今回の曲のタイトルは、「Roses (Imanbek Remix)」です。直訳すると、「バラ (イマンベク・リミックス)」です。
SAINt JHN(本名:Carlos St. John)はニューヨーク・ブルックリン出身のラッパー・シンガーソングライターで、ガイアナ系のルーツを持ちます。「Roses」は2016年に発表され、2017年のデビューアルバム『Collection One』に収録されました。カザフスタン出身の若きDJ・プロデューサー、Imanbek Zeikenov(リリース当時19歳)によるリミックスは2019年に公開され、TikTokでの爆発的な拡散を経て2020年に世界的大ヒットを記録。米ビルボードHot 100では最高4位を獲得し、UKをはじめヨーロッパ各国のチャートでも上位にランクインしました。ジャンルはヒップホップ・R&Bをベースとしており、リミックスではエレクトロニック・ダンスミュージックの要素が加わり、愛情と喪失、関係性の複雑さをよりクラブ的なサウンドで包んだ仕上がりになっています。
【直訳のポイント】タイトルの”Roses”は「バラ」と直訳できますが、この曲では愛情の証や対価、贅沢さといったニュアンスも込められており、歌詞全体を通じてその象徴的な意味合いを意識しながら訳しました。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Roses (Imanbek Remix) – SAINt JHN
[Chorus]
Turn up1Turn up
[動・俗語]「音量を上げる」→「テンションを上げる・盛り上がる」を意味するAAVEスラング。 baby, turn up, when I turn it on
ベイビー、盛り上がれ、私がスイッチを入れたら
You know how I get too lit2lit
[形・俗語]「火がついた」→「テンションMAXになる・完全に燃え上がる」を意味するスラング。 when I turn it on
スイッチが入ったら私がどうなるか知ってるでしょ
Can’t handle my behavior when I turn it on
スイッチが入ったら私の振る舞いには手が負えない
Too fast, never ask, if the life don’t last
速すぎて聞く間もない、どうせ命は短いから
Done been3Done been
[助動・AAVE]完了相を強調するAAVEの用法。「すでにずっと〜してきた」という経験の積み重ねを表す。 through it all
もう全部経験してきた
Fuck with4Fuck with
[句動詞・俗語]「〜と関わる・付き合う」を意味するAAVEの表現。 a nigga raw5raw
[形・俗語]「生の・飾りなし」→「本気で・丸ごと・すべてさらけ出して」というニュアンス。, this who you wanna
こいつと本気で関われ、お前が求めてるのはこれだろ
And I know you won’t tell nobody nothin’
お前が誰にも何も言わないってわかってる
And I know you won’t tell nobody no
誰にも何も言わないってわかってる
[Bridge]
I might pull up6pull up
[句動詞・俗語]「引き上げる」→「その場に現れる・到着する」という意味のスラング。 flexin’7flexin’
[動・俗語]「筋肉を曲げる」→ 富や実力を見せびらかすことを示すAAVEスラング。 on these niggas like aerobics
有酸素運動みたいに、こいつらの前に現れてキメまくるかもな
I might tell her, “Girl, you cute but ballin’8ballin’
[動・俗語]「ボールを扱う」→ 高級な生活を送り、金遣いが派手であることを示すスラング。,” that shit gorgeous
「ねえ、可愛いしリッチじゃん」って言うかも、それが最高だ
Standin’ on the table, Rosé9Rosé
[名・固有]フランス語由来のロゼワイン。ここでは豪遊・パーティーの象徴として使われている。, Rosé, fuck the waters
テーブルの上に立って、ロゼ、ロゼ、水なんてくそくらえ
You know who the God is
神が誰なのか、お前らには分かってるだろ
[Chorus]
Turn up10Turn up
[動・俗語/AAVE]「盛り上がる・テンションを上げる・はじける」を意味するAAVEスラング。 baby, turn up, when I turn it on
ベイビー、盛り上がれ、私がスイッチを入れたら
You know how I get too lit11lit
[形・俗語]「灯された」→「テンション最高潮・酔っている・完全にイっちゃってる」状態を指す現代スラング。 when I turn it on
私がスイッチを入れたら、どれだけぶち上がるか知ってるでしょ
Can’t handle my behavior when I turn it on
私がスイッチを入れたら、誰にも手に負えなくなる
Too fast, never ask, if the life don’t last
突っ走れ、何も聞くな、どうせ人生は長くない
Done been12Done been
