今回の曲のタイトルは、「No Misery」です。直訳すると、「苦しみなし」です。”Misery”(ミザリー)とは「苦しみ」「惨めさ」「不幸」を意味する英単語であり、それをそのまま否定した曲名には、いかなる痛みや悲しみをも寄せつけないという、強い意志と余裕が滲み出ています。
アーティストのFuture(本名:Nayvadius DeMun Wilburn)は、1983年11月20日生まれ、ジョージア州アトランタ出身のラッパー・シンガー・ソングライター。Auto-Tuneを多用した独自のメロディックトラップスタイルを確立し、2010年代以降の現代ヒップホップに計り知れない影響を与えてきた人物だ。本楽曲はテキサス州ヒューストン出身のスーパースター・Travis Scottとの共作で、プロデュースはFutureとの長年の盟友であるWheezyと、Shndōが担当。成功と孤独、富と感情的な空虚さを同居させるというFuture特有のテーマを軸に、重厚なベースと内省的なリリックが絡み合うダークなトラップナンバーに仕上がっている。
【直訳のポイント】タイトルの”Misery”は「惨めさ」とも「苦悩」とも訳せるが、歌詞全体のトーンを踏まえ、感情的な重さを残しつつ「苦しみ」で統一した。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
No Misery – Future
[Intro: André 3000]
You know, now everybody discusses the trap1trap
[名・音楽ジャンル]アトランタ発祥のヒップホップのサブジャンル。重低音の808ベース、ハイハットの連打、ドラッグやストリートライフを題材とした歌詞が特徴。 genre, and you know
ほら、今みんながトラップというジャンルについて話している
That whole genre of rap and they try to discredit it or, you know, make it bigger than what it is
ラップのそのジャンル全体を貶めようとしたり、実際以上に大げさに扱おうとしたりしている
And I listen to a lot of artists and one thing I can say is, uh, Future2Future
[固有名詞・ラッパー]本名Nayvadius DeMun Wilburn。アトランタ出身のラッパーで、トラップにオートチューンを融合させたスタイルで知られる。 has a certain pain behind what he’s doin’
たくさんのアーティストを聴いてきたが、一つ言えることは、フューチャーのやっていることの背後には確かな痛みがあるということだ
And you can call it soul, you can call it whatever, but to me it comes off3comes off
[句動詞]「come off as ~」で「~として伝わる・~のように受け取られる」を意味するイディオム。 as pain
ソウルと呼ぼうが何と呼ぼうが、俺には痛みとして伝わってくる
That’s where it comes straight off as pain and now I’m going to let y’all watch me balance the pain and we all on edge4on edge
[慣用句]「緊張して・ハラハラして・不安で」を意味するイディオム。刃の縁(edge)に立つイメージから来ている。 watching it
まさにそこから痛みが真っ直ぐ伝わってくる。さあ今から、お前らに俺が痛みと向き合う姿を見せてやる——俺たちみんな固唾を呑んでそれを見守っている
Yeah, yeah
ああ、そうだ
[Verse 1: Future]
Sweet bitch, you know I was the one and the seven, I tryna tie you like an ace5ace
[名・トランプ]トランプのエース(1の札)。最強の切り札を意味し、「エースのように確実に手中に収める」という比喩。 (Seven)
スウィートなビッチ、俺が「ワン」であり「セブン」だったのはわかるだろ、エースのようにお前を縛りつけようとしてる(セブン)
One of them members, I’m one of the only, never needed ‘nother passion (Never)
グループのメンバーのひとりとして、唯一無二の存在として、別の情熱なんて必要なかった(ネバー)
They watchin’, they copy me, did everythin’ I did, now they gotta pay respect6pay respect
[句動詞]「敬意を払う」→ここでは「認めて頭を下げる・従う」という意味のイディオム。 (They were strain7strain
[名]「負担・重荷」。「a strain on me」=「俺への足かせ」という意味。 on me)
奴らは見てる、俺のマネをして俺がやったこと全部やった、今は頭を下げるしかない(奴らは俺の足かせだった)
Diamond record8Diamond record
