【歌詞和訳】She – Elvis Costello

今回の曲のタイトルは、「She」です。直訳すると、「彼女」です。

エルヴィス・コステロ(本名:デクラン・パトリック・マクマナス)は、1954年イギリス・ロンドン生まれのシンガーソングライターです。この「She」は、1999年公開のヒュー・グラント&ジュリア・ロバーツ主演のロマンティック映画『ノッティングヒルの恋人』のサウンドトラックとして録音されました。原曲はフランスのシャンソン歌手シャルル・アズナヴールが1974年に発表した同名曲で、英語詞はハーバート・クレッツマーが手掛けています。エルヴィス・コステロのバージョンはUKシングルチャートで第1位を獲得し、映画の大ヒットとともに世界中で愛される名曲となりました。ジャンルはソフトロック・バラードで、ある女性への深い愛と崇拝を繊細かつ詩的に歌い上げた一曲です。

【こだわり解説】この曲は「愛する人」を一言では言い表せない矛盾したイメージの連続(喜びと後悔、美と獣、天国と地獄)で描いています。当ブログではこうした対比表現を意訳で整理せず、原文通り並列で訳すことにこだわりました。読み手が戸惑うくらいの振れ幅こそが、恋愛感情の複雑さをそのまま伝えると考えたからです。

細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。

※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。

以下、和訳です。


She – Elvis Costello

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[Verse 1]
She may be the face I can’t forget
彼女はもしかしたら、忘れられない顔なのかもしれない

A trace1trace
[名・イディオム]「a trace of ~」で「わずかな~・かすかな気配」を意味する。単なる「痕跡」より淡く、ほのかに残るものを含意する。
of pleasure or regret

喜びの、あるいは後悔のかすかな痕跡

May be my treasure or the price I have to pay
僕の宝物なのか、それとも支払わなければならない代償なのか

She may be the song that summer sings
彼女はもしかしたら、夏が歌う歌なのかもしれない

May be the chill that autumn brings
秋がもたらす肌寒さなのかもしれない

May be a hundred different things
百通りの異なる何かなのかもしれない

Within the measure2measure
[名]原義は「測定・手段・拍子」だが、ここでは「範囲・時間の尺度」の意で用いられ、「一日という時間の内に」を表す詩的表現。
of a day

一日という時間の中で


[Verse 2]
She may be the beauty or the beast
彼女は美しき者であるかもしれず、獣であるかもしれない

May be the famine or the feast
飢えかもしれず、祝宴かもしれない

May turn each day into a heaven or a hell
毎日を天国にも地獄にも変えてしまうかもしれない

She may be the mirror of my dreams
彼女は私の夢を映す鏡かもしれない

A smile reflected in a stream
小川に映る微笑みのように

She may not be what she may seem
彼女は見た目通りではないかもしれない

Inside her shell3shell
[名・比喩]本来は「貝殻・外皮」→転じて「心を隠す外側の殻・仮面」を指す比喩表現。”come out of one’s shell”(殻を破る)と同じ用法。

その殻の奥に





[Instrumental Bridge]



[Verse 3]
She, who always seems so happy in a crowd
人混みの中ではいつも幸せそうに見える彼女

Whose eyes can be so private4private
[形・心理語]「非公開の・個人的な」→ここでは感情を内に閉じ込め、他者に開かない様子を指す。
and so proud

その瞳はときに、感情を秘め、誇り高く輝く

No one’s allowed to see them when they cry
涙を流すとき、誰にもその目を見せようとしない

She may be the love that cannot hope to last5cannot hope to last
[慣用句]「続く望みすらない」の意。”hope to +動詞” は「〜できる見込みがある」を表し、否定形で「まったく〜する余地がない」という強い絶望を示すイディオム。

彼女は、続く見込みすらない恋かもしれない

May come to me from shadows of the past
過去の影の中から、私のもとへやって来るのかもしれない

That I’ll remember till the day I die
死ぬその日まで、忘れることのできない恋を





[Verse 4]
She may be the reason I survive
彼女こそ、私が生き続ける理由かもしれない

The why and wherefore6wherefore
[副・古語]「なぜ・何のために」を意味する古風な語。”the why and wherefore” で「理由と目的」というニュアンスになる慣用表現。
I’m alive