[AAVE構文]「done+過去分詞」の形で「すでに〜し尽くした」という完了・強調を表すAAVEの文法。 through it all
もう何もかも経験済み
Fuck with13Fuck with
[句動詞・俗語]「〜と関わる・付き合う・本気で向き合う」を意味するAAVEスラング。 a nigga raw14raw
[形・俗語]「生の・剥き出しの」→ここでは「飾りなし・ありのままで」の意。, this who you wanna
俺と素のままで向き合え、これがあんたの求めてた相手だろ
[Refrain]
Roses
ローズ
I walked in the corner with the body screamin’ dolo15dolo
[副・AAVE俗語]「solo(一人で)」を意味するAAVEスラング。一人きりであることを強調する表現。
一人でその角に立ち、存在感だけが叫んでいた
Never sold a bag16bag
[名・俗語]ドラッグの小分け袋を指す俗語。「sell a bag」=麻薬を売る、の意。 but look like Pablo17Pablo
[固有名詞]コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルのこと。権力・富・危険の象徴として用いられる。 in a photo
ドラッグなんて売ったことないのに、写真じゃパブロみたいに見える
This gon’ make ‘em feel the way like Tony killed Manolo18Tony killed Manolo
[固有名詞・映画]1983年の映画『スカーフェイス』の場面への言及。主人公トニー・モンタナが親友マノロを射殺するという衝撃の裏切りの瞬間。
これは、トニーがマノロを殺した時のような気持ちにさせるだろう
You already know though, you already know though
もうわかってるだろ、もうわかってるだろ
I walk in the corner with the money, on my finger
金を持ってその角に立つ、指には指輪をはめて
She might get it poppin’19get it poppin’
[句動詞・AAVE]「場を盛り上げる」「(性的に)動き出す」の意のAAVEスラング。, I might wife her20wife her
[動・俗語]「wife」を動詞として使う俗語。「彼女を自分の女として囲う/正式な関係にする」の意。 for the winter
彼女が盛り上げてくれるなら、この冬だけ俺の女にするかもしれない
I already know, already know, nigga roses
もう知ってる、知ってる、ローズだ
All I need is roses
俺に必要なのはローズだけ
[Chorus]
Turn up21Turn up
[動・俗語]「音量を上げる」→ パーティーする・テンションを限界まで高めることを指すAAVEスラング。 baby, turn up, when I turn it on22turn it on
[句動詞・俗語]「スイッチを入れる」→ 自分の魅力や本気を全開にする、相手を興奮させることを指す。
ベイビー、盛り上がれ、私が本気を出したら
You know how I get too lit23lit
[形・俗語]「火がついた」→ 酔いが回る・テンションが爆上がりする状態を指すAAVEスラング。 when I turn it on
私が本気を出したら、どれだけ弾けるか知ってるでしょ
Can’t handle my behavior when I turn it on
私が本気を出したら、誰も私の振る舞いに手が負えない
Too fast, never ask, if the life don’t last
速すぎて聞く暇もない、人生が続かないとしても
Done been24Done been
[AAVE・完了形]「done + 過去分詞」はAAVEの完了アスペクトマーカー。「すでにずっと〜してきた」という経験の重みを強調する用法。 through it all
あらゆることをくぐり抜けてきた
Fuck with25Fuck with
[句動詞・俗語]「〜と関わる」→ ここでは「〜と性的関係を持つ」の意で使われるAAVEスラング。 a nigga raw26raw
[形・俗語]「生の・素の」→ ここでは避妊具なしで、の意味。, this who you wanna
生で抱かれる、それがあなたの望みでしょ
And I know you won’t tell nobody nothin’
誰にも何も言わないってわかってる
And I know you won’t tell nobody no
誰にもノーとは言えないってわかってる
[Bridge]
Roses
ローズ
I might pull up27pull up
[句動詞・俗語]「引き上げる」→「(車で)現れる・乗りつける」に転じたAAVEスラング。 flexin’28flexin’
[動・俗語]「筋肉を見せる」→「自慢する・見せびらかす」に転じたAAVEスラング。 on these niggas like aerobics
エアロビクスみたいに、こいつらの前に現れてキメてやるかもな
I might tell her, “Girl, you cute but ballin’29ballin’
