今回の曲のタイトルは、「Boss Bitch」です。直訳すると、「ボスな雌犬」です。「Boss」は「仕切る人」「親分」、「Bitch」は俗語で「雌犬」を意味しますが、この曲では女性が自らの強さと自信を誇示するポジティブな表現として用いられています。
Doja Cat(本名:アマラ・ラトナ・ザンディレ・ドラミニ)は、1995年10月21日生まれ、アメリカ・ロサンゼルス出身のラッパー・シンガーソングライターです。「Boss Bitch」は2020年1月23日に映画『バーズ・オブ・プレイ(ハーレイ・クインの華麗なる覚醒)』のサウンドトラック第3弾シングルとしてリリースされ、2019年発表のアルバム「Hot Pink」のデラックス版にも収録されました。女性のエンパワーメントと自己肯定を力強く歌い上げたこの曲は、映画の主人公ハーレイ・クインの独立心と自由を象徴するアンセムとして、世界中で愛されています。
【直訳のポイント】タイトルの「Boss」は「上司」という名詞ではなく、「支配的な」「自分を持った」という形容詞的なニュアンスで使われています。「Bitch」は本来「雌犬」を意味しますが、ここでは女性が自らの強さを誇示する際に用いる表現として使われています。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Boss Bitch – Doja Cat
[Intro]
Mmm
うーん
I ain’t tryna (Ah)
そんなつもりじゃ(アー)
I ain’t tryna
そんなつもりじゃ
I ain’t tryna
そんなつもりじゃ
[Verse 1]
Yeah, ain’t tryna be cool like you
そう、あなたみたいにかっこつけようとはしない
Wobblin’ around in your high heel shoes
ハイヒールでよたよた歩きながら
I’m clumsy, made friends with the floor1made friends with the floor
[イディオム]「床と友達になった」→しょっちゅう転ぶ・ドジを踏む様子を表すユーモラスな比喩表現。
ドジな私は、床とすっかり仲良し
Two for one2two for one
[名・商業用語]「2つで1つ分の値段」という割引キャンペーン。日本の「2個半額」に相当。, you know a bitch3bitch
[名・AAVE]ここでは自分自身を指す一人称的俗語。侮辱ではなく、自信・強さの自己表現として用いられる。 buy four
2つで1つの値段なら、4つ買うのが私よ
And two left feet4two left feet
[イディオム]「両足とも左足」→ダンスや身のこなしがひどく不器用であることを表す英語の定番慣用句。, you know I always drop
両足とも左足で、いつもドロップしちゃう
First thing a girl did was a bop5bop
[名・俗語]リズムに乗って体を弾ませるダンスの動き、またはノリの良いヒット曲を指す。ここでは前者の意。
この子が最初にやったのはボップダンス
I’m the whole damn cake and the cherry on top6cherry on top
[イディオム]「ケーキの上のさくらんぼ」→すでに完璧なものにさらに添えられた最高の仕上げ、を意味する慣用句。
私はケーキ丸ごとで、てっぺんのチェリーまでぜんぶ私よ
Shook up the bottle, made a good girl pop7pop
[動・比喩]振られた瓶の栓が弾けるように、「いい子」のイメージが一気に解放される様子を表す。
ボトルを思いっきり振って、いい子ちゃんをはじけさせた
[Pre-Chorus]
You ain’t even here to party
あなたはパーティーをする気もないくせに
Ken in the club, tryna pipe8pipe
[動・俗語]「パイプを通す」→ AAVEで性行為を意味するスラング。 a Barbie
クラブでバービーみたいな女の子を口説こうとするケン
I don’t wanna go, go, go with the flow9go with the flow
[慣用句]「流れに乗る」→ 周囲に合わせて受け身に従うことを意味するイディオム。
流れに身を任せたくない
Backbend ‘til I touch my toes
つま先に触れるまで体を反らせて
I don’t wanna row, row, row the boat10row, row, row the boat
[文化]英語圏の童謡「Row, Row, Row Your Boat」の引用。ここでは周囲の期待に従い、言われた通りに振る舞うことを暗示。
言われた通りに従い続けたくない
Wrist full of rocks11rocks
[名・俗語]本来「岩」だが、ここではダイヤモンドや宝石類を指すスラング。 and I hope I float
手首いっぱいのジュエリーを身につけて、それでも浮いていたい
Big up12Big up
[句・俗語]ジャマイカ英語・AAVEで「称える・持ち上げる」を意味する表現。 yourself ‘cause you know they don’t
周りが称えてくれないなら、自分で自分を誇れ
I chew, chew, chew ‘cause they hope I choke13choke
[動・俗語]「窒息する」→ プレッシャーに負けて失敗することを指すスラング。「chew(噛み続ける・食らいつく)」との対比で語呂合わせにもなっている。
あいつらが私に失敗してほしいと思っているから、私は噛み続ける
[Chorus]
I’m a bitch14bitch
[名・俗語・AAVE]本来は侮辱語だが、ここでは強く自己主張する女性を誇らしげに指す自己肯定的な用法。, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma15I’ma
