今回の曲のタイトルは、「MUSCLE MARYS..」です。直訳すると、「筋肉マリーたち」です。
MNEKことウゾエチ・エメニケは、1994年ロンドン生まれのナイジェリア系イギリス人シンガー・ソングライター兼プロデューサー。ビヨンセやデュア・リパ、ザラ・ラーソンへの楽曲提供でも名を馳せる一方、2018年にソロデビューアルバム「Language」をリリース。「MUSCLE MARYS..」は2021年発表のシングルで、ダンスポップとR&Bを軸にしたアッパーなクラブサウンドが特徴。オープンリーゲイを公言するMNEKらしく、ゲイコミュニティの強さとプライドを高らかに祝うアンセムとなっており、UKのクラブ・クィアシーンを中心に大きな反響を呼んだ。
【直訳のポイント】タイトルの「Mary」は英国ゲイスラングで「ゲイの男性」を指す言葉。「Muscle Mary」は特に体を鍛えたゲイ男性を指す愛称的な表現で、日本語には置き換えにくいニュアンスを持つ。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
MUSCLE MARYS.. – MNEK
[Intro]
Uh, uh
ア、ア
Uh, uh
ア、ア
[Chorus]
Muscle Marys1Muscle Marys
[名・俗語]筋肉増強に執着したゲイ男性を指すスラング。「マッスル・メアリー」。 in my DMs
マッスルメアリーたちがDMに押し寄せてくる
It’s been very interesting
なかなか面白いことになってる
I see them out every weekend
週末になれば外でよく見かける
They been begging for attention
ずっと構ってもらおうと必死なんだから
I know I’m thicker2thicker
[形・俗語]「太い」→ 腰や太ももが豊満でセクシーな体型であることを指すスラング。 than them
私の方がグラマラスだってわかってる
But who cares? I’m richer than them
でも、どうでもいい、私の方がお金持ちだから
I know what I need in a man
男に何を求めるか、私にはわかってる
[Verse 1]
Oh, now I’m your type
ああ、今になって私があなたの好みなのね
I told you that I’m not around tonight
今夜は会えないって言ったでしょ
Size me up3size up
[句動詞]「大きさを測る」→ 相手を目で品定めする・値踏みするという意味のイディオム。 with your eyes
目で私を品定めする
But do you care for who I am inside?
でも、私の内面を気にかけてくれる?
If I’m working out or staying in
体を鍛えてても、家にいても
I need someone to love me through thick and thin4through thick and thin
[慣用句]「厚い所も薄い所も通り抜けて」→ 良い時も悪い時も変わらず、どんな状況でも、という意味の慣用表現。
どんな時でも愛してくれる人が必要なの
Want me for clout5clout
[名・俗語]本来「影響力・権力」を意味するが、SNS時代では「知名度・ステータス・名声」を指すスラング。, text when you’re twist6twist
[形・俗語]「twisted(酔っ払った)」の短縮形。酔っている状態を指すスラング。
名声目当てに私を求め、酔った時だけメッセージしてくる
You shoot your shot7shoot your shot
[句・俗語]スポーツの「シュートを打つ」から転じ、「(恋愛的に)アタックする・告白する」という意味のスラング。, but, I’m sorry, you missed
アタックしてきたけど、ごめん、外れよ
[Pre-Chorus]
You mastered the game, so you know the score8know the score
[句動詞・慣用句]「得点を知っている」→「物事の現実・状況を把握している」という意のイディオム。
あなたは恋のゲームを極めた、だから現実もわかってるはず
Loving you would only make me insecure
あなたを愛しても、ただ不安になるだけ
‘Cause, see, my body is mine, your body is yours
だってね、私の体は私のもの、あなたの体はあなたのもの
Not the only one who wants to feel adored for me
私を求めているのは、あなただけじゃない
Adored for me
ありのままの私として、愛されたい
You could be more to me
あなたにはもっと大切な存在になれるのに
But if you’re only skin deep9skin deep
[形容詞句・慣用句]「皮膚の深さしかない」→「上辺だけ・表面的」を意味するイディオム。”Beauty is only skin deep”(美しさは見た目だけ)という表現に由来。, leave me
でもあなたが上辺だけなら、去ってほしい
‘Cause I don’t need
私には必要ないから
