今回の曲のタイトルは、「Before You Go」です。直訳すると、「あなたが去る前に」です。
Lewis Capaldi(ルイス・キャパルディ)は、スコットランド・バースゲイト出身のシンガーソングライターです。「Before You Go」は2019年11月にリリースされたシングルで、2020年発売のデビューアルバム「Divinely Uninspired to a Hellish Extent」拡張版にも収録されました。英国シングルチャートでは1位を獲得し、アイルランドやオーストラリアをはじめ多くの国でもトップチャート入りを果たしました。ポップ/ソウルに根ざしたサウンドに乗せて、自ら命を絶った叔母への深い悲しみと、遺された者が感じる後悔・罪悪感が切々と歌われています。
【直訳のポイント】タイトルの”go”は「行く・去る」を意味する一般的な動詞ですが、この曲の文脈では「命を絶つ・この世を去る」という意味合いも帯びています。そのニュアンスを踏まえ、タイトルを「行ってしまう前に」と訳しました。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Before You Go – Lewis Capaldi
[Verse 1]
I fell by the wayside1fell by the wayside
[句動詞・慣用句]直訳「道端に倒れる」→ 途中で挫折する・脱落して忘れ去られる、を意味するイディオム。fell は fall の不規則過去形。 like everyone else
みんなと同じように、私も道の途中で消えていった
I hate you, I hate you, I hate you, but I was just kidding myself2kidding myself
[動・俗語]kid は「だます・欺く」の意。kidding myself で「自分自身を欺いていた・思い込んでいた」を意味するイディオム。
大嫌い、大嫌い、大嫌いって——でも、ただ自分に嘘をついていただけ
Our every moment, I start to replace
ふたりのすべての瞬間を、塗り替え始めていく
‘Cause now that they’re gone, all I hear are the words that I needed to say
あの日々が消えた今、聞こえてくるのは言えずにいた言葉だけ
[Pre-Chorus]
When you hurt under the surface3under the surface
[句・慣用]「表面の下で」→ 外からは見えない心の奥底・内面で、を意味する慣用的表現。
心の奥底で傷ついているとき
Like troubled water running cold
冷たく流れる荒れた水のように
Well, time can heal, but this won’t
時間が癒してくれることもあるけれど、これは癒えない
[Chorus]
So before you go
だから、行ってしまう前に
Was there something I coulda4coulda
[助動詞・口語]”could have” の縮約形。「〜できたのだろうか」という過去の後悔・反実仮想を表す。 said to make your heart beat better?
あなたの心を楽にしてあげられる言葉が、何か言えたのだろうか?
If only I’da5I’da
[口語]”I had” の縮約形。仮定法過去完了で「もし〜していたならば」という後悔・反実仮想を表す。 known you had a storm to weather6weather
[動詞]名詞「天候」から転じて「(困難・試練を)乗り越える・耐え抜く」を意味する動詞。
あなたが嵐を乗り越えようとしていたと、気づけていたなら
Was there something I coulda said to make it all stop hurting?
その痛みをすべて止められる言葉が、何か言えたのだろうか?
It kills me7kills me
[慣用句]「殺す」ではなく「深く傷つける・どうしようもなく辛い」という強い感情的苦痛を表すイディオム。 how your mind can make you feel so worthless
あなた自身の心が、あなたをそれほど無価値に感じさせてしまうことが、どうしようもなく辛い
So before you go
だから、行ってしまう前に
[Verse 2]
Was never the right time whenever you called
あなたが電話してくるたびに、ちょうどいい時なんてなかった
Went little by little by little until there was nothing at all
少しずつ、少しずつ、少しずつ削れていって、気づけば何もかもなくなっていた
Our every moment, I start to replay
ふたりのすべての瞬間を、頭の中で再生し始める
But all I can think about is seeing that look8look
[名・口語]「見ること」ではなく「(顔に浮かんだ)表情・眼差し」を指す名詞用法。”that look on your face” = 「あなたのあの表情」。 on your face
でもどうしても頭に浮かぶのは、あの時のあなたの顔の表情だけ
[Pre-Chorus]
When you hurt under the surface9under the surface
[句・慣用句]「表面の下で」→ 外見には現れない、心の奥底に秘めた苦しみを指す慣用表現。
表面の下で痛みを抱えているとき
Like troubled water10troubled water
[句・慣用]「荒れた水」→「troubled」は「かき乱された・不穏な」の意。感情的な苦しみや混乱を象徴する慣用的表現。 running cold
冷たく流れる荒れた水のように
Well, time can heal, but this won’t
時が癒してくれることもあるけれど、これはそうはいかない
[Chorus]
So before you go
行ってしまう前に
Was there something I coulda11coulda
[口語]”could have”(〜できたはずなのに)の短縮形。後悔や反実仮想を表すモーダル表現。 said to make your heart beat better?
あなたの心を癒すために、私に言えることが何かあっただろうか?