[句・AAVE]”I’m going to” の短縮形。強い意志・宣言を示す表現。 shine like gloss16gloss
[名]リップグロスのこと。ぬれた唇のように眩しく輝くさまを表す。
あたしはビッチでボス、グロスみたいにギラギラ輝いてみせる
I’m a bitch, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma shine like gloss
あたしはビッチでボス、グロスみたいにギラギラ輝いてみせる
I’m a bitch, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma shine like gloss
あたしはビッチでボス、グロスみたいにギラギラ輝いてみせる
I’m a bitch, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma shine like gloss
あたしはビッチでボス、グロスみたいにギラギラ輝いてみせる
[Verse 2]
Said bitch, I’m the after17the after
[名・口語]「後のもの=アップグレード版・上位互換」を表す造語。the beforeと対比させ、自分が進化した存在であることを示す。, you been the before
ねえ、あたしはアフター、あんたはビフォー
I been the stallion18stallion
[名・俗語]本来は「種牡馬」。Megan Thee Stallionが広めたスラングで、自立心が強く魅力的な女性を指す。, you been the seahorse
あたしはスタリオン、あんたはタツノオトシゴ
Don’t need a report, don’t need a press run19press run
[名・業界用語]新作プロモーションのためにメディアを回る取材・インタビューツアーのこと。
レポートもいらない、プレス対応もいらない
All of my bad20bad
[形・AAVE]本来「悪い」だが、ここでは「セクシー・魅力的」を意味するスラング。同時に「出来が悪いとされた写真」との二重の意味も持つ。 pics been all my best ones
あたしのバッドな写真、全部が最高の一枚になってる
I wear the hat and I wear the pants21wear the pants
[句動・慣用]「主導権を握る・仕切る立場にある」を意味するイディオム。
あたしがすべてをこなして、仕切るのもあたし
I am advanced, so I get advance22advance
[名・業界用語]レコード会社などから支払われる前払い金(アドバンス)。直前の「advanced(先を行く・優れた)」との語呂合わせになっている。
あたしは先を行くから、アドバンスをもらえる
And I do my dance and cancel the plans
自分のやり方で踊って、予定なんかキャンセルする
Said boo23boo
[名・俗語]恋人や親しい相手への呼びかけ。, don’t be mad ‘cause you had the chance
ねえ、怒らないで、チャンスはあったんだから
[Pre-Chorus]
Drop,24Drop
[名・音楽スラング]曲の展開が最高潮に達し、ビートが一気に解放される瞬間「ビートドロップ」を指す音楽用語。 said I took it and I ran for it25ran for it
[句動詞・慣用]「run for it」の過去形。「それに向かって全力で駆け出した/つかんで走り去った」という意のイディオム。
ビートが落ちた、手に入れて全力で走り抜けたと言った
I won it, then I stand on it26stand on it
[句動詞・AAVE]「その上に立つ」→ 勝ち取ったものを堂々と誇示し、揺るぎなく主張するAAVEスラング。
勝ち取った、そしてその上に堂々と立つ
Money on the floor when we dance on it
俺たちが踊るフロアには金が散らばる
Shine bright, let them put a tan on it
輝け、奴らに焼かせてやれ
Said I took it and I ran for it27ran for it
[句動詞・慣用]「run for it」の過去形。「それに向かって全力で駆け出した/つかんで走り去った」という意のイディオム。
手に入れて全力で走り抜けたと言った
I won it, then I stand on it28stand on it
[句動詞・AAVE]「その上に立つ」→ 勝ち取ったものを堂々と誇示し、揺るぎなく主張するAAVEスラング。
勝ち取った、そしてその上に堂々と立つ
Money on the floor when we dance on it
俺たちが踊るフロアには金が散らばる
Shine bright, let them put a tan on it like
輝け、奴らに焼かせてやれ
[Chorus]
I’m a bitch29bitch
[名・俗語]本来は「雌犬」の意だが、ヒップホップ文化では女性が自らの強さと自信を示す自己肯定的な表現として転用される。, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma30I’ma
[口・AAVE]”I’m going to” の短縮形。アフリカ系アメリカ人英語(AAVE)に特有の表現。 shine like gloss
ビッチでボス、グロスみたいに輝いてやる
I’m a bitch, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma shine like gloss
ビッチでボス、グロスみたいに輝いてやる
