今回の曲のタイトルは、「Cast a Spell」です。直訳すると、「魔法をかける」です。
フューチャー(本名:Nayvadius DeMun Wilburn)は、1983年生まれのアメリカ・ジョージア州アトランタ出身のラッパー・シンガーです。2019年1月にリリースされた6枚目のスタジオアルバム『The WIZRD』に収録されており、同作はBillboard 200で初登場1位を記録しました。長年のコラボレーターであるプロデューサー・Dre Moonとともに制作されたこの楽曲は、ダークなトラップサウンドを基調に、恋愛における支配と陶酔感を「魔法」という神秘的なメタファーで描いています。
【直訳のポイント】タイトルの「spell」は「魔法」とも「呪い」とも訳せますが、歌詞の文脈では恋愛相手への抗いがたい魅力を指しているため、ここでは「魔法」を採用しました。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Cast a Spell – Future
[Intro]
Life get crazy when you get everything you thought you needed (Yeah)
必要だと思っていたものを全て手に入れると、人生は狂いだす(ああ)
Go through1go through
[句動詞]「通り抜ける」→「経験する・乗り越える」を意味するイディオム。 phases, know I need you, know I need you
色んな局面を経て、わかってる、君が必要だって、君が必要だって
(Cast a spell on me, cast a spell on me)
(魔法をかけて、魔法をかけて)
Must be paradise standing next to you
君の隣にいると、まるで楽園のよう
Gone off2gone off
[動・俗語]「〜でトんでいる・〜に酔いしれている」の意のスラング。 ketamine3ketamine
[名]医療用の解離性麻酔薬。クラブシーンなどで精神変容目的に乱用される向精神薬。
ケタミンでトんでいる
Yeah, yeah
ああ、ああ
Yeah, yeah, yeah
ああ、ああ、ああ
[Verse 1]
Know I need you bad, you know how bad I need you (Yeah, oh, yeah)
どれほどお前が必要か、わかってるよな——本当にどれほど必要か (Yeah, oh, yeah)
You gave me vision, I was blind, I can finally see (Oh, yeah, oh, yeah)
お前が俺に目を開かせてくれた、盲目だった俺がようやく見えるようになった (Oh, yeah, oh, yeah)
Traveling all across the globe, then you saved me (Shorty4Shorty
[名・AAVE]もとは「背の低い人」を指すが、転じて「彼女・気になる女性」を表すAAVEスラング。, come here)
世界中を旅していたのに、お前が俺を救ってくれた(ベイビー、こっちに来い)
I need you, don’t you be stallin’5stallin’
[動・口語]stallingの短縮形。「エンジンが止まる」→「もたもたする・ためらう」に転じた口語表現。, don’t be cappin’6cappin’
[動・AAVE]capping。「嘘をつく・大げさに言う」を意味するAAVEスラング。cap=嘘。
お前が必要だ、もたもたするな、嘘をつくな
Wake up early morning, go to Saturn
夜明けに目を覚まして、土星まで飛んで行く
I seen7I seen
[文法・AAVE]標準英語では「I have seen(I’ve seen)」とすべきところを、助動詞 have を省いたAAVEの文法形式。 love, but I seen hate in different patterns
愛も見てきたし、様々な形の憎しみも見てきた
Don’t you fake with me, you know my brain’s scattered8scattered
[形・口語]「散らばった」→ 思考がまとまらず「混乱した・頭がぐちゃぐちゃな」状態を表す口語表現。 (Don’t you fake with me)
俺に偽るな、俺の頭がぐちゃぐちゃなのはわかってるだろ(俺に偽るな)
Come and mate with me, you know I do it better
俺と一緒になってくれ、俺の方がうまくやれるのはわかってるだろ
State to state with me, you know how much I get it wetter9get it wetter
[句・性的俗語]「より濡らす」→ 性的な興奮・快感を高めることを露骨に示す俗語表現。
州から州へ俺と一緒に、俺がどれほど感じさせられるかわかってるだろ
I don’t know where we going, we going, we pop out10pop out
[句動・AAVE]「飛び出す・突然現れる」を意味する口語表現。ここでは宇宙へ飛び立つイメージで使われている。 shuttle (Skrrt, skrrt)
