今回の曲のタイトルは、「Under The Influence」です。直訳すると、「影響下で」です。英語で “under the influence” といえば「(アルコールや薬物の)影響下にある」という慣用句としても広く知られており、この曲ではその表現を恋愛への陶酔感に重ねた比喩として用いています。好きな人の存在に酔いしれて、自分ではコントロールできなくなるような感覚を描いた一曲です。
クリス・ブラウン(Chris Brown)は、1989年生まれのアメリカ・ヴァージニア州出身のR&Bシンガー・ソングライター。「Under The Influence」は2022年6月24日リリースのアルバム『Breezy』に収録されており、TikTokでの爆発的なバズをきっかけに世界中で話題となった楽曲です。Billboard Hot 100では最高25位を記録。共同ライターにはナイジェリア出身のアーティスト・DavidoとプロデューサーのKDDOが名を連ねており、アフロビーツのリズムを取り入れたムーディーなR&Bサウンドが特徴的です。特定の女性への強烈な引力と、その存在に”酔いしれる”ような恋愛感情をテーマにしています。
【直訳のポイント】”under the influence” の直訳は「影響下にある」ですが、英語ではアルコールや薬物の影響下にある状態を指す慣用句でもあります。この曲ではその二重の意味を活かし、恋愛への陶酔感を表す比喩として用いられています。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Under The Influence – Chris Brown
[Intro]
Kido, Kido
Kido、Kido
K-K-Kido on the beat1on the beat
[句・音楽]「ビートの上に」→ プロデューサーが自分の制作したトラックに名前を入れる定型の名乗りフレーズ。, better run it back2run it back
[句・俗語]「巻き戻して再生する」→「もう一回最初からかけてくれ」を意味するスラング。
K-K-Kido、このビートは俺が作った――もう一回最初から流してくれ
[Verse 1]
Fuckin’ Robitussin3Robitussin
[固有名詞・ブランド]米国の市販咳止めシロップのブランド名。コデイン入りの製品が「リーン(lean)」として乱用されることから、ドラッグカルチャーの文脈で頻繁に登場する。
クソ、ロビタシンにやられて
I don’t know why this shit got me4got me
[句・AAVE]「got me + 形容詞」で「〜な状態にさせた」という使役表現。標準英語の “made me” に相当するAAVEの構文。 lazy right now, yeah
なんでこいつのせいでこんなにだるくなってんのか、わからん
Can’t do Percocets5Percocets
[固有名詞・薬]オキシコドンとアセトアミノフェンを含む処方オピオイド系鎮痛剤のブランド名。乱用・依存で知られ、ヒップホップ歌詞に頻出する。 or Molly6Molly
[名・俗語]MDMA(エクスタシー)の俗称。合成覚醒剤・幻覚剤の一種。 (Molly)
パーコセットもモーリーも、もう手を出せない
I’m turnin’ one7turnin’ one
[句・俗語]「1歳になる」が転じて「断薬・断酒からちょうど1年が経つ」を意味するスラング的表現。薬物をやめて1年の節目を指す。, tryna live it up8live it up
[句動詞・イディオム]「人生を目いっぱい楽しむ・謳歌する」を意味する慣用句。 here right, right, right
断って1年になる、ここで目いっぱい楽しもうとしてる
[Pre-Chorus]
Baby, you can
ねえ、あなたならできる
Ride9Ride
[動・俗語]「乗る」が転じて、相手の動きやリズムに身を委ねる・性的・親密な行為を指すスラング。 it, ooh, yeah
乗ってきて、ああ、そう
Bring it over to my place
それを私の家まで持ってきて
And you be like10be like
[句・口語/AAVE]「〜のように振る舞う・言う」を意味するくだけた表現。「〜って言う」のニュアンス。
そしてあなたはこう言う
“Baby, who cares?”
「ねえ、どうだっていいじゃない?」
But I know you care
でも本当は気にしてるって知ってる
Bring it over to my place
それを私の家まで持ってきて
[Chorus]
You don’t know what you did, did to me
あなたは知らない、あなたが私にしたことを
Your body lightweight11lightweight
[形・俗語]「軽量な」→ここでは体が羽のように軽く、浮き立つような感覚を与えるという比喩的な使い方。, speaks to me
あなたの体は軽やかで、私に語りかける
I don’t know what you did, did to me
私にはわからない、あなたが私にしたことが
Your body lightweight, speaks to me
あなたの体は軽やかで、私に語りかける
[Post-Chorus]
(‘Cane12‘Cane
[名・俗語]「cocaine(コカイン)」の冒頭「co-」を省略したストリートスラング。 on it)
(コカインが乗ってる)
Yeah
イェー
Yeah (Yeah)
イェー(イェー)
[Verse 2]
I can make it hurricane13hurricane
[動・俗語]「ハリケーン」→ ハリケーンのように激しく相手を圧倒・乱すことを示す性的スラング。 on it (‘Cane on it)
ハリケーンみたいに激しくいかせてやれる(ケーンみたいに)
Hunnid bands14bands
[名・俗語]AAVE。千ドル単位でまとめた札束のこと。「Hunnid bands」で十万ドル相当を指す。, make it rain15make it rain
[句・俗語]クラブ等でお金を空中にばらまく行為を指すヒップホップスラング。 on it (Rain on it)
分厚い札束、雨のように降り注いでやる(雨みたいに)
Tie it up, put a chain on it (Chain on it)
縛り上げて、鎖をかけてやる(鎖をかけて)
Make you tattoo my name on it (Name on it), oh
俺の名前をタトゥーに刻ませてやる(名前を)、oh
Make you cry like a baby, yeah
赤ちゃんみたいに泣かせてやる、yeah
Let’s GoPro16GoPro
[名・固有]アクションカメラの有名ブランド名。ここでは動詞的に「GoPro で撮影する」の意で使われている。 and make a video, yeah (Yeah)
GoPro で撮影して動画にしよう、yeah(yeah)
Make you cry like a baby, yeah
赤ちゃんみたいに泣かせてやる、yeah
Let’s GoPro17GoPro
[名・固有]アクションカメラの有名ブランド名。ここでは動詞的に「GoPro で撮影する」の意で使われている。 and make a video (Video)
GoPro で撮影して動画にしよう(動画)
Oh, yeah-yeah-yeah-yeah
ああ、yeah yeah yeah yeah
[Pre-Chorus]
Baby, you can
ねえ、あなたならできるよ
Ride18Ride
[動・俗語]「乗る」→ 気持ちや流れに身を委ねる・共に楽しむことを意味するスラング。ロマンティックな文脈では官能的なニュアンスを帯びることもある。 it, ooh, yeah
身を委ねてみて、ああ、そう
Bring it over to my place
うちまで持ってきて
And you be like19be like
[句・AAVE]「~のような状態だ」という字義から転じ、「~と言う」「~という感じで口にする」を意味する口語・AAVE表現。
そしてあなたは言うの
“Baby, who cares?”
