今回の曲のタイトルは、「UP」です。直訳すると、「上へ」です。
「UP」は、アメリカ出身のクリスチャン・ポップアーティスト、フォレスト・フランク(Forrest Frank)と、カナダ出身のラッパー兼シンガー、コナー・プライス(Connor Price)によるコラボレーション楽曲です。フォレスト・フランクは2022年頃からSNSで急速に注目を集め、2023年にデビューアルバム『HEAVEN ON EARTH』をリリース。信仰をテーマにしたアップビートなポップ・ヒップホップサウンドで幅広い層に支持されています。コナー・プライスはカナダを拠点に活動する若手アーティストで、キャッチーなフロウとポジティブな歌詞が持ち味です。「UP」はその二人の個性が見事に融合した、クリスチャン・ポップ/ヒップホップ色の強い楽曲で、「上を向いて、神とともに前へ進む」という力強いメッセージが全編に込められています。
【直訳のポイント】「UP」は「上へ」と直訳できますが、この曲では物理的な方向だけでなく、「神に向かって心を高める」という信仰的・精神的な上昇を意味しています。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
UP! – Forrest Frank and Connor Price
[Intro: Forrest Frank]
I was down but now I’m up, yeah
かつては落ちていたけど、今は上を向いている
This all God this ain’t no1ain’t no
[AAVE・二重否定]「ain’t」は「is not」のAAVE形。「ain’t no luck」は二重否定だが、AAVEでは否定を強調する用法で「まったく運ではない」の意。 luck, yeah
これは全て神様のおかげ、運なんかじゃない
I used to be stuck in that mud2stuck in that mud
[慣用句]「泥に嵌まって動けない」→ 抜け出せない苦境や停滞した状況に置かれていたことを示す比喩表現。, woah
かつてはあの泥沼に嵌まっていた
Yeah, I was down but now I’m up, up, up, up
ああ、かつては落ちていたけど、今はどんどん上がっていく
[Chorus: Forrest Frank]
I was down but now I’m up, yeah
落ちていたけど、今は上向きさ、yeah
This all God this ain’t no luck, yeah
これは全て神の導き、運じゃない、yeah
I used to be stuck in that mud3mud
[名・比喩]「泥」→ 貧しさ・悪習・抜け出せない苦境を指す比喩表現。直訳の「泥」ではなく「どん底の環境」の意。, yeah
あの泥沼にはまり込んでた、yeah
Yeah, I was down but now I’m up, up, up, up (Ayy)
yeah、落ちていたけど今は上向き、どんどん上へ (Ayy)
I was down but now I’m
落ちていたけど今は—
[Verse 1: Forrest Frank]
Up4Up
[動・俗語]「上にいる」→「成功している・復活している」を示すHip-hopスラング。 like my name Lazarus5Lazarus
[固有名詞・聖書]ヨハネ福音書に登場する人物で、イエスによって死から蘇らせてもらった。ここでは「復活」の象徴として使われる。
俺の名はラザロ、復活するように立ち上がっている
Know Satan gon’ be mad at this
サタンが怒り狂うとわかっている
I had to ask my dad
親父に聞かなきゃいけなかった
If it’s okay to swing my bat at this6swing my bat at this
[句・野球]バットを振る→「これに挑戦する・試みる」という野球の比喩表現。
これに挑戦していいのかどうか
He said, “Boy, if I pitch7pitch
[動・野球]投手が球を投げること→ここでは「機会を与える・セットアップする」という比喩。 it, it’s out of the park8out of the park
[句・慣用]球が場外に飛ぶ(ホームラン)→「大成功する・飛び抜けた結果を出す」という慣用句。“
親父は言った、「坊主、俺が投げたら場外ホームランだ」
Moving so quick, it’s like they stuck in park9stuck in park
[句・比喩]車のギア「パーク(駐車)」に固定された→「止まったまま・前に進めない」という比喩表現。
俺が速すぎて、あいつらは止まったままみたいだ
They see the numbers, but I see the heart
あいつらは数字を見るが、俺は心を見る
Ten thousand hours10Ten thousand hours
[文化]マルコム・グラッドウェル著『Outliers』で提唱された「1万時間の法則」への言及。何かに熟達するには1万時間の練習が必要とされる。 you spent in the dark11in the dark
[句・慣用]暗闇の中で→「無名のまま・誰にも知られず」という比喩表現。
誰にも知られず、お前は1万時間を費やしてきた
Putting in12Putting in
[句動詞]「入れる」→「(努力・時間を)費やす・投資する」というイディオム。put in workはAAVEで「懸命に励む」の意。 good work
黙々と努力を積み重ねながら
Even though you didn’t even know that it would work
うまくいくかどうかさえわからないまま
Talk about a man who grew up in woodwork13woodwork
[名・慣用句]「come out of the woodwork(陰から突然現れる)」に由来し、ここでは「無名の場所・日陰」を指す比喩。
日陰から育った男の話をしよう
Do it for the love of it, that’s the way it should work, yeah, yeah (Yeah, yeah)
好きだからやる、それが本来あるべき姿だ、yeah, yeah (Yeah, yeah)
I know some people gon’ look at me crazy14look at me crazy
[句・AAVE]「おかしなものを見るような目で私を見る」という意味のAAVEイディオム。 and I’m like for what? (What?)