[形・俗語]「ボールを扱う」→「金持ちで派手に生きている」に転じたAAVEスラング。,” that shit gorgeous
「ねえ、可愛いし金持ちじゃん」って言うかもな、マジ最高
Standin’ on the table, Rosé, Rosé, fuck the waters
テーブルの上に立って、ロゼ、ロゼ、水なんかいらねえ
You know who the God is
俺が神だってわかるだろ
[Chorus]
Turn up30Turn up
[句動・俗語]「音量を上げる」→ テンションを上げる・大いに盛り上がることを指すAAVEスラング。 baby, turn up, when I turn it on
盛り上がろう、ベイビー、私がスイッチを入れたら
You know how I get too lit31lit
[形・俗語]「火がついた」→ 大いに盛り上がった・ハイになった状態を指すスラング。 when I turn it on
私がスイッチを入れたとき、どれだけ弾けるか知ってるでしょ
Can’t handle my behavior when I turn it on
私が本気になったら、その振る舞いについていけないでしょ
Too fast, never ask, if the life don’t last
速すぎて、何も聞かずに、命が続かなくても
Done been32Done been
[句・AAVE]「done」はAAVEにおける完了相マーカー。「done been through it all」=「すでにあらゆることを経験してきた」という完了・経験を強調する構文。 through it all
あらゆることを経験してきた
Fuck with33Fuck with
[句動・俗語]「〜と関わる」「〜とセックスする」を意味するAAVEスラング。ここでは性的な意味合いが強い。 a nigga34nigga
[名・AAVE]AAVEで「男」「俺」を指す語。ここでは話者自身を指す自称的な用法。 raw35raw
[形・俗語]「生の」→ コンドームなしで性行為をすることを意味するスラング。, this who you wanna
俺と生でやる、それがあなたの望みでしょ
Writer(s): f a l l e n, SAINt JHN
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Roses (Imanbek Remix)」はどんな曲ですか?
「Roses」はニューヨーク出身のラッパー・SAINt JHNが2016年にリリースした楽曲で、失恋と未練を赤裸々に描いた作品です。2019年にカザフスタン出身の若手DJ・Imanbekがリミックスを手がけると、2020年にTikTokで爆発的に拡散し、Billboard Hot 100で最高4位を記録するなど世界的な大ヒットとなりました。このリミックスはImanbekに第63回グラミー賞「最優秀リミックス・レコーディング賞」をもたらし、無名の新人プロデューサーがSNSの力で一夜にしてスターとなった象徴的な出来事として音楽史に刻まれています。
「”Turn up”はどういう意味ですか?」
「Turn up」はもともと音量を「上げる」という意味ですが、スラングとしては「パーティーや場の雰囲気を最高潮に盛り上げる」「思いっきりはしゃぐ・騒ぐ」というニュアンスで使われます。日本語に訳すなら「大盛り上がりする」「テンションを爆上げする」がいちばん近い感覚です。この曲の文脈では、悲しみを忘れるために夜の街で無我夢中に楽しもうとする主人公の心情が込められており、ただ騒ぐだけでなく、感情のはけ口としての「Turn up」という側面も読み取れます。
「”lit”はどういう意味ですか?」
「lit」は現代のヒップホップ・スラングの中でも特に広く使われる表現のひとつで、「最高にクールな」「めちゃくちゃ盛り上がっている」「最高な状態」を意味します。「This party is lit!(このパーティー、最高に熱い!)」のように使われ、日本語の「エモい」や「神ってる」に近いニュアンスとも言えるでしょう。また、文脈によっては「お酒やドラッグで酔った状態」を指すこともあり、この曲のように夜遊びの場面では両方の意味が重なって使われている可能性もあります。
「”Done been”はどういう意味ですか?」
「Done been」はAfrican American Vernacular English(AAVE)と呼ばれるアフリカ系アメリカ人の英語表現に特有の構文で、「done」を過去完了の強調として動詞の前に置くことで「もうずっと〜してきた」「すでに〜し終えた」というニュアンスを加えます。標準英語の「have already been」に相当しますが、それよりもずっと強い確信や経験の重みが感じられます。SAINt JHNのような東海岸のラッパーがこうした表現を使うのは、自分のルーツや文化的アイデンティティを歌詞に織り込む大切な表現手段のひとつであり、翻訳の際には単なる過去形に収めず、そのニュアンスを意識して読むと歌詞がより深く楽しめます。
関連リンク
Roses (Imanbek Remix) – SAINt JHN (Official Video)
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