今回の曲のタイトルは、「Rasputin」です。直訳すると、「ラスプーチン」です。これはロシアの歴史的人物グリゴリー・ラスプーチンの名前をそのまま冠した楽曲で、固有名詞ゆえに日本語でも「ラスプーチン」と音写されます。
「Rasputin」は、西ドイツ出身のプロデューサー、フランク・ファリアンが手掛けたユーロディスコグループ、Boney M.が1978年にリリースしたシングルです。同年発表のアルバム『Nightflight to Venus』に収録され、UKシングルチャートでは最高2位を記録、ヨーロッパ各国でも上位にランクインした大ヒット曲となりました。ジャンルはユーロディスコで、ロシア帝国末期の神秘僧侶グリゴリー・ラスプーチンの波乱に満ちた生涯と、ロマノフ王朝への絶大な影響力をドラマティックに描いた歴史的テーマが特徴です。
【直訳のポイント】「lover of the Russian queen」の”lover”は直訳すると「愛人」ですが、歌詞の文脈ではロシア皇妃アレクサンドラに深く寵愛された人物というニュアンスを持つため、そのまま意訳せず注釈で補足しました。
細かく調べて、できる限り注釈をつけて和訳しました。
※普段聞かないような難しい単語、普段とは違う用法の単語や熟語は、調べておきました。
歌詞の右上に表示される小さな数字をクリックorタップしていただけるとポップアップで注釈が見れます。
以下、和訳です。
Rasputin – Boney M.
[Verse 1: Liz Mitchell & Marcia Barrett, Frank Farian]
There lived a certain man in Russia long ago
むかし、ロシアにひとりの男が住んでいた
He was big and strong, in his eyes a flaming glow
体は大きく力強く、その瞳には炎のような輝きがあった
Most people look at him with terror and with fear
ほとんどの人は恐怖と怯えの目で彼を見た
But to Moscow chicks1chicks
[名・俗語]「ひよこ」が転じて「若い女性・女の子」を指す英語俗語。, he was such a lovely dear2dear
[名・口語]形容詞「親愛なる」が名詞化し、「愛すべき人・魅力的な人」を意味する口語表現。
だがモスクワの女たちにとって、彼はとても愛らしい存在だった
He could preach the Bible like a preacher
彼は説教師のように聖書を説き語ることができた
Full of ecstasy and fire
熱狂と情熱に満ちあふれて
But he also was the kind of teacher
しかし彼はまた、そういう種類の教師でもあった
Women would desire
女たちが憧れずにはいられないような
[Interlude]
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
[Verse 2: Liz Mitchell & Marcia Barrett, Frank Farian]
There lived a certain man in Russia long ago
むかし、ロシアにひとりの男が住んでいた
He was big and strong, in his eyes, a flaming glow
体は大きく力強く、その瞳には炎のような輝きがあった
Most people look at him with terror and with fear
ほとんどの人は恐怖と畏れをもって彼を見た
But to Moscow chicks3chicks
[名・俗語]本来「ひよこ」だが、若い女性を指すスラング。, he was such a lovely dear4dear
[名・口語]「愛しい人・かわいい人」を意味する名詞用法。形容詞「高価な」や呼びかけとは別に、「愛すべき存在」を指す。
だがモスクワの女たちにとって、彼はなんとも愛らしい存在だった
He could preach the Bible like a preacher
彼は説教師のように聖書を説くことができた
Full of ecstasy and fire
恍惚と情熱に満ちあふれて
But he also was the kind of teacher
しかし彼はまた、ある種の教師でもあった——
Women would desire
女たちが恋い焦がれるような
[Chorus: Liz Mitchell & Marcia Barrett, Frank Farian, Liz Mitchell & Marcia Barrett]
Ra-Ra-Rasputin5Rasputin
[固有名詞]ラスプーチン(Grigori Rasputin, 1869–1916)。ロシア帝国末期、皇后アレクサンドラに強い影響力を持った怪僧。, lover of the Russian Queen
ラ・ラ・ラスプーチン、ロシアの皇妃を虜にした男
There was a cat6cat
[名・俗語]「猫」ではなく「奴、男」を指すスラング。特にジャズ・ソウル系の文脈でcoolな人物を指す。 that really was gone7gone
[形・俗語]「行ってしまった」ではなく「常軌を逸していた、ぶっ飛んでいた」を意味する俗語表現。
本当にとんでもない男がいた
Ra-Ra-Rasputin, Russia’s greatest love machine8love machine
[名・俗語]「愛の機械」→ 女性を次々と虜にする色男・絶倫な男を指す俗語表現。
ラ・ラ・ラスプーチン、ロシア史上最高の女たらし
It was a shame9shame
[名]「恥」ではなく「残念なこと、困ったこと」を意味するイディオム的用法(”It’s a shame” = 何とも嘆かわしい)。 how he carried on10carried on