変な目で見てくる奴らがいるのはわかってる、でも俺は「なんで?」って感じだ (What?)
Man, I was stuck
なあ、俺はずっと行き詰まってたんだ
[Chorus: Forrest Frank]
I was down but now I’m up, yeah (Now I’m up)
どん底にいたけど、今は這い上がった(今は這い上がった)
This all God this ain’t no luck, yeah (Ain’t no luck)
これは全て神のおかげ、運なんかじゃない(運じゃない)
I used to be stuck in that mud15mud
[名・比喩]「泥」→ 貧困・犯罪など、抜け出しにくい苦しい境遇や環境を指す比喩表現。, yeah (In the mud)
かつてはあの泥沼から抜け出せなかった(泥の中に)
Yeah, I was down but now I’m up, up, up, up
そう、どん底にいたけど今は上がってる、上がってる、上がってる、上がってる
I was down but now I’m
落ちていたけど今は――
[Verse 2: Connor Price]
Down, now I’m up like a seesaw
落ちたかと思えば、シーソーみたいに今度は上へ
When I’m on the beat, like an old man’s lawn better keep off
ビートに乗ったら老人の芝生みたいなもの、近づくな
From the ground to the treetops (Woo)
地面から木のてっぺんまで(ウー)
Got clouds on my feet like Jack and the Beanstalk16Jack and the Beanstalk
[固有名詞・童話]「ジャックと豆の木」。少年ジャックが豆の木をよじ登り、雲の上の巨人の城へたどり着く英国の童話。ここでは雲に届くほど高く舞い上がったことを指す。
ジャックと豆の木みたいに、足元に雲がかかるほど高く舞い上がった
Jumped off quick, went straight into free fall
素早く飛び出して、そのままフリーフォールへ突入した
Cowboy hat and a mic singing, “Yeehaw17Yeehaw
[感嘆詞・米口語]カウボーイ文化における喜び・興奮の掛け声。日本語の「ひゅーっ!」「やったぜ!」に相当する。“
カウボーイハットとマイクを持って「イェーハー!」と歌う
Landed on my feet18landed on my feet
[句動詞・イディオム]高所から落ちても足で着地する猫の習性に由来し、「逆境からうまく立て直す・難局を乗り越える」を意味するイディオム。 like a feline19feline
[形・名]「猫(科)の・猫のような」を意味する語。catより格式ばった表現。
猫のようにうまく着地した
Put ‘em back in the seat, like a recline20recline
[動・名]「(シートを)後ろに倒す・もたれかかる」こと。リクライニングシートのようにゆったりと、みんなを席へ座らせるイメージ。
リクライニングシートのように、みんなをそっと席へと戻した
Ayy, what you mean I’m not worthy?
おい、俺がふさわしくないってどういうことだ?
Did it with a purpose, didn’t need a permit
目的を持ってやり遂げた、許可なんて必要なかった
Diggin’ from the bottom and I brought it to the surface21brought it to the surface
[句動詞・慣用句]「表面に持ち出した」→ 埋もれていたものを世に出す、無名の場所から這い上がって成功を示す比喩表現。
底辺から掘り起こして、表舞台へと引き上げた
Mind your business22Mind your business
[慣用句]「自分のことに専念しろ」→ 他人に口出しするなという決まり文句。mindはここで「気にかける・管理する」の意。, not who I worship
余計な口を挟むな、俺が誰を崇めようと関係ない
Who the little guy making big, big, big moves23moves
[名・俗語]行動・戦略的な成果を指すスラング。「making moves」で「着々と結果を出している」という意。?