私がこの世に生きる、その理由と目的

The one I’ll care for through the rough and ready7rough and ready
[形・慣用句]本来「荒削りで即席の」の意。転じて「厳しく波乱に満ちた」年月を指すイディオム。
years

どんな波乱の年月も、ずっと寄り添っていくただひとり

Me, I’ll take her laughter and her tears
彼女の笑顔も涙も、私がすべて受け取ろう

And make them all my souvenirs
それをすべて、大切な思い出にしよう

For where she goes, I’ve got to be
彼女の行くところ、私もそこにいなければ

The meaning of my life is she
彼女こそが、私の人生の意味


[Outro]
She
彼女

Oh, she
ああ、彼女



Writer(s): Charles Aznavour, Herbert Kretzmer

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以上です、いかがでしたでしょうか!

以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!

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よくある質問

「She」はどんな曲ですか?

「She」は、フランスのシャンソン界の巨匠シャルル・アズナブールが1974年に発表した「Elle(エル)」を原曲とする楽曲で、英語詞はハーバート・クレッツマーが書き下ろしました。アズナブール版はイギリスのシングルチャートで1位を獲得する大ヒットとなりました。その後、1999年に公開されたヒュー・グラント&ジュリア・ロバーツ主演のラブコメディ映画『ノッティングヒルの恋人』のサウンドトラックとしてエルヴィス・コステロが再録音し、映画の世界的な成功とともに新世代のリスナーにも広く知れ渡りました。

この曲にはフランス語の原曲があると聞きましたが、英語版と何が違うのですか?

おっしゃる通り、原曲はシャルル・アズナブールが歌ったフランス語の「Elle」で、「Elle」はフランス語で「彼女(She)」を意味します。英語詞を手がけたハーバート・クレッツマーは、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の英語版歌詞も担当した名訳詞家で、フランス語特有の詩的な婉曲表現を巧みに英語へ移し替えています。フランス語版はどちらかというとシャンソンらしい叙情的・哀愁漂う仕上がりですが、クレッツマーの英語詞はより普遍的で力強い響きを持ち、コステロの少し枯れたボーカルと合わさることで、原曲とはまた異なる深みが生まれています。

歌詞に「彼女」を相反するイメージで描く表現が多いのはなぜですか?

「She may be the face I can’t forget(忘れられない顔かもしれない)」から始まり、「喜びであり後悔でもある」「水でもあり炎でもある」といった具合に、この曲は愛する人を次々と矛盾したイメージで塗り重ねていきます。これは英語修辞学で「オクシモロン(矛盾語法)」と呼ばれる技法で、恋愛感情の持つ複雑さや、相手をひとつの言葉では捉えきれないもどかしさを表現しています。タイトルがシンプルに「She(彼女)」という代名詞一語であることも重要で、名前を持たない「彼女」の中にあらゆる可能性を宿らせることで、聴く人それぞれが自分自身の「彼女」をそこに重ねられる普遍性を生み出しているのです。

映画『ノッティングヒルの恋人』のどの場面で使われているのですか?文脈を知ると歌詞の意味が変わりますか?

この曲は映画のクライマックス近く、主人公ウィリアム(ヒュー・グラント)が世界的スターのアナ(ジュリア・ロバーツ)への揺れ動く気持ちを整理するかのように、ロンドンの街を歩き続けるモンタージュシーンで流れます。歌詞の「彼女は理解できない謎めいた存在でありながら、自分が生きていられる理由でもある」というテーマが、「名もなき書店員と雲の上のスター」という身分違いの恋の切なさと絶妙に重なり合います。映画を見た後に改めて歌詞を読むと、単なるラブソングではなく「手が届かないとわかっていても想わずにはいられない」という感情の歌として響いてくる——それがこの曲の持つ二重の魅力といえるでしょう。

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関連リンク

She – Elvis Costello (Official Video)

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