どこへ向かうかわからない、でも行く、シャトルで飛び出す(キュルッ、キュルッ)
I got chips11chips
[名・俗語]本来は「破片・チップ」の意だが、ここでは「現金・金」を指すスラング。 on me, girl, get your things together (Together)
俺には金がある、さあ荷物まとめな(まとめな)
Do a lil’ whippet12whippet
[名・俗語]亜酸化窒素(笑気ガス)のカートリッジを吸引する行為、またはそのカートリッジ自体を指すスラング。 ‘cause I know it’ll make you clever (Make you clever)
ちょっとウィペットをやってみな、頭が冴えるから(頭が冴えるから)
Put your body on my skin, soft like feathers (Body on my skin)
羽のように柔らかく、俺の肌に体を寄せて(俺の肌に)
Solitary, gold teeth, your talk is special (Solitary)
一匹狼で、金の歯、あんたの話し方は特別だ(一匹狼で)
No more Roxys13Roxys
[名・俗語]オキシコドン系鎮痛剤「Roxicodone(ロキシコドン)」の俗称。, I got Oxys14Oxys
[名・俗語]オピオイド系鎮痛剤「OxyContin(オキシコンチン)」の俗称。ストリートで乱用薬物として知られる。 in the capsule (No cap15No cap
[句・俗語]「嘘なし・マジで」を意味するスラング。cap=嘘・虚偽。)
ロキシーはもういらない、カプセルにオキシがある(マジで)
Come make love to me, you know I’m from the ghetto (Go)
愛し合おう、俺はゲットー育ちだからな(さあ)
Strip like Magic City16Magic City
[固有名詞]アトランタにある伝説的なストリップクラブ。ヒップホップ文化で頻繁に言及される。, boy, Esco17Esco
[固有名詞]Pablo Escobarに由来するラッパーのニックネーム。ここでは話者または関連アーティストを指す。 is a legend (Strip like Magic)
マジック・シティみたいにストリップダンスを踊れ、エスコは伝説だ(マジックみたいに)
Silky sheets got a nigga sliding off the cover
シルクのシーツで滑り落ちそうになる
Talk in chipmunk voice ‘cause feds18feds
[名・俗語]「federal agents」の略。FBI・DEAなど連邦捜査官を指すスラング。 be watchin’ brothers (Like what’s happenin’?)
連邦捜査官が仲間を見張ってるから、チップマンクみたいな声で話せ(よう、元気?みたいな感じで)
I need loyalty ‘cause you know I’m a rapper (Ooh)
忠誠心が必要だ、俺はラッパーだからな(ウー)
I get geeked19geeked
[形・俗語]「テンションが上がる・興奮する」またはドラッグで高揚した状態を指すスラング。 and fly my shooters20shooters
[名・俗語]「銃を撃つ者」→ 転じて「いざとなれば動いてくれる忠実な仲間・子分」を指すAAVEスラング。 out wherever (Go)
興奮して、仲間たちをどこへでも送り込む
Practice what you preach to me, my heart been21been
[動・AAVE]標準英語の「have been」から”have”を省略した形。AAVEでは「ずっと〜の状態だ」という遠い過去からの継続を表す用法。 shattered (Woah)
俺に説いてることを自分でも実践しろ、俺の心はずっと砕けたままだ
You fucked goofies22goofies
[名・俗語]goofy(間抜け・おバカ)の複数形。価値のない・程度の低い人間を指す蔑称。 in the past, you with a crasher23crasher
[名・俗語]場を圧倒する人物・格が違う者を指すスラング。ここでは語り手が自分自身を指している。 (Crash)
昔はバカどもと寝てたくせに、今は本物の男といる
We like twins, somethin’ like twins ‘til forever (Shh, ‘til forever)
俺たちは双子みたいで、永遠に双子のような存在だ
You get higher than a mountain when we together (Higher than a mountain)
俺たちが一緒にいると、山より高く気分が上がる
I put two feet on the gas, I’m hittin’ the pedal (Skrrt)
両足でアクセルを踏み込む、ペダルをベタ踏みだ
Lock you down24lock down
[句動詞・俗語]「閉じ込める」→ 転じて「相手を独占的なパートナーにする・自分のものにする」を意味するスラング。, I go Bvlgari25Bvlgari
[固有名詞]イタリアの高級ジュエリーブランド「ブルガリ」。蛇をモチーフにしたSerpenti(スネーク)コレクションが有名で、手首に巻きつく腕輪が代表作。 snake shackle
