今回の曲のタイトルは、「Rover」です。直訳すると、「さすらう者」です。
S1mbaはイギリス・ロンドン南部クロイドン出身のラッパー。「Rover」はDTGをフィーチャーした楽曲で、2020年にリリースされるやTikTokをきっかけに爆発的な人気を獲得しました。UKシングルチャートで最高3位を記録し、英国でマルチプラチナ認定を受けた彼の代表曲です。アフロスウィングとUKラップを融合させたサウンドに乗せ、高級SUVのレンジローバーを富と成功の象徴として歌い上げるライフスタイル・アンセムとなっています。
【直訳のポイント】「Rover」は英語で本来「さすらう者・放浪者」を意味する単語ですが、この曲ではイギリスの高級SUV「レンジローバー」を指すスラングとして使われており、富や成功を象徴するキーワードとなっています。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Rover – S1mba
[Intro: S1mba]
Shorty1Shorty
[名・AAVE俗語]「小柄な子」が転じて「女の子・彼女」を指すAAVEスラング。 said she coming with her bredrins2bredrins
[名・スラング]ジャマイカ英語由来の「brothers」の変形。気の置けない仲間・つるむ友人たちを指す。
彼女は仲間を連れてくると言った
‘Cause she saw a young nigga pull up3pull up
[句動詞・AAVE]「車を引き寄せる」→「かっこよく乗り付ける・登場する」を意味するAAVEスラング。 in a Rover4Rover
[固有名詞]「レンジローバー(Range Rover)」のこと。英国製の高級SUVで、富や地位の象徴として頻繁に登場する。
俺がローバーで颯爽と乗り付けるのを見たから
Now she say she wanna come over, yeah
今度は家に来たいって言ってる
But I don’t want no love
でも俺は愛なんていらない
I just wanna make the mu-la-la5mu-la-la
[名・造語]「mula/moola(金・カネ)」のスラングをリズミカルに変形した造語。「お金を稼ぐ」の意。後述の「ooh-la-la」との韻も意図している。, yeah
ただ金を稼ぎたいだけさ
The mu-la-la
その金を
I just wanna make the mu-la-la
ただ金を稼ぎたいだけさ
Got ‘em all screaming ooh-la-la6ooh-la-la
[間投詞・仏語由来]フランス語の感嘆詞で、驚き・興奮・称賛を表す。ここでは「mu-la-la」と韻を踏みつつ、周囲を熱狂させている様子を描写。, yeah
みんなをウーラーラと叫ばせている
[Chorus: S1mba]
Shorty7Shorty
[名・俗語]若い女性・彼女を指すスラング。 said she coming with her bredrins8bredrins
[名・俗語]英国カリブ系スラングで「仲間・友達」の意。brothersが訛った語。
ショーティが仲間たちを連れて来るって言ってた
‘Cause she saw a young nigga pull up9pull up
[句動詞]「引っ張り上げる」→「車で乗りつける・颯爽と到着する」を意味するスラング。 in a Rover
若い男がローバーで乗りつけるのを見たから
Now she say she wanna come over, yeah
今は俺んとこに来たいって言ってる
But I don’t want no love
でも俺は愛なんていらない
I just wanna make the mu-la-la10mu-la-la
[名・俗語]「mula(金・カネ)」をフランス語風のリズムに崩した造語スラング。, yeah
ただ金を稼ぎたいだけ
The mu-la-la
その金を
I just wanna make the mu-la-la
ただ金を稼ぎたいだけ
Got ‘em all screaming ooh-la-la11ooh-la-la
[感・仏語由来]フランス語起源の感嘆詞。英語圏では驚き・興奮・称賛を表す際に使われる。前行の「mu-la-la」と韻を踏む。, yeah
みんなに「ウーラーラ」と叫ばせた
[Verse 1: S1mba]
I don’t want no love
愛なんていらない
You know me, I only think about funds
わかるだろ、俺が考えるのは金のことだけ
Me, I’m tryna do my own ting12ting
[名・俗語]「thing」のイギリス・カリビアン系英語における発音・スペル。「自分のやり方・スタイル」を指す。 on my ones13on my ones