「ねえ、誰が気にするっていうの?」
But I know you care
でも、あなたが気にしてるのはわかってる
Bring it over to my place
うちまで持ってきて
[Chorus]
You don’t know what you did, did to me
あなたには分からない、自分が私に何をしたのか
Your body lightweight, speaks to me20speaks to me
[句動詞・イディオム]直訳は「私に話しかける」だが、ここでは「深く心に響く・伝わってくる」を意味するイディオム。
あなたの軽やかな体が、心に語りかけてくる
I don’t know what you did, did to me
私には分からない、あなたが私に何をしたのか
Your body lightweight, speaks to me21speaks to me
[句動詞・イディオム]直訳は「私に話しかける」だが、ここでは「深く心に響く・伝わってくる」を意味するイディオム。
あなたの軽やかな体が、心に語りかけてくる
[Post-Chorus]
(‘Cane on it)
(’Cane on it)
(‘Cane on it)
(’Cane on it)
(‘Cane on it)
(’Cane on it)
[Outro]
Baby, you can
ベイビー、君ならできる
Ride22Ride
[動・俗語]「乗る」→ 流れや感覚に身を任せる、または官能的なニュアンスを持つスラング表現。 it, ooh, yeah
そのまま乗っていって、そう、ああ
(Molly, Molly)
(モリー、モリー)
And you be like23be like
[句・AAVE]「~のように振る舞う」→「こう言う」という意味のAAVE由来のスラング。
そして君はこう言うんだ
“Baby, who cares?”
「ベイビー、誰が気にするの?」
But I know you care
でも、君が気にしているのはわかってる
(Molly, Molly)
(モリー、モリー)
Writer(s): Tiffany McKie, Davido, KDDO, Chris Brown
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Under The Influence」はどんな曲ですか?
クリス・ブラウンが2022年6月にリリースしたアルバム『Breezy』の収録曲で、ムーディーなR&Bビートにのせた甘くロマンティックな歌詞が特徴です。リリース直後からTikTokで爆発的にバイラルし、全米ビルボード「Hot 100」で最高7位、全英シングルチャートでは1位を記録するなど世界的な大ヒットとなりました。Spotifyでは10億回を超えるストリーミング再生数を誇り、2020年代を代表するR&Bアンセムのひとつとして評価されています。
「on the beat」はどういう意味ですか?
直訳すると「ビートの上に」ですが、ヒップホップ・R&Bの文脈では、プロデューサーが自分の制作したトラックだと示すために名前を入れる定型の名乗りフレーズとして使われます。この曲の冒頭「K-K-Kido on the beat」も、プロデューサーのKidoが「このビートは俺が作った」と名乗りを上げているパートです。楽曲の作り手をリスナーに印象づける、いわば署名のような役割を果たす表現です。
「run it back」はどういう意味ですか?
もともとスポーツやゲームで「もう一度やり直す・リプレイする」という意味で使われてきた表現ですが、日常会話では「もう一回やろう」「繰り返そう」という気軽なニュアンスでも広く使われています。この歌詞では「この最高な瞬間をもう一度味わいたい」「あの感覚をもう一度繰り返したい」という切実な願いを表しており、クリスが相手との特別な時間に何度でも戻りたいと感じる心情がリアルに伝わってきます。音楽好きの間では「その曲をもう一回かけて」という意味でも日常的に使われるフレーズです。
「Robitussin」はどういう意味ですか?
ロビタシン(Robitussin)はアメリカで広く販売されている市販の咳止めシロップのブランド名です。ヒップホップ文化では、コデインを含む処方箋の咳止めシロップをソーダで割った「リーン(lean)」または「パープルドランク」と呼ばれる飲み物の象徴として歌詞に登場することが多く、酩酊感やトリップ感を暗示する言葉として定着しています。この曲のタイトル「Under The Influence(=影響下にある・酔っている)」とも見事に呼応しており、薬の陶酔感と恋愛のめくるめく感覚を重ね合わせた比喩的な表現として巧みに使われています。
関連リンク
Under The Influence – Chris Brown (Official Video)
他の曲も和訳しています。よろしければどうぞ!
【歌詞和訳】Obvious – Chris Brown
【歌詞和訳】Say Nothin’ – Chris Brown
【歌詞和訳】Something In The Water – Chris Brown
【歌詞和訳】Yeah 3x – Chris Brown
【歌詞和訳】Yo (Excuse Me Miss) – Chris Brown