今回の曲のタイトルは、「Same Love」です。直訳すると、「同じ愛」です。シンプルなタイトルの中に、愛に優劣も違いもないというメッセージが凝縮されており、歌詞全体を通じてその思いが丁寧に語られています。今回はそんなこの楽曲の歌詞を和訳してみました。
マックルモア(本名:ベン・ハガティ)とライアン・ルイスは、ワシントン州シアトル出身のヒップホップデュオです。「Same Love」は2012年7月にリリースされ、同年10月発売のデビューアルバム『The Heist』に収録されました。コーラスにはシンガーのメアリー・ランバートをフィーチャーしており、Billboard Hot 100では最高11位を記録しています。ワシントン州で同性婚を合法化する住民投票(レファレンダム74)を支持するために制作されたこの楽曲は、LGBTQの権利と愛の平等を訴えるコンシャス・ヒップホップの代表曲として、今も世界中で広く知られています。
【こだわり解説】この曲は「愛は誰にとっても同じものだ」という主張がテーマの核なので、当ブログでは意訳で飾らず、歌詞に出てくる言葉をできるだけそのまま日本語に置き換えることを意識しました。特にサビの「I can’t change, even if I tried」は「変われない」という事実をそのまま伝える表現に留め、原曲の率直な感情を大切にしています。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Same Love – Macklemore & Ryan Lewis
[Verse 1: Macklemore]
When I was in the third grade, I thought that I was gay
小学3年生のとき、自分はゲイだと思っていた
‘Cause I could draw, my uncle was, and I kept my room straight1straight
[形・二重語義]①「きちんと整った・片付いた」という通常の意味と、②性的指向の「異性愛者」という意味を掛けた言葉遊び。
絵が得意で、叔父もそうで、部屋をきちんと片付けていたから
I told my mom, tears rushing down my face
涙を流しながら母に打ち明けた
She’s like, “Ben, you’ve loved girls since before Pre-K2Pre-K
[名・米]Pre-Kindergartenの略。幼稚園入園前(4歳前後)を指す米国の就学前教育課程。“
「ベン、幼稚園に入る前からずっと女の子が好きだったじゃない」と母は言った
Trippin’3Trippin’
[動・AAVE俗語]「おかしなことを考える・大げさに騒ぐ・混乱する」という意味のスラング。, yeah, I guess she had a point4had a point
[句・イディオム]「的を射ていた・言っていることが正しかった」という意味。, didn’t she?
大げさだったな、確かに母の言う通りだったかもしれない
A bunch of stereotypes all in my head
頭の中にステレオタイプばかりが詰まっていた
I remember doing the math5doing the math
[句・イディオム]「計算する」→「状況を論理的に考えて結論を出す」という意味のイディオム。 like, “Yeah, I’m good at little league6little league
[名・米]リトルリーグ。主に北米の子ども向けアマチュア野球リーグ。ここでは「スポーツが得意=男らしい」というステレオタイプ的な「証拠」として挙げている。“
「リトルリーグも得意だし」と頭の中でそろばんを弾いていたのを覚えている
A pre-conceived idea of what it all meant
それがすべて何を意味するかについての先入観
For those that like the same sex had the characteristics
同性を愛する人たちには(ある特定の)特徴があるという(思い込み)
The right-wing conservatives think it’s a decision
右翼の保守派はそれを個人の選択だと考えている
And you can be cured with some treatment and religion
治療と宗教さえあれば治せる、と
Man-made, rewiring7rewiring
[動名詞・比喩]配線をやり直すこと → 脳や心の「回路」を人工的に作り変えるという比喩。ここでは性的指向を「修正」しようとする行為を指す。 of a pre-disposition8pre-disposition
[名・医学]生まれつきの素因・傾向。ここでは性的指向など生得的な特性を指す。
人為的に、生まれつきの傾向を書き換えようとする
Playing God9Playing God
[慣用句]「神を演じる」→ 人間が神の領域に踏み込み、他者の本質や生き方を裁定しようとする行為を指すイディオム。, aw nah10aw nah
[間投詞・AAVE]「ああ、やめてくれ」「またこれか」という呆れと諦めを示す口語表現。nah は no の崩し形。, here we go
神のまねごとをして——ああ、またこれか
America the brave11America the brave
[文化]米国国歌『星条旗』の一節 “home of the brave”(勇者の国)を踏まえた皮肉的な引用。 still fears what we don’t know
「勇敢なアメリカ」は、いまだに知らないものを恐れている
And “God loves all his children” is somehow forgotten
そして「神はすべての子どもたちを愛している」という言葉は、いつの間にか忘れ去られる
But we paraphrase a book written thirty-five hundred years ago
でも私たちは三千五百年前に書かれた本を都合よく言い換えて使う
I don’t know
わからない
[Chorus: Mary Lambert]
And I can’t change
それでも、私は変われない
Even if I tried
どれだけ努力しても
Even if I wanted to
たとえそう望んでも
And I can’t change
それでも、私は変われない
Even if I tried
どれだけ努力しても
Even if I wanted to
たとえそう望んでも
My love, my love, my love
愛しい人、愛しい人、愛しい人
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
[Verse 2: Macklemore]
If I was gay, I would think hip-hop hates me
もし自分がゲイだったなら、ヒップホップに憎まれていると感じるだろう
Have you read the YouTube comments lately?