If only I’da12I’da
[口語]”I had”または”I would have”の二重短縮形。「知っていたなら」という後悔・反実仮想を表す。 known you had a storm to weather13weather
[動詞]名詞「天候」とは別に、「(困難や嵐を)耐え抜く・乗り越える」を意味する動詞用法。
あなたが嵐を乗り越えなければならなかったと知っていたなら
So before you go
行ってしまう前に
Was there something I coulda said to make it all stop hurting?
この痛みをすべて止めるために、私に言えることが何かあっただろうか?
It kills14kills me
[イディオム]文字通り「殺す」ではなく、「深く心が痛む・やるせない」という強い感情的苦痛を表す慣用表現。 me how your mind can make you feel so worthless
あなたの心があなた自身を無価値だと感じさせてしまうことが、私には辛くてたまらない
So before you go
行ってしまう前に
[Bridge]
Would we be better off15better off
[形・イディオム]「より良い状況にある・うまくいっている」を意味する慣用表現。 by now
今頃ふたりは、もっとうまくいっていたのかな
If I’da16I’da
[口語]「I would have」の短縮形。仮定法過去完了「もし〜していたなら」の意。 let my walls17walls
[名・比喩]「壁」→ 感情を閉ざすための心理的な防衛線を指す比喩表現。「walls come down」で「心の壁が崩れる=心を開く」の意。 come down?
もし私が心の壁を崩していたなら?
Maybe, I guess we’ll never know
たぶん、きっと永遠にわからないままなんだろうね
You know, you know
わかるでしょ、わかるよね
[Chorus]
Before you go
行ってしまう前に
Was there something I coulda18coulda
[助動・口語]”could have”の縮約形。「〜できたのに(できなかった)」という後悔を含む反実仮想表現。 said to make your heart beat better?
あなたの心を楽にできる言葉が、何か言えたのだろうか?
If only I’da19I’da
[口語・縮約形]”I would have”または”I had”の縮約形。「もし〜だったなら」という仮定法過去完了の話し言葉表現。 known you had a storm to weather20weather
[動]名詞「天気」とは別に、「(困難・嵐を)耐え抜く・乗り越える」を意味する動詞用法。
あなたが嵐を乗り越えなければならないと、知っていたなら
So before you go
だから、行ってしまう前に
Was there something I coulda said to make it all stop hurting?
この痛みをすべて止める言葉が、何か言えたのだろうか?
It kills me21kills me
[イディオム]「殺す」ではなく「胸が張り裂けるほど辛い・たまらない」を意味する口語表現。 how your mind can make you feel so worthless
あなた自身の心があなたを無価値に感じさせることが、たまらなく辛い
So before you go
だから、行ってしまう前に
Writer(s): Plested, Tom Barnes, Ben Kohn, Pete Kelleher, Lewis Capaldi
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Before You Go」はどんな曲ですか?
「Before You Go」は、スコットランド出身のシンガーソングライター、ルイス・カパルディが2019年10月にリリースした楽曲で、デビューアルバム『Divinely Uninspired to a Hellish Extent』拡張版に収録されています。自ら命を絶った叔母への深い後悔と愛情を綴った曲で、「もっと気づいてあげられたのではないか」という遺された者の心情が切々と歌われています。全英シングルチャートで1位を獲得し、Spotifyでは20億回を超える再生回数を誇るなど、世界中で長く愛され続けている一曲です。
「fell by the wayside」はどういう意味ですか?
直訳すると「道端に倒れた」ですが、英語ではもともと聖書に由来する慣用表現で、「途中でうまくいかなくなった」「気づかないうちに失われてしまった」というニュアンスで使われます。この曲の文脈では、大切な人との絆や会話の機会が、忙しい日常の中でいつの間にかこぼれ落ちていってしまった様子を表しています。「大事にしていたつもりなのに、いつの間にかおろそかになっていた」という苦い気持ちが凝縮されたフレーズです。
「kidding myself」はどういう意味ですか?
「kid」には「からかう・騙す」という動詞の使い方があり、「kidding myself」は「自分自身を欺く」「都合のいい思い込みをする」という意味になります。要するに、「本当はうまくいっていないのに、大丈夫だと言い聞かせていた」という自己批判の表現です。この曲では、相手のSOSに気づきながらも見て見ぬふりをしていた、あるいは気づいていなかった自分への後悔として使われており、聴く人の胸に刺さるフレーズのひとつです。
「under the surface」はどういう意味ですか?
文字通りには「表面の下」ですが、転じて「外からは見えないところで」「心の奥底に」という意味で使われます。笑顔でいる人でも、その内側では誰にも言えない苦しみを抱えているかもしれない——この曲ではそういった、見えない痛みへの気づきと後悔を表すキーフレーズとして機能しています。近年、メンタルヘルスについて語る場面でもよく使われる表現で、「表に出さないだけで、実は限界だった」という状態を指すのにぴったりの言葉です。
関連リンク
Before You Go – Lewis Capaldi (Official Video)
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