お前を俺のものにする、ブルガリのスネークシャックルみたいに縛り付けて
[Bridge]
Oh, yeah (Oh, yeah), oh, yeah (Oh, let’s get it26let’s get it
[句・俗語]「さあいくぞ・始めよう」の意。気合いを入れるAAVEのかけ声。)
そうだ(そうだ)、そうだ(さあいくぞ)
Oh, yeah (Ski), oh, yeah (Hrr, hrr)
そうだ(スキー)、そうだ(フー、フー)
Wipe the bitch nostrils if I want
やりたければビッチの鼻を拭いてやる
Patek27Patek
[固有名詞]スイスの超高級時計ブランド「Patek Philippe(パテック・フィリップ)」の略称。 froze28froze
[動・俗語]「freeze」の過去形から転じ、ダイヤモンドをびっしりあしらった「アイスアウト」状態を指すスラング。 if I want
やりたければパテックをダイヤで埋め尽くせる
Get in my mode and I keep goin’
自分のゾーンに入って突き進む
Shut down29shut down
[句動詞・俗語]「圧倒する・黙らせる・存在を消す」の意。機械を停止させる字義から転じた。 Naynay whenever I want (Shut down Naynay)
やりたい時にいつでもNaynayを黙らせる
Strap30strap
[名・俗語]銃のこと。ホルスターのストラップから転じたストリートスラング。 with a pole31pole
[名・俗語]銃・武器を指すスラング。, I’m on point
銃を携え、俺は万全だ
I’m throwin’ rose gold on32throw on
[句動詞]「身につける・さっと羽織る」の意。衣類や装飾品をまとう動作を表すイディオム。 (I throw that shit)
ローズゴールドを身にまとう(ぶちこんでやる)
I put a bag33bag
[名・俗語]大金、または懸賞金のこと。「put a bag on someone’s head」で「懸賞金をかける」の意。 on a bitch head
ビッチの頭に懸賞金をかける
Have a bitch smashin’34smashin’
[動・俗語]「smashing」の短縮。「派手にやる・暴れる」またはセクシュアルな行為を指すスラング。 in Hermès35Hermès
[固有名詞]フランスの超高級ファッションブランド「エルメス」。バッグや衣類などで知られる。 (Smash)
エルメスをまとったビッチに派手にやらせる
I’m really havin’ it36havin’ it
[句・俗語]「have it」=本気でやっている・最高の状態を生きている、という意味のAAVE・英国スラング。字義通りの「持つ」ではない。, I said it (What did you say?)
本当にやってるんだ、言っただろ(何て言った?)
I’m really havin’ it (I’m really havin’ this shit)
本当にやってるんだ(本当にこれをやってるんだ)
[Verse 2]
Got a ring, cost a house, it cost a million-something
指輪を手に入れた、家一軒分の値段、百万ドル以上もする
I’m with Young Slo, we movin’ fast with a chopper37chopper
[名・俗語]本来は「切るもの」→ ヒップホップでは自動小銃(AK型など)を指すスラング。 (Ooh)
ヤング・スローと一緒に、チョッパーを持ちながら素早く動いてる
Go pinstripe Nike Tech38Nike Tech
[固・ブランド]ナイキの「テックフリース」シリーズのトラックスーツ。ストリートで定番の高級スポーツウェア。, got t-shirt, Prada (T-shirt, Prada)
ピンストライプのナイキテックを着て、Tシャツはプラダ
I’ma tell you how I’m comin’39how I’m comin’
[句・AAVE]「どう来るか」→ 自分のスタイル・姿勢・やり方を事前に示すAAVEの慣用表現。 before I come, no problem (Tell you how I’m comin’)
来る前に俺のやり方を教えてやる、問題ない
Bugatti a boat, yeah, cash out40cash out
[句動詞・俗語]資産を現金化する、または大金を一気に使い切ること。, ain’t got a note41note
[名・英俗]紙幣(banknote)のこと。「ain’t got a note」=一枚の札も残っていない。, yeah (Cash out, ain’t got a note)
バガッティはまるでボート、全額使い切って、一枚の札も残ってない
Oh, yeah, Patek42Patek
[固・ブランド]パテック・フィリップ(Patek Philippe)。スイスの最高級時計ブランド。 float43float
[動・俗語]「浮く・際立つ」→ 腕の上で高級時計が輝いて存在感を放つ様子を表すスラング。, oh, yeah, get in my mode, oh, yeah