[句・俗語]イギリスのストリートスラングで「一人で・独力で」の意(= on my own)。
俺は一人で、自分のやり方でやっていく
I’m sorry darling, I don’t want no hugs, yeah, yeah, yeah
ごめんね、ハグだっていらない、yeah yeah yeah
Had a couple gyally14gyally
[名・俗語]ジャマイカ系英語(パトワ)由来。「女の子・女性」を指す。イギリスのストリートスラングでも広く使われる。 try to hold me down
何人かの女が俺を縛り付けようとした
But they ain’t my queen, they can’t take my crown
でも彼女たちは俺の女王じゃない、俺の王冠は奪えない
They tried to claim me like lost and found15lost and found
[名]遺失物取扱所のこと。落とし物センターで持ち主が自分の物として申請・引き取る行為に俺を例えた比喩表現。
まるで落とし物センターの忘れ物みたいに、俺を自分のものにしようとした
But I only got love for the P’s16P’s
[名・俗語]「pence(ペンス)」の略。「pounds(ポンド)」と並べてイギリスの通貨単位全般、転じて「お金」を指すスラング。 and the pounds, yeah, yeah, yeah
でも俺が愛しているのは金だけ、yeah yeah yeah
I love being paid
金を稼ぐのが大好きだ
I don’t want you, no, I don’t want bae17bae
[名・俗語]現代英語スラングで「恋人・大切な相手」を指す。”Before Anyone Else” の略とも言われる。
お前もいらない、恋人だっていらない
Tryna18Tryna
[口語]”Trying to”の短縮形。 get my funds19funds
[名・俗語]「資金・金銭」。ここでは稼ぎや蓄えを指す。 up20up
[句動詞]”get ~ up”で「〜を増やす・上げる」の意。 in numerous ways
あらゆる手で金を増やそうとしてる
Couldn’t give a damn21couldn’t give a damn
[イディオム]「まったく気にしない・どうでもいい」という強い無関心を表す慣用句。 what a nigga22nigga
[名・AAVE]”nigger”から派生したAAVEの語。ここでは特定の人物・やつらを指す一人称的用法。 gotta say
誰が何を言おうと、まったく知ったこっちゃない
[Pre-Chorus: S1mba]
I don’t need your loving
あなたの愛なんて要らない
So don’t tell me nothing
だから何も言わないで
Oh, you think I’m bluffing23bluffing
[動・ギャンブル用語]カードゲームで弱い手を強く見せかける「はったり」が語源→「本気でないふりをしている・嘘をついている」こと。
あら、私がはったりをかましてると思ってるの?
When I say no cuffing24cuffing
[動・俗語]「手錠をかける」→ 特定の相手と排他的な関係に縛られること。秋冬に恋人を求める「cuffing season」から派生したAAVEスラング。
束縛はいらないって言ったとき
[Chorus: S1mba]
Shorty25Shorty
[名・AAVE]気になる若い女性を指すAAVEスラング。 said she coming with her bredrins26bredrins
[名・俗語]ジャマイカ系英語由来の「brethren(兄弟)」の変形。友人・仲間を指す。
彼女は仲間を連れてくると言った
‘Cause she saw a young nigga27nigga
[名・AAVE]「仲間・やつ」を意味する自己言及的なAAVEスラング。ここでは話者自身を指す。 pull up28pull up
[句動詞・俗語]「車で乗り付ける・到着する」を意味するスラング。 in a Rover29Rover
[固有名詞]「Range Rover」の略称。英国の高級SUVブランド。
若いやつがローバーで乗り付けるのを見たから
Now she say she wanna come over, yeah
今は俺のところに来たいと言っている
But I don’t want no love
でも俺に愛はいらない
I just wanna make the mu-la-la30mu-la-la
[造語・俗語]「moolah(金銭)」と感嘆詞「ooh-la-la」を掛け合わせた造語。金を稼ぐことを指す。, yeah
ただ金を稼ぎたいだけ
The mu-la-la
その金のために
I just wanna make the mu-la-la
ただ金を稼ぎたいだけ