[Chorus]
Muscle Marys10Muscle Marys
[名・俗語]ゲイコミュニティのスラングで、筋肉増強に執着したゲイ男性を指す。「Mary」は英語圏の一部でゲイ男性を指す俗称。 in my DMs
マッスルメアリーたちが私のDMに押し寄せてくる
It’s been very interesting
なかなか面白いことになってるわ
I see them out every weekend
毎週末、外で彼らを見かける
They been begging for attention
ずっと構ってほしくて必死だった
I know I’m thicker11thicker
[形・俗語]「太い」→ 腰・ヒップ・太ももが豊かでグラマーな体型を指すポジティブなスラング。 than them
私の方がグラマーなのはわかってる
But who cares? I’m richer than them
でも、どうでもいい。私の方がお金持ちだし
I know what I need in a man
男に何を求めるか、私にはわかってる
[Verse 2]
And it’s bigger than you
そして、それはあなたを超えた何かなの
You and the crew don’t get along (We do)
あなたとみんなは仲良くできない(でも、私たちはうまくやってる)
You stay12stay
[動・AAVE]動詞の前に置いて「ずっと〜し続ける/いつも〜している」という継続・習慣を表すAAVE表現。標準英語の “keep” に相当。 trying to find something wrong (Me too)
あなたはいつも何か欠点を探そうとする(私もそうなんだけど)
And I’m still shy when the lights are on ‘cause of
そして、照明がついているとやっぱり恥ずかしくなってしまう、だって
Everything I don’t want them to see
見られたくないものが全部あるから
Every bit of insecurity
あらゆる不安や自信のなさが
You’re straight out of Men’s Health13Men’s Health
[固有名詞・雑誌]アメリカ発の男性向けフィットネス・ライフスタイル誌。筋肉質で健康的な「理想の男性像」の象徴として用いられる。 magazine
あなたはまるで『メンズヘルス』誌から飛び出してきたみたい
What you want with me?
なぜ私を選ぶの?
I know it shouldn’t be a superficial thing
外見にこだわるべきじゃないってわかってる
But I still internalize14internalize
[動・心理]「内面化する」=外からの言葉や評価を自分の内側に取り込み、自己認識の一部にしてしまうこと。心理学用語。 these little things, as a baby I heard
でも、こんな些細なことをいつまでも心に抱え込んでしまう、赤ちゃんの頃に聞いた
Someone like you isn’t what I deserve
あなたみたいな人は、私にはもったいない
So this ain’t gonna work ‘cause
だからこれはうまくいかない、なぜなら
[Pre-Chorus]
You mastered the game15game
[名・俗語]恋愛における駆け引き・誘惑の技術を指すスラング。直訳の「ゲーム」ではなく「恋愛の術」の意。 (Game), so you know the score16score
[名・慣用]know the scoreで「物事の実態・真相を把握している」を意味するイディオム。 (Score)
あなたは恋愛ゲームをマスターしてる、だから何もかもお見通しね
Loving you would only make me insecure
あなたを愛しても、ただ不安になるだけ
‘Cause, see, my body is mine (Mine), your body is yours (Yours)
だって、私の体は私のもの、あなたの体はあなたのもの
Not the only one who wants to feel adored for me (Adored for me)
ありのままの自分を愛されたいのは、私だけじゃない
Adored for me (Adored for me)
ありのままの私として愛されたい
You could be more to me (Woah)
あなたはもっと大切な存在になれるのに
But if you’re only skin deep17skin deep
[形・慣用]「肌の深さまで」→ 外見だけで内面が伴わないことを示すイディオム(”Beauty is only skin deep”に由来)。 (Skin deep), leave me
でも表面だけなら、離れて
Just ignore me (Just ignore me)
ただ無視して
You could be more to me
あなたはもっと大切な存在になれるのに
But if you’re only skin deep, just leave me
でも表面だけなら、ただ離れて
‘Cause I don’t need
だって、必要ないから
[Chorus]