[句動詞]carry onの過去形。「続ける」の意もあるが、ここでは「ふるまいが度を越していた、品のない振る舞いをし続けた」という否定的ニュアンス。
彼のふるまいはまったく目に余るものだった
[Verse 3: Liz Mitchell & Marcia Barrett, Frank Farian]
He ruled the Russian land and never mind11never mind
[句・イディオム]通常は「気にするな」の意だが、ここでは「〜を意に介さず・〜など無視して」という従属的な意味で用いられている。 the Tsar
彼はロシアの大地を支配し、ツァーリなど意に介さなかった
But the kazachok,12kazachok
[名・固有]ロシア・ウクライナ起源のコサック伝統舞踊。しゃがんで勢いよく足を蹴り出すステップが特徴。 he danced really wunderbar13wunderbar
[形・独語]ドイツ語で「素晴らしい・見事な」を意味する語。英語の wonderful に相当。
しかしカザチョークを踊らせれば、実に見事なものだった
In all affairs of state, he was the man to please14the man to please
[句]「誰もが機嫌を取らなければならない人物」の意。to please は受動的な不定詞で「喜ばせるべき」というニュアンスを持つ。
国政のあらゆる場面で、彼こそが誰もが取り入らなければならない人物だった
But he was real great when he had a girl to squeeze15squeeze
[動・俗語]「絞る・握る」→ここでは女性を抱き締める・体を密着させるという性的な含意を持つ口語表現。
しかし女を腕に抱く時こそ、彼は本当に輝いた
For the Queen, he was no wheeler dealer16wheeler dealer
[名・俗語]巧みな取引や駆け引きで立ち回る「策士・やり手」を指す俗語。wheel and deal(巧みに交渉する)から派生。
女王にとって、彼は狡猾な策士などではなかった
Though she’d heard the things he’d done
彼の行いの噂を耳にしていたにもかかわらず
She believed he was a holy healer
彼女は彼を聖なる癒し手だと信じていた
Who would heal her son
息子を癒してくれる者だと
[Chorus: Liz Mitchell & Marcia Barrett, Frank Farian, Liz Mitchell & Marcia Barrett]
Ra-Ra-Rasputin, lover of the Russian Queen
ラ・ラ・ラスプーチン、ロシアの女王の愛人
There was a cat17cat
[名・俗語]本来「猫」を意味するが、ジャズ・スラングで「男・やつ」を指す。 that really was gone18gone
[形・俗語]「去った」が転じて「正気を失った・イカれた」を意味するスラング。
本当にイカれた男がいた
Ra-Ra-Rasputin, Russia’s greatest love machine19love machine
[名・俗語]「愛の機械」→ 次々と女性を虜にする色男・プレイボーイを指す俗語的表現。
ラ・ラ・ラスプーチン、ロシア随一の色男
It was a shame how he carried on20carried on
[句動詞]「続ける」が転じて「羽目を外して振る舞う・やりたい放題する」を意味するイディオム。
彼がああも羽目を外したのは、実に恥ずべきことだった
[Bridge: Bill Swisher]
But when his drinking and lusting21lusting
[動・文語]動詞 lust(「強く欲する」)の現在分詞形。ラテン語 lustrum 由来。性的な欲望・色欲を指すことが多い。 and his hunger22hunger for
[名詞句・慣用表現]「飢え」が転じて「強烈な渇望・執着」を表すイディオム。hunger for power=権力への飢え・渇望。 for power became known to more and more people, the demands to do something about this outrageous man became louder and louder
しかし、彼の酒癖と色欲、そして権力への飢えがしだいに多くの人々に知れ渡るにつれ、この許しがたい男をどうにかせよという声はますます大きくなっていった
[Interlude]
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey
ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ
[Verse 3: Liz Mitchell & Marcia Barrett, Frank Farian]
“This man’s just gotta go23gotta go
[句・口語]「この男は消えるべきだ・排除されなければならない」を意味する口語表現。go は「立ち去る」ではなく「排除される」の婉曲表現。“, declared his enemies
「この男は消えるしかない」と敵たちは宣言した
But the ladies begged, “Don’t you try to do it, please”
しかし女たちは「どうかそんなことをしないで」と懇願した
No doubt this Rasputin had lots of hidden charms
このラスプーチンに隠された魅力がたくさんあったことは疑いようもなかった