Got ‘em all screaming ooh-la-la, yeah
みんなをウーラーラと叫ばせている
[Verse 2: DTG]
Yeah, yeah, yeah
ああ、ああ、ああ
I ain’t got time for a honey31honey
[名・俗語]本来「蜂蜜」だが、ここでは恋人・彼女を指すスラング。 (No time)
恋人に構う時間なんてない(時間なし)
But I got time for this money (Yeah)
でも金を稼ぐ時間はある(ああ)
Check the bright side32bright side
[名・イディオム]「物事の明るい・良い側面」を指すイディオム。look on the bright side(良い面を見る)という表現に由来。, man, it’s sunny
明るい面を見ろよ、晴れてるじゃないか
I ain’t being funny33ain’t being funny
[句・口語]「冗談を言っているわけじゃない」=「本気でそう思っている」という意味の慣用句。, I ain’t into the love and I’m sorry, yeah
冗談じゃない、恋愛には興味ない、悪いけどな
Because I’ve done this all before, yeah, yeah, yeah (I’ve done it all)
だって全部もう経験済みだから、ああ(全部やってきた)
Because I’ve done this all before, yeah
だって全部もう経験済みだから、ああ
You might catch me in a four by four34four by four
[名]四輪駆動車(4WD/SUV)のこと。英語では「4×4」と表記し “four by four” と読む。, that’s a clover (Yeah)
四駆に乗ってる俺を見かけるかもな、四つ葉のクローバーみたいなもんさ(ああ)
You might catch me in a Rover35Rover
[固有名]「ランドローバー(Land Rover)」の略称。英国の高級SUVブランド。, yeah
ランドローバーに乗ってる俺を見かけるかもな
Or you might catch me on my Motorola
あるいはモトローラで電話してるとこをな
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah
yeah、yeah、yeah、yeah、yeah
[Pre-Chorus: S1mba]
I don’t need your loving
あなたの愛なんていらない
So don’t tell me nothing36nothing
[二重否定・AAVE]「don’t … nothing」の二重否定構文。標準英語では「anything」となるが、AAVEでは強意の否定として用いられ「何も言うな」の意。
だから何も言わないで
Oh, you think I’m bluffing37bluffing
[動・ポーカー由来]「強い手札があるふりをして相手を騙す」こと。転じて「はったりをかける・本気じゃないふりをする」の意。
私がはったりだと思ってるでしょ
When I say no cuffing38cuffing
[名・現代スラング]「手錠(cuff)をかける」から転じ、特定の相手と付き合い縛られること。「no cuffing」で恋愛的な束縛を望まないという意。
縛られたくないと言っても
[Chorus: S1mba & DTG]
Shorty39Shorty
[名・俗語]「小柄な子」→ 魅力的な女の子・彼女を指すスラング。 said she coming with her bredrins40bredrins
[名・英カリブ海俗語]「brothers(兄弟)」が訛った語。仲間・友人グループを指す。
ショーティは仲間たちを連れてくると言った
‘Cause she saw a young nigga41nigga
[名・AAVE]ここでは話者自身を指す「若い男」の意。AAVEで仲間内の自称・他称に用いる。 pull up42pull up
[句動詞・俗語]「車で乗り付ける・颯爽と現れる」を意味するスラング。 in a Rover43Rover
[固・ブランド]「Range Rover」の略称。英国製高級SUVで、富と地位の象徴として頻出。 (In a Rover)
若い男がローバーで乗り付けるのを見たから
Now she say she wanna come over, yeah (Come over)
今度は彼女がうちに来たいと言っている
But I don’t want no love (No love, no love)
でも俺は愛なんていらない
I just wanna make the mu-la-la44mu-la-la
[名・俗語]「moolah(カネ)」を韻に合わせて変形した造語。金・札束を意味するスラング。, yeah