最近、YouTubeのコメント欄を読んだことがあるか?
“Man, that’s gay” gets dropped on the daily12on the daily
[副・AAVE]「毎日のように」「日常的に」を意味するAAVEスラング表現。
「マジそれゲイじゃん」が毎日のように吐き捨てられている
We’ve become so numb to what we’re sayin’
私たちは自分たちの言葉にすっかり無感覚になってしまった
Our culture founded from oppression
抑圧から生まれた、私たちの文化
Yet we don’t have acceptance for ‘em
それでも、彼らを受け入れようとしない
Call each other faggots13faggots
[名・侮蔑語]本来「薪の束」などの意だが、ここでは同性愛者に向けられた英語の差別的侮蔑語として使用。 behind the keys of a message board
掲示板のキーボードの陰に隠れて互いを罵り合う
A word rooted in hate, yet our genre still ignores it
憎しみに根ざした言葉なのに、私たちのジャンルは今もそれを無視し続ける
And “gay” is synonymous with the lesser
そして「ゲイ」は「劣ったもの」の同義語になっている
It’s the same hate that’s caused wars from religion
それは宗教が戦争を引き起こしてきたのと同じ憎しみだ
Gender to skin color, the complexion14complexion
[名]「肌の色調・顔色」を意味する語。単なる「色」より細かく、皮膚の色合いや質感を含む表現。 of your pigment
性別から肌の色まで、その色素が生み出す肌の色合い
The same fight that led people to walk-outs15walk-outs
[名]抗議のために職場・学校などを集団で退場する示威行動。 and sit-ins16sit-ins
[名]公民権運動で多用された、施設内に座り込んで立ち退きを拒否する非暴力抗議の手法。
人々を抗議の退場や座り込みへと駆り立てた、あの同じ闘い
It’s human rights for everybody, there is no difference
すべての人に人権がある、違いなどない
Live on and be yourself
生き続けて、ありのままの自分でいろ
When I was at church they taught me something else
教会にいた頃、彼らは別のことを教えていた
If you preach hate at the service, those words aren’t anointed17anointed
[形・宗教]「油を注がれた」が原義で、「神に祝福・聖別された」を意味する。ここでは「神の言葉として認められない」という否定に使用。
礼拝で憎しみを説くなら、その言葉は神に祝福されていない
That holy water that you soak in has been poisoned
あなたが浸かっているその聖水は汚されている
When everyone else is more comfortable remaining voiceless
他の誰もが沈黙を保つ方が楽だと感じているとき
Rather than fighting for humans that have had their rights stolen
権利を奪われた人々のために立ち上がるよりも
I might not be the same, but that’s not important
私はあなたと同じ境遇ではないかもしれない、でもそれは関係ない
No freedom ‘til we’re equal, damn right18damn right
[副・俗語]「まったくその通り」「絶対そうだ」という強い肯定・確信を表すスラング。 I support it
平等になるまで自由はない、当然俺は支持する
[Trombone Interlude]
[Chorus: Mary Lambert]
And I can’t change
でも、私は変われない
Even if I tried
たとえ試みたとしても
Even if I wanted to
たとえそう望んだとしても
My love, my love, my love
愛しい人よ、愛しい人よ、愛しい人よ
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
[Verse 3: Macklemore]
We press play, don’t press pause, progress, march on
再生を押し、停止はしない、前進し、歩み続けよう
With a veil over our eyes, we turn our back on19turn our back on
[句動詞]「〜に背を向ける」→ 見て見ぬふりをする・見捨てる・無視することを表すイディオム。 the cause
目に覆いをかけたまま、大義に背を向けてしまう
‘Til the day that my uncles can be united by law
俺のおじたちが法のもとに結ばれる日まで
When kids are walking ‘round the hallway
子どもたちが廊下を歩いているとき
Plagued20Plagued
[動・形]plague(疫病・災い)の過去分詞形。「〜に苦しめられている」という意味で使われる。 by a pain in their heart
心の痛みに苦しみながら
A world so hateful, some would rather die than be who they are
これほど憎悪に満ちた世界では、自分らしくあるよりも死を選ぶ人もいる
And a certificate on paper isn’t gonna solve it all
紙の上の証明書だけでは、すべてが解決するわけじゃない
But it’s a damn good place to start
でも、始まりとしては申し分ない