Though he was a brute24brute
[名]「野蛮な人間・粗野な男」を意味する語。動物的な荒々しさや乱暴さを含む。, they just fell into his arms25fell into his arms
[句・イディオム]「彼の腕の中に落ちた」→「彼に身を委ねた・抱かれた」の意。fell は fall の不規則過去形。
粗野な男だったにもかかわらず、女たちはただ彼の腕の中に身を委ねていった
Then one night, some men of higher standing26standing
[名]ここでは「社会的地位・身分」の意。of higher standing =「より高い地位を持つ」。
ある夜、社会的地位の高い男たちが
Set a trap, they’re not to blame
罠を仕掛けた——彼らを責めることはできない
“Come to visit us”, they kept demanding
「私たちのところへ来い」と彼らは何度も迫り続けた
And he really came
そして彼は本当にやって来た
[Chorus: Liz Mitchell & Marcia Barrett, Frank Farian, Liz Mitchell & Marcia Barrett]
Ra-Ra-Rasputin, lover of the Russian Queen
ラ・ラ・ラスプーチン、ロシアの女王の愛人
They put some poison into his wine
彼らは彼のワインに毒を混ぜた
Ra-Ra-Rasputin, Russia’s greatest love machine27love machine
[名・俗語]「愛の機械」→次々と女性を虜にする、恋愛の達人・征服者を指すイディオム。
ラ・ラ・ラスプーチン、ロシア最高の愛の征服者
He drank it all and he said, “I feel fine”
彼はそれを全部飲み干してこう言った、「気分は最高だ」
Ra-Ra-Rasputin, lover of the Russian Queen
ラ・ラ・ラスプーチン、ロシアの女王の愛人
They didn’t quit, they wanted his head28wanted his head
[慣用句]「彼の首を欲しがった」→処刑・抹殺を求めるという意味の慣用句。
彼らは諦めなかった、彼の命が欲しかったのだ
Ra-Ra-Rasputin, Russia’s greatest love machine29love machine
[名・俗語]「愛の機械」→次々と女性を虜にする、恋愛の達人・征服者を指すイディオム。
ラ・ラ・ラスプーチン、ロシア最高の愛の征服者
And so they shot him ‘til he was dead
そして彼らは彼が死ぬまで撃ち続けた
[Outro: Frank Farian]
Oh, those Russians
ああ、あのロシア人たち
Writer(s): George Reyam, Fred Jay, Frank Farian
以上です、いかがでしたでしょうか!
以下に、ミュージックビデオ貼っておきます!ご覧ください!
よくある質問
「Rasputin」はどんな曲ですか?
「Rasputin」は、西ドイツのディスコグループ・Boney Mが1978年にリリースしたディスコポップの楽曲で、実在したロシアの怪僧グリゴリー・ラスプーチンの波乱に満ちた生涯を物語形式で描いた一曲です。西ドイツのシングルチャートで1位を獲得し、イギリスでもトップ2入りを果たした大ヒット作で、2024年時点でSpotifyの再生回数は10億回を超えています。近年はTikTokやリミックスカルチャーの波に乗り、若い世代の間で”バイラル復活”を遂げた楽曲としても知られています。
“chicks”はどういう意味ですか?
「chicks」はもともと「ひよこ」を意味する単語ですが、1960〜70年代のアメリカ英語スラングとして「若い女性たち」を指す口語表現として広く使われていました。歌詞では “But to Moscow chicks he was such a lovely dear”(モスクワの女性たちにとって、彼はとても素敵な存在だった)という形で登場し、ラスプーチンが女性から絶大な人気を誇っていたことをカジュアルに描写しています。現代では女性に対してやや失礼な響きを持つとされるため、実際の会話での使用には注意が必要です。
“dear”はどういう意味ですか?
「dear」は「大切な人」「かわいらしい人」という意味の語で、形容詞としても名詞としても使われ、親しみや愛情を込めた場面でよく登場します。この歌詞では “such a lovely dear” という形で、女性たちがラスプーチンに強く惹きつけられていた様子を柔らかく、少し皮肉も交えたニュアンスで表現しています。日本語に訳すなら「素敵な愛すべき人」「いとしい存在」といった感覚に近く、英語の手紙の書き出し “Dear …” と同じ温かみのある語です。
“lover”はどういう意味ですか?
「lover」は「恋人」「愛人」を意味する語で、この曲の最も有名なサビ “Ra Ra Rasputin, lover of the Russian queen”(ロシアの女王の愛人、ラスプーチン)に登場します。ここでの “lover” は単純な「恋人」を超え、権力の中枢にいる人物と特別な関係を結んだ存在というニュアンスを帯びており、ラスプーチンとロシア皇后アレクサンドラとの間にあったとされる歴史的な噂を踏まえた表現です。歌詞全体を通じて、ラスプーチンの神秘的な魅力と危険な影響力を象徴するキーワードとなっています。
関連リンク
Rasputin – Boney M. (Official Video)
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