ただ金を稼ぎたいだけ
The mu-la-la (Na, na, na, na)
金だけを求めてる
I just wanna make the mu-la-la
ただ金を稼ぎたいだけ
Got ‘em all screaming ooh-la-la, yeah
みんなを「うわー」と叫ばせてる
[Outro: S1mba & DTG]
Shorty45Shorty
[名・俗語]もともとは「背の低い人」の意だが、AAVEでは「若い女性・気になる子」を指すスラング。 said she coming with her bredrins46bredrins
[名・俗語]ジャマイカ系英語の”brethren”(兄弟)から派生したイギリスのスラングで「仲間・友達」を意味する。
彼女は仲間たちを連れて来ると言った
‘Cause she saw a young nigga pull up47pull up
[句動詞・俗語]「引き上げる」→ 車で現れる・乗り付けることを表すAAVEスラング。 in a Rover48Rover
[固有名詞]「Range Rover(レンジ・ローバー)」のこと。イギリス発の高級SUVブランド。富と地位の象徴として頻繁に登場する。 (In a Rover)
俺がローバーで乗り付けるのを見たから
Now she say she wanna come over, yeah (Come over)
今度は家に来たいって言ってくる
But I don’t want no love (No love, no love)
でも俺に恋愛なんていらない
I just wanna make the mu-la-la49mu-la-la
[名・俗語]「moolah(ムーラ)」のもじりで「金・カネ」を意味するスラング。直後の”ooh-la-la”との韻を意識した造語。, yeah
ただ金を稼ぎたいだけ
The mu-la-la
そのカネを
I just wanna make the mu-la-la
ただ金を稼ぎたいだけ
Got ‘em all screaming ooh-la-la, yeah
みんなオー・ラ・ラと叫ばせてやる
Yeah, yeah
ああ、そうさ
Writer(s): DTG, S1mba
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Rover」はどんな曲ですか?
「Rover」は、ロンドン出身のアーティストS1mbaがDTGをフィーチャリングして2018年にリリースしたアフロスウィング/UKラップの楽曲です。発売当初は口コミで徐々に広まっていましたが、2020〜2021年にかけてTikTokで爆発的にバズり、UKシングルチャートで見事1位を獲得するという異例のロングヒットを記録しました。Spotifyでの総再生回数は数億回を超えており、英国のアフロスウィングシーンを代表する一曲として世界中のリスナーに親しまれています。
「Shorty」はどういう意味ですか?
「Shorty」はアメリカのアフリカ系アメリカ人英語(AAVE)に由来するスラングで、気になる女の子や親しい女性を指すときに使われる言葉です。日本語で言えば「あの子」「彼女」といったニュアンスに近く、上から目線というよりも親しみや好意を込めた呼び方です。UKのラップ・R&Bシーンにもすっかり定着していて、この曲では「一緒に乗り回したいお気に入りの女の子」をイメージさせるおしゃれな一言として機能しています。
「bredrins」はどういう意味ですか?
「Bredrins」はジャマイカのパトワ語「bredren(兄弟・仲間)」が英語の「brethren(兄弟たち)」と混ざり合いながらUKスラングとして定着した言葉で、「親友」「相棒」「気心の知れた仲間たち」を意味します。単なる知り合いではなく、本当に信頼できる間柄に対して使うのがポイントで、日本語の「ダチ」や「つるむ仲間」が一番近いイメージです。ロンドンを中心としたストリートカルチャーでは日常会話でごく自然に飛び出す言葉なので、UKラップを聴くなら覚えておいて損はないフレーズです。
「pull up」はどういう意味ですか?
「Pull up」を直訳すると「引っ張り上げる」ですが、スラングとしては「(特に車で)乗りつける」「颯爽と現れる」という意味で使われます。「Pull up in the Rover(ローバーで乗りつける)」のように、高級車で格好よく登場するシーンを描写するのにぴったりの表現で、まさにこの曲全体のテーマを一言で凝縮したようなフレーズです。友達を誘う場面でも「Pull up(来いよ/合流しようぜ)」と気軽に使われるので、文脈によってニュアンスが少し変わる点にも注目してみてください。
関連リンク
Rover – S1mba (Official Video)
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