No law’s gonna change us, we have to change us
法律では私たちは変われない、私たち自身が変わらなければ
Whatever god you believe in, we come from the same one
どの神を信じていても、私たちは同じ神から生まれた
Strip away the fear, underneath it’s all the same love
恐れを剥ぎ取れば、その下にあるのはみな同じ愛
About time21About time
[慣用句]「やっと~する頃だ」「とっくにそうすべきだった」という意味の英語イディオム。 that we raised up22raised up
[句動詞]「立ち上がる・声を上げる・立ち向かう」という意味の句動詞。ここでは社会的・精神的な覚醒・決起を表す。, sing
もう立ち上がる時だ、歌え
[Chorus: Mary Lambert]
And I can’t change
でも私は変われない
Even if I tried
どれだけ努力しても
Even if I wanted to
たとえそう望んでいても
And I can’t change
でも私は変われない
Even if I tried
どれだけ努力しても
Even if I wanted to
たとえそう望んでいても
My love, my love, my love
愛しい人よ、愛しい人よ、愛しい人よ
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
She keeps me warm
彼女が私を温めてくれる
[Outro: Mary Lambert]
Love is patient
愛は忍耐強い
Love is kind
愛は優しい
Love is patient
愛は忍耐強い
Love is kind (Not crying on Sundays)
愛は優しい(日曜日には泣かない)
Love is patient (Not crying on Sundays)
愛は忍耐強い(日曜日には泣かない)
Love is kind (I’m not crying on Sundays)
愛は優しい(私は日曜日には泣かない)
Love is patient (Not crying on Sundays)
愛は忍耐強い(日曜日には泣かない)
Love is kind (I’m not crying on Sundays)
愛は優しい(私は日曜日には泣かない)
Love is patient (Not crying on Sundays)
愛は忍耐強い(日曜日には泣かない)
Love is kind (I’m not crying on Sundays)
愛は優しい(私は日曜日には泣かない)
Love is patient
愛は忍耐強い
Love is kind
愛は優しい
Writer(s): Macklemore, Ryan Lewis, Mary Lambert, Josh Rawlings, Greg Kramer
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Same Love」はどんな曲ですか?
「Same Love」は、シアトル出身のヒップホップデュオ、マックルモア&ライアン・ルイスが2012年にリリースした楽曲で、シンガーソングライターのメアリー・ランバートがコーラスを担当しています。同性婚の平等を正面から訴えたメッセージ性の強さが話題を呼び、全米ビルボード・ホット100で最高11位を記録。2014年のグラミー賞では最優秀ラップソング賞に輝き、Spotifyでの再生回数は累計8億回を超えるロングヒットとなっています。
なぜストレートのラッパーがLGBTQ+支持の曲を書いたのですか?
ヒップホップは長年、ホモフォビア(同性愛嫌悪)的な表現が多いジャンルだと批判されてきました。マックルモア自身はゲイではありませんが、幼い頃にゲイのおじの存在を身近に感じていたこと、そして当時ワシントン州で行われていた同性婚を認める住民投票(レファレンダム74)を前に、「仲間として声を上げるべきだ」と感じてこの曲を書いたと語っています。業界の空気に逆らって”アライ(支持者)”としての立場を表明したこと自体が、当時のヒップホップシーンでは非常に大きな一歩でした。
サビの「I can’t change, even if I tried」というフレーズには、どんな意味が込められていますか?
このフレーズは、メアリー・ランバートが歌うサビの核心部分で、「たとえ望んでも、たとえ努力しても、私は変われない」という意味です。これはアメリカのLGBTQ+運動の文脈で非常に重要な主張、すなわち「性的指向は意志や努力で変えられるものではない」というメッセージを体現しています。かつてアメリカでは「転向療法(コンバージョン・セラピー)」と呼ばれる、ゲイを”矯正”しようとする擬似科学的な療法が実施されており、このフレーズはそうした考え方への静かな、しかし力強い反論として機能しています。
歌詞の中に聖書への言及があると聞きましたが、どういう意図で使われているのですか?
マックルモアは歌詞の中で「God loves all his children(神はすべての子を愛される)」というフレーズを引用しつつ、宗教を盾にした同性愛差別を婉曲的に批判しています。アメリカでは保守的なキリスト教グループが聖書を根拠に同性婚反対を訴えることが多く、この曲はその構図に真っ向から向き合っています。「愛を否定するために、愛の書(聖書)を使うのはなぜか」という問いかけは、日本では宗教と政治の対立がここまで可視化されにくいため、アメリカ特有の文化的・社会的背景を理解することでより深く歌詞の意味が伝わってきます。
関連リンク
Same Love – Macklemore & Ryan Lewis (Official Video)
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【歌詞和訳】Can’t Hold Us – Macklemore & Ryan Lewis ft. Ray Dalton
【歌詞和訳】Say So – Doja Cat
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