でかい、でかい、でかい結果を出しているあの小物は誰だ?
TikTok24TikTok
[固有名詞]中国発の動画共有アプリ。ここでは名前の音「tick-tick」を時限爆弾のカウントダウン音に掛け、「tick-tick-tick boom(カチカチカチ…ドカン)」へ転じる言葉遊びになっている。 turned into a tick-tick-tick boom
TikTokがカチカチカチ…ドカンという爆発に変わった
Yeah, I talk a lot of stuff
そう、俺はずっといろんなことを言ってきた
Prolly thought it was a bluff25bluff
[名・ポーカー用語]もともとポーカーで「強い手を持つふりをする」こと。転じて「はったり・空手形」の意。
はったりだと思っていただろう
‘Til I went and turned it where?
俺が実際にそれをどこへと変えたか、見るまでは
[Chorus: Forrest Frank & Connor Price]
I was down but now I’m up, yeah (Up, let’s go, woah)
落ちていたけど今は上を向いてる、yeah(上へ、さあ行こう、woah)
This all God26This all God
[句・AAVE]be動詞(is)を省略したAAVE構文。”This is all God(の御業)”の意。 this ain’t no luck, yeah
これはすべて神様のおかげ、運なんかじゃない、yeah
I used to be stuck in that mud27mud
[名・比喩]文字通りは「泥」。ここでは抜け出せない困難な状況・泥沼を指す比喩表現。, yeah
かつてはその泥沼にはまり込んでいた、yeah
Yeah, I was down but now I’m up, up, up, up
yeah、落ちていたけど今は上を向いてる、どんどん上へ
I was down but now I’m up
落ちていたけど、今は上を向いてる
Writer(s): Forrest Frank, Connor Price
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「UP」はどんな曲ですか?
「UP」は、アメリカのクリスチャン・ポップアーティスト Forrest Frank と、カナダ出身のラッパー Connor Price によるコラボレーション楽曲で、2023年にリリースされました。信仰をベースにした前向きなメッセージとキャッチーなビートが融合しており、TikTokをきっかけに爆発的に拡散、Spotifyをはじめ各種ストリーミングプラットフォームで数千万回再生を記録しています。「どんな境遇にあっても上を向いて進め」というシンプルかつ力強いテーマが、世代を超えて多くのリスナーの心をつかんでいます。
「”ain’t no”」はどういう意味ですか?
「ain’t no」は「〜なんてない」「絶対に〜じゃない」という意味の強調表現です。標準的な英語では “there is no” や “there isn’t any” に相当しますが、あえて二重否定の形を使うことで、否定のニュアンスをぐっと力強くしています。アフリカ系アメリカ人英語(AAVE)やヒップホップの歌詞でおなじみの言い回しで、「そんなことは絶対ありえない!」という強い確信や自信を伝えたいときに使われます。文法的には「誤り」とされる場合もありますが、音楽や会話では自然な表現として広く定着しています。
「”stuck in that mud”」はどういう意味ですか?
直訳すると「あの泥にはまって動けない」ですが、これは慣用的な表現で「現状から抜け出せない」「同じ場所でずっともがいている」状態を指します。人生における停滞感や、ネガティブな思考・環境のループに囚われている様子をリアルに描写した言い回しです。この曲では、そんな「泥沼」のような状況に置かれていたとしても、信仰や前向きな意志の力で立ち上がれるというメッセージの文脈で使われており、歌詞全体のターニングポイントを担う重要なフレーズです。
「”mud”」はどういう意味ですか?
「mud(泥)」は、ヒップホップやポップの歌詞では文字通りの「泥」にとどまらない深い意味を持ちます。困難な環境、重くのしかかる感情、あるいは自分を引きずり下ろす人間関係や過去の失敗など、「前に進むことを妨げるもの」全般の比喩(メタファー)として使われることが多い言葉です。「stuck in that mud」との対比で読むと、「mud」はまさに乗り越えるべき試練そのものを象徴しており、そこから抜け出して「UP(上)」へ向かうという曲全体のテーマと美しく呼応しています。
関連リンク
UP! – Forrest Frank and Connor Price (Official Video)
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