Muscle Marys18Muscle Marys
[名・俗語]LGBTQ+コミュニティで使われるスラング。筋肉増強に執着するゲイ男性を指す表現。 in my DMs
DMに筋肉マッチョたちが押し寄せてる
It’s been very interesting
なかなか興味深いわ
I see them out every weekend
毎週末、外で見かけるのよ
They be19They be
[文法・AAVE]African American Vernacular Englishの「習慣的be」。「いつも〜している」という反復・習慣的な状態を示す構文。 begging for attention
いつも構ってもらおうと必死なんだから
I know I’m thicker20thicker
[形・俗語]「太い」→ ふくよかでグラマーな体型を指すスラング。ここでは細マッチョな男たちと比べた自己言及。 than them
確かに私のほうがぽっちゃりしてるのはわかってる
But who cares? I’m richer than them
でも、どうでもいい。私のほうがずっとお金持ちだし
I know what I need in a man
自分が男に求めるものはちゃんとわかってるから
[Outro]
I’m getting
変わってきてる
Better with the skin21skin
[名・イディオム]”the skin I’m in” で「自分の体・素の自分」を意味する慣用表現。文字通りの「皮膚」ではなく、自己受容のニュアンスを持つ。 that I’m in
自分の体を受け入れられるように
Ever since I went to the gym
ジムに通い始めてから
But sometimes in the mirror
でも時々、鏡の前では
I still see who I was back then
あの頃の自分の姿がまだ見えてしまう
Pinching all my handles22handles
[名・俗語]”love handles” の略。腰や脇腹についた余分な脂肪のこと。 again
またあの脇腹をつまんでしまう
I know they’re doing the same thing
みんなも同じことをしているとわかってる
Maybe I’m no different than them
もしかしたら私も彼らと変わらないのかもしれない
Writer(s): MNEK, KABBA, Rationale, Tré Jean-Marie
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「MUSCLE MARYS..」はどんな曲ですか?
「MUSCLE MARYS..」は、イギリス出身のシンガー・ソングライター兼プロデューサーのMNEK(ムネク)が2023年にリリースした、クィアカルチャーとボディポジティビティを祝うダンスポップトラックです。オープンリーゲイのアーティストとして知られるMNEKが、ゲイコミュニティのジム文化やアイデンティティへの誇りを高らかに歌い上げた作品で、Spotifyなどのストリーミングプラットフォームでクィア系プレイリストを中心に広くシェアされました。カラフルでエネルギッシュなサウンドは、リスナーから「夏のアンセム」として親しまれています。
「Muscle Marys」はどういう意味ですか?
「Muscle Marys」は、英語圏のゲイスラングで「筋肉ムキムキのゲイ男性」を指す愛称です。「Mary」という名前は、英語圏のゲイコミュニティで長年にわたり仲間同士を指す親しみやすい呼び方として使われてきました(「Bloody Mary」のような語感で、茶目っ気を込めたニュアンスがあります)。つまり「Muscle Marys」とは、ゲイのコミュニティの中でもとりわけジム通いでがっちりした体型を誇る人たちのことで、この曲はそんな彼らをユーモラスかつ誇らしげに称えています。
「thicker」はどういう意味ですか?
「thick」は英語の日常会話では「厚い・太い」という意味ですが、ここでは「肉付きが良い、がっしりとした体型」を指すボディポジティブな褒め言葉として使われています。特に英語圏のポップカルチャーやR&B・ヒップホップの文脈では、「thick」は細さではなくボリュームのある体を魅力的に表現する言葉として定着しており、この曲でもゲイコミュニティのジム文化における「大きくて逞しい体」への憧れと肯定を表しています。「thicker」はその比較級で、「もっとたくましく」というニュアンスです。
「size up」はどういう意味ですか?
「size up」には大きく二つの意味があります。ひとつは「(人や状況を)値踏みする・じっくり観察する」という意味で、たとえばバーやクラブで気になる相手をチラッと見定めるような場面を指します。もうひとつはそのまま「サイズを大きくする」という意味で、ジムで体を鍛えてより大きな体を目指すというニュアンスにもなります。この曲の文脈では、両方の意味が絶妙に掛け合わさっており、ゲイコミュニティのジム文化と恋愛・出会いの雰囲気を同時に描き出しています。日本語に訳す際は「品定めする」や「ゲットする」といった表現が近いでしょう。
関連リンク
MUSCLE MARYS.. – MNEK (Official Video)
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