[名・音楽業界]米国RIAAが授与する最高位認定。楽曲やアルバムが1000万枚以上(ストリーミング換算含む)を売り上げた際に与えられる。 can’t define me, trillion dollar niggas9niggas
[名・AAVE]「大金を持つ業界の大物たち」を指す表現。差別的な語源を持つが、AAVE内では人物・仲間を指すスラングとして転用される。 couldn’t sign me (Niggas couldn’t find me)
ダイヤモンド認定も俺の本質は定義できない、兆ドル規模の業界の大物たちも俺を契約できなかった(奴らには俺を見つけられなかった)
Shorty10Shorty
[名・AAVE]「小柄な子」→若い女性・気になる相手を親しみを込めて呼ぶスラング。 barely even know me, she poppin’ up11poppin’ up
[句動詞]「突然現れる・急に連絡してくる」という意味のイディオム。 on me while I’m fried12fried
[形・俗語]「揚げられた」→酒や薬でぐでんぐでんになった・ハイになっている状態を表すスラング。
あの子はほとんど俺のことも知らないのに、俺がベロベロの間に急に現れてくる
Outside of my body, you tryna get a baby inside (Oh, oh)
俺が我を忘れているのに、お前は子どもを作ろうとしてる(オー、オー)
Bitch blamed on me, what a shame on me
あのビッチは俺のせいにした、なんて恥ずべきことだ
[Chorus: Travis Scott & Future]
You a bad bitch13bad bitch
[名・AAVE俗語]「bad」は本来「悪い」の意だが、AAVEでは「魅力的・自信に満ちた」の意に転じる。「bad bitch」で自信があり強さを持つ魅力的な女性を指す。, no matter wherever you stay
お前はどこにいようと最高の女だ
You’ll never fuck her better than I can
お前には俺より上手く彼女を抱くことなんてできない
And you a bad bitch14bad bitch
[名・AAVE俗語]「bad」は本来「悪い」の意だが、AAVEでは「魅力的・自信に満ちた」の意に転じる。「bad bitch」で自信があり強さを持つ魅力的な女性を指す。, no matter wherever you stay (Yeah)
そしてお前はどこにいようと最高の女だ(イェー)
You’ll never fuck her better than I can (You’ll never fuck her better than I can)
お前には俺より上手く彼女を抱くことなんてできない(お前には俺より上手く彼女を抱くことなんてできない)
[Post-Chorus: Travis Scott & Future]
Never, never, never, never
絶対に、絶対に、絶対に、絶対に
Fuck her better than I (Yeah)
俺よりうまく彼女を抱けやしない(そうだろ)
Never, never, never, never
絶対に、絶対に、絶対に、絶対に
Fuck her better, never, never
うまく彼女を抱けやしない、絶対に、絶対に
Never fuck her better than I can
俺よりうまく彼女を抱くことは絶対にできない
[Verse 2: Future]
That bad bitch15bad bitch
[名・AAVE]「bad」はAAVEで「魅力的・最高」の意。「bad bitch」で「最高にいい女・できる女」を指す。, you lovin’ me, then molested me
そんないい女、俺を愛しながら、俺を弄んだ
For a century, and a decade, no misery (Oh)
100年と10年、苦しみなんてなかった
We made history, after history, after history (Oh)
俺たちは何度も何度も歴史を刻み続けた
Made a movie in a moment, ain’t no clone in me (Oh)
一瞬で映画みたいな出来事を作り上げた、俺は唯一無二だ
I be fuckin’ you while you talk to me, don’t get off of me16get off of me
[句動・俗]「私から離れる・手を引く」→ここでは「やめるな・動くな」のニュアンス。 (Yeah)
お前が話しかけてくる間も俺はヤってる、離れるな
I fuck you while you talk to me, don’t get off
話しかけてくる間もヤってる、やめるな
[Chorus: Travis Scott & Future]
You a bad bitch17bad bitch
[名・俗語]「悪い女」ではなく、自信と魅力を兼ね備えた最高の女性を指すAAVEの賛辞。, no matter wherever you stay18stay
[動・AAVE]「一時的にとどまる」ではなく「住む・暮らす」を意味するAAVEの用法。
どこに住んでいようと、あなたは最高の女
You’ll never fuck her better than I can (Never fuck her better than I can)
俺よりうまく彼女を抱けるはずがない(絶対に抱けない)
