去の苦境と克服をかっこよく語るニュアンスで使われています。
「Pluto」はどういう意味ですか?
「Pluto(プルート)」はFuture自身のアーティスト名としての別名・異名です。彼は2012年のデビュー・アルバムのタイトルにもこの名前を使っており、冥王星のように「太陽系の外れ」に存在する唯一無二の孤高の存在、というセルフイメージを込めています。歌詞に「Pluto」が登場するときは、ほぼ「俺=Future」を指す自己言及表現で、「この世界の常識には縛られない」という独自スタンスの象徴でもあります。
「let’s get it」はどういう意味ですか?
「Let’s get it」は直訳すると「やっちゃおうぜ」「行くぞ」という感じで、ヒップホップ・カルチャーで定番の決め台詞です。文脈によって「金を稼ぎに行こう」「成功をつかもう」「パーティー始めようぜ」と幅広く使われます。スポーツ選手がロッカールームで仲間を鼓舞するシーンでもよく聞くフレーズで、Futureの曲では特に「ハングリーに前へ進め」というモチベーションと野心の表れとして機能しています。日本語で一番近い感覚は「さあ、行くぞ!」あたりでしょうか。
関連リンク
Kick – Future (Official Video)
他の曲も和訳しています。よろしければどうぞ!
【歌詞和訳】March Madness – Future
【歌詞和訳】I’M DAT N**** – Future
【歌詞和訳】Stick Talk – Future
【歌詞和訳】Mask Off – Future
【歌詞和訳】Radio – Future