I’m a bitch, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma shine like gloss
ビッチでボス、グロスみたいに輝いてやる
I’m a bitch, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma shine like gloss
ビッチでボス、グロスみたいに輝いてやる
[Bridge]
Rrrr, ah, ah, ah
ルルル、アー、アー、アー
I’m a bitch31bitch
[名・俗語]本来は「嫌な女」の侮蔑語だが、ヒップホップ文化では自信・自立・強さを誇示する自己表現として転用された語。 (I’m a bitch), I’m a boss (I’m a boss)
あたしはビッチ(あたしはビッチ)、あたしはボス(あたしはボス)
I’m a bitch (I’m a bitch), I’m a boss (I’m a boss)
あたしはビッチ(あたしはビッチ)、あたしはボス(あたしはボス)
I’m a bitch (I’m a bitch), I’m a boss (I’m a boss)
あたしはビッチ(あたしはビッチ)、あたしはボス(あたしはボス)
I’m a bitch and a boss, I’ma32I’ma
[AAVE]”I am going to” の短縮形。近未来の強い意志を表す。 shine like gloss33gloss
[名]リップグロスのこと。光沢のある唇用化粧品で、キラキラと輝く様子の比喩として使われている。
あたしはビッチでボス、リップグロスみたいにキラキラ輝いてみせる
[Chorus]
I’m a bitch34bitch
[名・俗語]本来は侮蔑語だが、ヒップホップ・R&B文化では「強くて自信に満ちた女性」として自ら誇りを持って使う言葉に再解釈されている。, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma35I’ma
[口語・AAVE]”I’m going to” の短縮形。意志・近い未来を表すAAVE表現。 shine like gloss36gloss
[名]リップグロスなどの光沢素材のこと。「グロスのように輝く」=目が眩むほど輝くという比喩表現。
ビッチでボス、グロスみたいにギラギラ輝いてみせる
I’m a bitch, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma shine like gloss
ビッチでボス、グロスみたいにギラギラ輝いてみせる
I’m a bitch, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma shine like gloss
ビッチでボス、グロスみたいにギラギラ輝いてみせる
I’m a bitch, I’m a boss
あたしはビッチ、あたしはボス
I’m a bitch and a boss, I’ma shine like gloss
ビッチでボス、グロスみたいにギラギラ輝いてみせる
Writer(s): Ashnikko, Doja Cat, Imad Royal, Sky Adams
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Boss Bitch」はどんな曲ですか?
「Boss Bitch」は、ドージャ・キャットが2020年1月23日にリリースした楽曲で、映画『バーズ・オブ・プレイ(ハーレイ・クインの華麗なる覚醒)』のサウンドトラック第3弾シングルとして発表されました。米Billboard Hot 100では100位にランクインしたほか、アイルランドで8位、オーストラリアで17位、イギリスで24位を記録するなど各国のチャートで存在感を示し、アメリカでは全米レコード協会(RIAA)から2倍プラチナ認定を受けています。ドージャ・キャットの自信とパワーを象徴する代表曲として世界中のリスナーに愛されています。
「”made friends with the floor”」はどういう意味ですか?
直訳すると「床と友達になった」ですが、これはヒップホップやクラブカルチャーに特有のユーモラスな表現です。床すれすれで激しくダンス(トワーキングなど)を踊りこなす様子を「床とすっかり仲よくなるほど」と言い表しており、自分のダンスの上手さやセクシュアリティを堂々と誇示するニュアンスが込められています。「私は床すら味方につける」という強者感を、あえてカジュアルに言ってのけるのがドージャ・キャットらしい言葉遊びです。
「”two for one”」はどういう意味ですか?
「two for one」は英語のショッピング用語で、「1つの値段で2つ手に入る=超お得なセット」を意味します。日本語の「1+1(ワンプラスワン)セール」に近いイメージです。この曲の中でドージャ・キャットが使うのは、「ルックスもラップも両方こなせる二刀流なのに、それが全部ひとりの私にパッケージされている」という自己PRです。要するに「私はお得すぎる存在」と宣言する、自信満々でユーモラスな自慢フレーズです。
「”bitch”」はどういう意味ですか?
もともと「bitch」は女性への侮辱語ですが、ヒップホップ・カルチャーの中では長年かけて「リクレイム(再定義・奪還)」されてきた言葉です。「boss bitch」のように用いられる場合は、「誰にも媚びず、自分の力で頂点に立つ最強の女性」という誇り高い意味合いになります。ドージャ・キャットはこの曲で、社会的な偏見や抑圧をはねのけ、自分の価値と魅力を高らかに宣言するためにこの言葉を使っており、単なる悪口ではなくエンパワーメントの象徴として機能しています。日本語に訳すなら「最強の女ボス」といったニュアンスが最も近いでしょう。
関連リンク
Boss Bitch – Doja Cat (Official Video)
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