And you a bad bitch19bad bitch
[名・俗語]「悪い女」ではなく、自信と魅力を兼ね備えた最高の女性を指すAAVEの賛辞。, no matter wherever you stay20stay
[動・AAVE]「一時的にとどまる」ではなく「住む・暮らす」を意味するAAVEの用法。 (No)
そしてどこに住んでいようと、あなたは最高の女(いや)
You’ll never fuck her better than I can (You’ll never)
俺よりうまく彼女を抱けるはずがない(絶対に)
[Post-Chorus]
Never, never, never, never
絶対に、絶対に、絶対に、絶対に
Fuck her better than I (No, no)
俺よりうまく彼女を抱けるもんか(いや、ない)
Never, never, never, never
絶対に、絶対に、絶対に、絶対に
Fuck her better, never, never
彼女をうまく抱けるもんか、絶対に、絶対に
Never fuck her better than I can
俺よりうまく彼女を抱ける男なんかいない
[Outro: Future]
Yeah, ski
イェー、スキー
Pretty model bitch, I was blissin’21blissin’
[動・俗語]「至福の状態にある」→ 恍惚・絶頂の気分でいることを表すAAVEスラング。, I was back in Texas (Turf)
可愛いモデル女と最高な気分で、テキサスに戻ってた(ターフ)
Found her backstage at my show when I was out in Texas (Uh)
テキサスのショーで、バックステージにいた彼女を見つけた(ウー)
Hit22hit
[動・俗語]「打つ」→「セックスする」を意味するAAVEスラング。 her in my dressing room and it was impressive (Fuck off)
楽屋でヤって、最高だった(うせろ)
Put her on her knees, she pull out23pull out
[句動詞・俗語]「引き抜く/去る」→ここでは(その場から)引き上げる・出ていくことを表すAAVE的用法。 with Ski, big stretcher24stretcher
[名・俗語]「伸ばすもの」→ 巨大な男性器を指す性的俗語。
彼女を膝まずかせて、スキーと一緒に去っていった、でかいやつで
Different countries, different states yeah we—
違う国、違う州、そう俺たちは——
Writer(s): Future, Travis Scott, Wheezy, Shndō
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「No Misery」はどんな曲ですか?
「No Misery」は、アトランタ出身のラッパー・Future(本名:Nayvadius DeMun Wilburn)による楽曲で、彼のトラップ・サウンドとメロディックなフロウが融合した一曲です。Futureは2010年代以降、数々のミックステープやアルバムでストリーミングチャートを席巻してきたアーティストであり、本曲もSpotifyをはじめとする各プラットフォームで根強い再生数を誇っています。痛みや苦しみ(misery)を超えて前へ進もうとする姿勢が歌詞全体に貫かれており、彼のファンから特に支持されているテーマです。
「trap」はどういう意味ですか?
「trap」はもともと、アメリカ南部の貧困地区でドラッグが売買される場所や、そこでの過酷な日常を指すスラングです。Futureが育ったアトランタはトラップ・ミュージックの発祥地でもあり、この言葉には単なる地名以上の意味が込められています。歌詞の中では「逃げ出せない環境」や「ストリートの現実」を象徴する言葉として使われており、Futureが自分のルーツをどう見つめているかが伝わってきます。
「Future」はどういう意味ですか?
英語で「未来」を意味する「future」ですが、この曲の文脈では単なる芸名以上のニュアンスがあります。Futureは歌詞の中で自分自身のことをこの名で呼ぶことが多く、「今の俺はもう過去の苦しみとは違う存在だ」という自己宣言のような役割を果たしています。ステージネームをそのまま歌詞に織り込むことで、アーティストとしての自分と作品世界を重ね合わせる、Futureならではの表現スタイルが感じられます。
「comes off」はどういう意味ですか?
「comes off」は「〜のように見える・伝わる」または「うまくいく・成功する」という意味で使われる英語表現です。たとえば “It comes off real”(本物のように伝わってくる)のように、自分の言葉や行動が相手にどう映るかを表す際によく使われます。日本語に直訳しにくいフレーズですが、「〜として伝わる」「〜な印象を与える」と解釈すると自然です。Futureの歌詞では、強さや成功を誇示するブラガドシャス(自慢)な文脈で登場することが多く、彼のリリックの核心にある自己表現と深く結びついています。
関連リンク
No Misery – Future (Official Video)
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