パテック・フィリップが輝いて、俺のモードに乗れ
I need you, don’t you be stallin’, don’t be cappin’44cappin’
[動・AAVE]嘘をつく・見栄を張る・フリをすること。「cap」から派生したAAVEスラング。
お前が必要だ、ぐずぐずするな、嘘をつくな
Wake up early morning, go to Saturn (Space)
早起きして、土星まで飛んでいく(宇宙へ)
I seen love, but I seen hate in different patterns (I’m really havin’ shit45havin’ shit
[句・AAVE]「色々な経験をしている・物事が実際に動いている」を意味するAAVEの俗語表現。)
愛も見てきた、でも憎しみもいろんな形で見てきた(色々と経験してる)
Don’t you fake46fake
[動・俗語]「偽る・見せかける」を動詞として使う表現。「fake with me」=俺に対して偽りの態度をとるな。 with me, you know my brain scattered
俺に偽りの顔を見せるな、俺の頭が散らかってるのはわかってるだろ
Come and mate47mate
[動]British英語の「友達」の意ではなく、動詞「交わる・結ばれる」の意。生物学的な「交尾」から転じ、性的・恋愛的な結合を指す俗用。 with me, you know I do it better
私と結ばれよう、私の方が上手いってわかってるでしょ
[Outro]
Oh, yeah, oh, yeah
ああ、そうさ、ああ、そうさ
Oh, yeah, oh, yeah
ああ、そうさ、ああ、そうさ
Writer(s): Dre Moon, Future
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Cast a Spell」はどんな曲ですか?
Future(本名:ナイヴェイディアス・ウィルバーン)はアトランタ出身のラッパーで、オートチューンを多用した独自のメロディック・ラップスタイルと、ドラッグ・恋愛・ストリートライフをテーマにした赤裸々な歌詞で世界的な評価を受けてきました。「Cast a Spell(呪文をかける)」というタイトルが示すとおり、この曲は快楽や恋愛の陶酔感がまるで魔法のように理性を奪っていくさまを描いており、Futureの退廃的でありながら中毒性の高い世界観を凝縮した一曲です。リリース後はSpotifyやApple Musicといった主要ストリーミングプラットフォームで彼のファンベースを中心に広く聴かれており、ヒップホップ/トラップ系チャートでも存在感を示しています。
「”go through”」はどういう意味ですか?
「go through」は直訳すると「〜を通り抜ける」ですが、日常英語やリリックでは「(辛い出来事・感情を)経験する、乗り越える」という意味で頻繁に使われます。たとえば “I’ve been going through it”(ずっとしんどかった)のように言うと、どんな苦労かを具体的に言わなくても「いろいろあった」というニュアンスが伝わります。この曲でFutureがこの表現を使う場面では、感情的な痛みや葛藤をくぐり抜けてきたというサバイバル感が滲んでおり、彼の音楽全体に通底する「どん底から這い上がる」テーマを体現しています。
「”gone off”」はどういう意味ですか?
「gone off」はヒップホップのスラングとして文脈によって複数の意味を持つ、少しトリッキーな表現です。大きく分けると、①「(薬物やアルコールで)完全にキマっている・ハイになっている」、②「(アーティストや曲が)突然人気爆発した・めちゃくちゃすごくなった」、③「テンションが振り切れて暴れている」という意味で使われます。この曲では主に①の用法で、ドラッグによって現実感覚が溶けていくトランス状態を表現していると解釈できます。なお、イギリス英語で “The milk has gone off”(牛乳が腐った)と言うのとはまったく別の意味なので混同しないようにしましょう。
「”ketamine”」はどういう意味ですか?
「ketamine(ケタミン)」は、もともと外科手術や獣医療で使われる麻酔薬ですが、”Special K” や単に “K” と呼ばれる娯楽用ドラッグとして悪用されることでも知られています。強い解離作用(自分が自分でないような、現実から切り離された感覚)と多幸感をもたらし、過剰摂取すると「K-hole(ケーホール)」と呼ばれる深い意識解離状態に陥ることがあります。Futureはキャリアを通じて処方薬や違法薬物への依存をリリックで正直に描いてきましたが、「ketamine」への言及もその延長線上にあり、快楽の追求と引き換えに現実から逃避せざるを得ない痛みや空虚さを同時に暗示する、彼の音楽における重要なモチーフのひとつです。
関連リンク
Cast a Spell – Future (Official Video)
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【歌詞和訳】March Madness – Future
【歌詞和訳】I’M DAT N**** – Future
【歌詞和訳】Stick Talk – Future
【歌詞和訳】Mask Off – Future
【歌詞和訳】Radio – Future